公開日:2025.10.29 / 最終更新日:2025.10.29

UIデザイナーとは何?未経験・独学で目指す方法とWebデザイナーとの違い

UIデザイナーの仕事内容や他のデザイナーとの違い、年収、必要なスキルやツール、未経験からの学習方法、転職のコツを説明します。UIデザインはビジネスの成果に直接関わる重要な仕事で、しっかり学べば未経験からでもプロを目指せるはずです。

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目次

UIデザイナーとは?仕事内容と役割

UIデザイナーは、ユーザーが触れる画面や操作の体験を設計し、事業目標に結びつく「使いやすさ」と「心地よさ」を両立させる専門職でしょう。スマートフォンアプリやWebサイト、業務システムなどのユーザーインターフェースを対象に、要件整理から設計、検証、改善まで継続的に行います。

UIの基本概念とUIデザイナーの定義

 UIとは、アプリやウェブサイトでユーザーが触れる画面や操作のことです。UIデザイナーは、その画面の見た目、情報の配置、操作時の動きを設計して、使いやすく快適な体験を作り上げます。企画担当者やエンジニア、マーケターなどと協力して、ユーザーに喜ばれるサービスを素早く改善していく仕事です。

UIの構成要素

画面レイアウトやカラーパレット、アイコン、各種コンポーネント、モーションなどを統一感のある形で設計していきます。これらはデザインシステムとして管理されて、開発効率と品質向上につながります。

原則と評価指標

使いやすさと見やすさを重視したデザインで、離脱率やタスク達成率などの数値で効果を測定します。良いデザインは利用率向上や売上アップ、問い合わせ削減につながります。

プラットフォームガイドラインとの整合

スマホやタブレットの公式デザインガイドラインに従って、それぞれの機種でユーザーが慣れ親しんだ操作方法に合わせて設計します。こうすることで、ユーザーが迷わず快適に操作できるようになります。

UIデザイナーの具体的な業務内容

UIデザイナーの仕事は、要件整理から画面設計、ビジュアルデザイン、プロトタイピング、検証、改善、実装連携まで様々です。短いサイクルでの反復を前提として進めていきます。

要件整理と情報設計

ビジネスの要求とユーザーの課題を整理して、画面の流れや構造を設計します。利用シーンを想定し、入力項目やエラー処理、読み込み中や完了時の表示を決めます。

画面設計とプロトタイピング

まず設計図で情報の重要度や配置を決めて、簡単なものから詳細なものまで段階的に試作品を作って動きを確認します。専用ツールを使って、チーム全体で素早く合意を取りながら進めていきます。

ビジュアルデザインとデザインシステム

カラー、タイポグラフィ、グリッド、アイコン、イラスト、モーション規則を策定して、コンポーネントライブラリとして体系化するでしょう。状態やバリエーションを定義し、スタイルの一貫性を保つことが重要です。

検証と改善

ユーザーテストやアクセス解析で問題点を見つけて、比較テストで効果を確認しながら画面やコピーを改善し続けます。

実装連携と品質担保

デザインの詳細をエンジニアと共有し、様々な画面サイズに対応させて、誰でも使いやすいように色やボタンを調整します。設計通りに正しく作られているかチェックして、品質の高いサービスを届けるのもUIデザイナーの大切な仕事です。

フェーズ 主要タスク 成果物 関係者 測定指標
要件定義 課題整理・KPI設定・ユーザーフロー策定 要件メモ、フロー図、画面遷移図 PM、マーケター、エンジニア KPI仮説、タスク成功基準
画面設計 情報設計・ワイヤーフレーム作成 ワイヤー、UIパターン草案 UXリサーチャー、開発リード 認知負荷、可読性評価
ビジュアル スタイル定義・コンポーネント設計 デザインシステム、UIキット デザインチーム、フロントエンド 一貫性、ブランド適合度
実装連携 スペック共有・レビュー・アクセシビリティ対応 仕様書、アセット、動作チェックリスト エンジニア、QA 不具合率、差分件数
検証・改善 テスト・分析・A/Bテスト 改善提案、リリースノート データアナリスト、CS CVR、離脱率、継続率

現代におけるUIデザイナーの重要性と需要

デジタル化が進み、UIの出来は「選ばれる理由」そのものとなって競争優位に直結するでしょう。デザインシステムの導入が一般化し、スピードと品質の両立が求められます。

日本市場でのトレンド

スマホやタブレット対応、定額制サービス、企業システムの見直し、誰でも使いやすい設計が求められています。高齢化社会を考慮した見やすく操作しやすいデザインが、国内向けUI設計の重要なポイントです。

UIデザイナーに期待される価値

ユーザーの気持ちとビジネスの目標をうまく組み合わせて、データを元にした判断をサポートします。チーム全体で使える共通のデザインルールを作ったり、誰でも使いやすくてブランドらしさも感じられるデザインを目指します。一度きりの画面作りではなく、サービスを継続的に良くしていくのがUIデザイナーの役割です。

WebデザイナーとUXデザイナーとの違い

UIデザイナーは「触れる体験」を形にし、Webデザイナーは「見える情報」を整え、UXデザイナーは「一連の体験価値」を設計するでしょう。役割の境界と連携の仕方を、制作物・スキル・評価指標の観点から見ていきます。

UIデザイナーとWebデザイナーの違い

UIデザイナーはアプリやWebサービスの画面を設計し、使いやすく見やすいデザインを作ります。Webデザイナーは企業サイトや通販サイトなどのWebサイト制作とコーディングを担当します。

観点 UIデザイナー Webデザイナー
主な対象 アプリ・WebアプリなどのプロダクトUI(ログイン、ダッシュボード、設定画面、フォーム等) コーポレートサイト、メディア、EC、LPなどのウェブサイト全般
成果物 ワイヤーフレーム、インタラクション設計、プロトタイプ、デザインシステム(UIキット/コンポーネント/スタイルガイド) サイト構成、ページデザイン、バナー、画像最適化、HTML/CSS/JavaScriptによる実装、CMS反映
着眼点 操作フロー、可用性、ユーザビリティ、アクセシビリティ、状態管理(エラー/ローディング/空状態) 情報の見せ方、導線、ブランディング、一貫したビジュアル、レスポンシブデザイン
必要スキル コンポーネント設計、インタラクション、設計原則、ヒューリスティック評価、A/Bテストの設計 ビジュアルデザイン、画像制作、コーディング(HTML/CSS/JS)、パフォーマンス最適化
評価指標 タスク完了率、操作時間、エラー率、NPS/CSAT、機能KPI(CVR/継続率等) ページ表示速度、直帰率、回遊率、フォームCVR、検索流入との整合
関与フェーズ 要件定義から実装・改善まで継続的に関与(長期運用) 設計〜公開までの制作とリニューアル(案件ベースが中心)

どちらも見た目を作る仕事ですが、UIデザイナーはアプリの使いやすさと統一感を重視し、Webデザイナーは情報の伝わりやすさとサイト全体の魅力作りに集中します。

UIデザイナーとUXデザイナーの違い

UIデザイナーが画面上の体験を具体化するのに対して、UXデザイナーはペルソナ・カスタマージャーニー・課題仮説・価値提案まで含めた体験全体を設計するでしょう。成果物と評価軸が違い、時間軸もUXの方が幅広くなります。

観点 UIデザイナー UXデザイナー
焦点 画面・操作・インタラクションの最適化 利用前から利用後までの体験価値の設計
成果物 画面設計、プロトタイプ、UIガイドライン、デザインシステム リサーチ計画、ユーザーインタビュー結果、ペルソナ、ジャーニーマップ、要件定義
検証手法 ユーザビリティテスト、ヒートマップ、A/Bテスト 定性/定量リサーチ、コンセプト検証、フィールド調査
関係者 フロントエンドエンジニア、QA、プロダクトマネージャー ステークホルダー、営業・CS、データアナリスト、経営層
評価指標 タスク成功率、操作負荷、UI一貫性 提供価値の適合度、体験満足度、継続/解約・紹介意向

UXは方向性やコンセプトを決め、UIはそれを実際の画面に形にして、運用しながら改善していきます。役割は違いますが、実際には同じ人が両方を担当することも多いです。

それぞれの職種との連携方法

チームで連携するには、まず言葉の意味や目標を共有して、みんなで使える共通のデザイン素材を作ることが大切です。プロジェクトの節目ごとに決めたことを確認し合い、素早く改善を繰り返していきます。

フェーズ リード 共同作業 合意の基準
発見・要件定義 UXデザイナー 課題仮説、ペルソナ、ジャーニー、KPI/KSFの設定 課題と指標が定義され、UIの範囲・優先度が合意
設計・プロトタイピング UIデザイナー ワイヤーフレーム、インタラクション設計、デザインシステム適用 主要フローの操作性が検証済みで、受け入れ基準が明確
制作・実装 UIデザイナー × エンジニア コンポーネントのハンドオフ、仕様同期、アクセシビリティ適合 UIガイドライン準拠、パフォーマンス・表示崩れの基準達成
計測・改善 UI/UXデザイナー ユーザビリティテスト、A/Bテスト、ログ分析 KPI・体験指標の達成と学習のドキュメント化
サイト制作連携 Webデザイナー ページ設計、レスポンシブ最適化、SEO要件とブランド整合 導線・可読性・CVRとブランドガイドの両立が確認

連携の質は「仕様の断片共有」ではなく「意図と指標の共有」によって高まるでしょう。そのため、設計根拠やプロトタイプ、検証結果を常に最新化して、関係者全員で参照できる状態を維持することが大切です。

UIデザイナーの年収・働き方・将来性

年収相場と給与水準の実態

UIデザイナーの年収は経験年数、スキルの幅、勤務先の規模、地域によって変わります。以下は都市部で働く場合の目安です。

経験レベル 正社員(年収目安) フリーランス/業務委託(月単価目安)
未経験〜ジュニア 350万〜500万円 50万〜70万円
ミッド(中堅) 500万〜700万円 70万〜100万円
シニア/リード 700万〜900万円 90万〜120万円
マネージャー/ヘッド 900万〜1,200万円以上 案件により変動(目安100万〜140万円)

首都圏では500万〜900万円が一般的で、地方は低めの傾向があるでしょう。ビジネス指標への貢献度や専門性、課題定義から検証まで一貫して推進できる力が年収に影響します。

働き方の特徴と職場環境

勤務先は「事業会社」「制作会社」「スタートアップ」に分かれます。一つのサービスを長期間改善するか、様々な案件を手がけるかで働き方が変わります。

勤務先タイプ 主なミッション 働き方の傾向 評価されやすい力
事業会社(プロダクト開発) KPI改善、継続的なUI/UX改善、デザインシステム運用 ハイブリッド/フルリモートが増加、アジャイル/スクラム グロース視点、定量/定性の検証、部門横断の推進力
受託/制作会社 要件整理〜提案〜納品、複数案件の並行推進 クライアントワーク、納期管理、短期スプリント 提案力、情報設計、品質管理、コミュニケーション
スタートアップ 0→1/1→10の検証と拡張、役割横断での実装支援 スピード重視、意思決定が速い、未整備環境での自走 仮説検証、汎用性、デザインOps、優先度判断

柔軟な勤務時間で在宅勤務が一般的になっています。忙しい時期はリリース前後に集中しますが、段階的な開発で残業を減らす工夫も広がっています。UIデザイナーはデザインとデータ分析を活用して他部署と連携する仕事で、プロダクトマネージャーやエンジニアとの協力が必要です。

キャリアパスと将来性

キャリアパスは多様で、スペシャリスト、UXデザイナー、マネージャー、プロダクトマネージャーなど様々な方向に進めるでしょう。AIの活用が進んでいますが、要件定義や検証は人間の役割が大きく、課題発見から検証まで自律的に回せるUIデザイナーの需要は高いままです。

UIデザイナーに必要なスキルとツール

UIデザイナーは画面デザインでユーザーの使いやすさを作る仕事です。設計理由の説明、試作での確認、エンジニアとの協力が必要で、幅広いスキルとツール操作が求められます。

必須のデザインスキルと技術知識

視覚デザインの基礎

色や文字、レイアウトの工夫で画面の見やすさが大きく変わります。ブランドの印象やサービスの目的に合わせて、重要な情報が目立つようにデザインすることが大切です。

情報設計とワイヤーフレーム

 ユーザーがどのように画面を移動するか、どこに何を配置するかを設計図で整理します。初めて使う人、何度も使う人、エラーが起きた時など、様々な状況を想定して画面を作っていきます。

インタラクション設計

読み込み中やエラー時の表示、ボタンを押した時の反応、様々な画面サイズへの対応などを設計します。スマホの公式ガイドラインに従って、ユーザーが慣れ親しんだ操作方法に合わせて作ります。

アクセシビリティとユーザビリティ

読み上げ順序やフォーカス可視化、十分なコントラスト、キーボード操作、エラー回復支援などを設計に織り込みましょう。評価やテストで課題を発見して、定量・定性の両面で改善を続けることが重要です。

デザインシステムと実装連携

体系的に部品を整理し、色や余白のルールを決めます。統一された命名や管理方法で、デザインと開発のずれを少なくし、画像の最適化やコードの基本知識でエンジニアとの連携をスムーズにします。質の高いUIは、見た目・情報・操作性・使いやすさ・運用の要素がバランス良く組み合わさってできます。

使用する主要ツール(Figma、Sketch、Adobe XD等)

どのツールを使うかは、チームの作業方法や開発の進め方に合わせて決めます。よく使われているツールとその使い道を紹介します。

ツール 主な用途 特長・備考
Figma UIデザイン、プロトタイピング、デザインシステム運用 リアルタイム共同編集、Auto Layout・コンポーネント・バリアント・デザイントークン管理に強い。FigJamでワークショップも可能。
Sketch UIデザイン、シンボル管理 Mac向け。プラグインが豊富で軽快。チームでのライブラリ共有に対応。
Adobe XD UIデザイン、プロトタイピング Illustrator/Photoshop資産との連携が容易。既存プロジェクトで運用されるケースがある。
Adobe Illustrator アイコン・イラスト制作、ベクター編集 スケーラブルなグラフィック制作に最適。SVG書き出しに強い。
Adobe Photoshop 画像補正、合成、バナー制作 写真レタッチやビットマップ加工で定番。
After Effects モーション検証、マイクロインタラクション表現 動きの仕様を高精度に可視化。実装イメージの共有に有効。
Principle / ProtoPie 高度なプロトタイピング 複雑なアニメーションやジェスチャーの挙動を再現。
Zeplin デザインのハンドオフ スペック・アセット書き出し・コメントでエンジニア連携を円滑化。

チームでの運用ルールをツール機能と合わせて整えることで、品質とスピードの向上につながるでしょう。

論理的思考力とコミュニケーション能力

要件を整理してユーザーの課題と事業目標から優先度を決める論理的な思考が必要です。試作で仮説を検証し、データに基づいて判断します。

デザインの理由を文章や図で説明し、関係者の合意を得やすくします。ワークショップでは課題の見直しや範囲調整を行い、問題を早めに見つけます。

誰の、どの行動を、どんな状況で、どの指標で改善するかを明確に説明できることが、UIデザインを成果につなげるコツです。

未経験からUIデザイナーになる方法

未経験からUIデザイナーになるには、実際の仕事に近い作品をたくさん作って、採用で評価される作品集を準備することが大切です。Webデザイナー経験者と完全未経験者では進め方が違うので、それぞれに分けて学習期間や身につけるべきレベルを説明します。

Webデザイナー経験者の転職戦略

既にビジュアルデザインやコーディングの実務経験がある場合は、日々の業務をUI観点で見直して成果物を再構成することで、短期での転職が可能でしょう。

現職スキルの棚卸しとUIへの翻訳

同じ実績でもUI視点で説明すると、履歴書やポートフォリオがより魅力的になります。

Webデザインの実務 UI視点での言い換え ポートフォリオ化の例
LP制作・改修 ファネル設計、CTA配置のABテスト、スクロール到達率の改善 ビフォーアフター画面/ヒートマップ/CVRの変化と学び
サイト設計 情報アーキテクチャ再設計、ナビゲーションの認知負荷低減 サイトマップ・ユーザーフロー・ラベル見直しの根拠
モバイル対応 ブレークポイントとタップ領域、ジェスチャー考慮 レスポンシブ仕様・アクセシビリティ項目のチェックリスト
デザインカンプ作成 コンポーネント化、状態設計(ホバー/エラー/読み込み) FigmaのAuto Layout・変数・コンポーネント設計の画面

作ったものよりも、なぜそのデザインにしたのか、どんな成果が出たのかを説明できることが転職で大切です。

選考で評価されるポートフォリオ改修

実案件をUI観点で再編集して、意思決定の経緯を残しましょう。可視化・根拠・結果の三点セットを意識することが大切です。

  • 可視化: 画面フロー、ワイヤーフレーム、コンポーネント一覧、ステート定義
  • 根拠: ユーザー課題、要件、ガイドライン(Human Interface Guidelines/Material Design)への配慮
  • 結果: KPIの変化、ユーザビリティテストの所見、改善前後比較

具体的な転職アクションの流れ

ステップ 内容 アウトプット
1. 棚卸し 案件をUI指標(課題/仮説/施策/結果)で再整理 ケーススタディ原稿
2. 再設計 Figmaでコンポーネント化・プロトタイプ化 設計ファイル・仕様スナップショット
3. 検証 ユーザーテストやヒューリスティック評価で改善 改善ログと所見
4. 提出準備 職務経歴書をUI言語に刷新、ポートフォリオ公開 PDF/オンライン閲覧用ポートフォリオ

完全未経験者のアプローチ方法

 基礎知識とツール操作を一緒に覚え、小さな作品で練習を重ねることが上達のコツです。

入口別の現実的ルート

ルート 前提 中間目標 成果物 注意点
新卒・第二新卒 基礎デザインと情報設計の学習時間を確保 ケーススタディ3件以上 画面フロー/ワイヤー/プロトタイプ 学業や活動での役割と学びを明確化
異業種からの転職 業務知識を強みに転用 ドメイン特化のUI作例 業界のユーザー課題に即した設計 職務の接続ストーリーを一貫させる
スクール・職業訓練 体系学習+チーム制作 実務に近いプロセス体験 チームでの設計資料一式 提出物の質と再現性を重視
独学 計画とレビュー機会の確保 週ごとのアウトプット トレース/リデザイン/テストの記録 客観的フィードバックの獲得方法を用意

実務に近づくためのアウトプット

小さく作って検証し、改善を記録するというサイクルを行っていきます。

  • 課題定義→ユーザーストーリー→画面フロー→ワイヤー→コンポーネント→ビジュアル→プロトタイプ→ユーザビリティテスト→改善
  • タスク成功率、所要時間、エラー率、主観満足度など定量・定性の指標を設定
  • ガイドライン(Human Interface Guidelines、Material Design)に照らした根拠を明示

「作って終わり」ではなく、検証ログと設計判断の理由を残すことで、未経験でも説得力あるポートフォリオになります。

学習と実務の可視化

学習ノートや改善した内容を毎日記録して、面接で話せるようにしておきましょう。どれだけ努力して成長したかが分かると、採用担当者に将来性を評価してもらいやすくなります。

必要な学習期間とスキル習得レベル

到達までの期間は背景と学習時間で変わります。以下は目安です。

背景別の目安期間

背景 週の学習時間 目安期間 到達レベル 次アクション
Webデザイナー経験者 10〜15時間 2〜4か月 UIケーススタディ2〜3件、Figmaでの設計再現 UIポジションへ転職応募・社内異動打診
デザイン以外のIT職 15〜20時間 3〜6か月 プロトタイピングと基本の情報設計を一通り実践 副業/インターンで小規模案件に参加
完全未経験 20時間以上 4〜8か月 ミニアプリの設計〜検証を反復し3件以上蓄積 トライアル課題に挑戦し選考にエントリー

採用時に求められる到達基準の例

項目 水準 チェック観点
Figma操作と設計 必須 Auto Layout、コンポーネント、変数、プロトタイプの活用
ガイドライン理解 必須 Human Interface Guidelines/Material Designの遵守と適用理由
情報設計・画面遷移 必須 ユーザーフロー、ナビゲーション、状態遷移の明瞭さ
アクセシビリティ配慮 歓迎〜必須 色コントラスト、フォーカス、タップ領域、代替テキスト
検証と改善 必須 ユーザビリティテスト/ヒューリスティック評価の実施と学び
コミュニケーション 必須 要件整理、仕様根拠の説明、チームでの合意形成

目安期間にとらわれず、設計根拠を語れるケーススタディを増やすことが未経験突破の近道でしょう。

UIデザイナーの独学方法と学習計画

独学で効率よく学ぶには、勉強3割・実践7割の割合で、毎週何かしら作品を作ることが大切です。基礎知識とガイドラインを覚えたら、デザインツールで実際に手を動かして、周りの人に意見をもらいながら改善を繰り返せば、未経験でも仕事で使えるレベルまで上達できます。

効率的な独学ステップと学習順序

はじめに学ぶ順序を決めて、迷わない流れを作りましょう。以下の手順がおすすめでしょう。

  1. 目標設定と市場理解(職種定義・業務範囲・成果物の把握)
  2. ツール基礎(Figma中心。SketchやAdobe XDは補助)
  3. UI原則(タイポグラフィ・色彩・レイアウト・コントラスト・アクセシビリティ)
  4. 情報設計(ユーザーフロー・ワイヤーフレーム・ペルソナ・カスタマージャーニー)
  5. プロトタイピング(画面遷移・モーション・インタラクション)
  6. ガイドライン準拠(Material Design・iOS Human Interface Guidelines)
  7. デザインシステム(トークン・コンポーネント・Variants・Auto Layout)
  8. 検証と改善(ヒューリスティック評価・ユーザビリティテスト・ABテストの基礎)

学習ロードマップ(12週間モデル)

毎週目標と作品を決めて、ポートフォリオに使える制作物を積み重ねていきます。

目標 主要タスク 成果物
1 職種理解と計画設計 UI/UXの用語整理・業務範囲調査・学習計画の作成 学習ロードマップ・用語ノート
2 Figma基礎 フレーム・グリッド・Auto Layout・コンポーネント UIキット模写1セット
3 UI原則の習得 タイポ・配色・コントラストチェック・可読性改善 スタイルガイド初版
4 情報設計 ユーザーフロー・ワイヤーフレーム・要件整理 フロー図・中忠実度ワイヤー
5 プロトタイピング 画面遷移・モーション設計・クリックプロト 操作デモ(動画化)
6 ガイドライン準拠 Material/iOSのパターン研究・適用 OS別UIの比較シート
7 評価の型化 ヒューリスティック評価・改善案作成 評価レポート
8 トレースとリデザイン 人気アプリの模写・課題抽出・再設計 ビフォーアフター比較
9 ユーザビリティ検証 少人数テスト・課題リスト化・再修正 テスト記録と改善版
10 デザインシステム デザイントークン・コンポーネント化・Variants ミニデザインシステム
11 ケーススタディ執筆 課題→プロセス→検証→学びの整理 ケーススタディ1本
12 総仕上げ レビュー・微調整・第三者フィードバック 提出用データ一式

日次・週次の学習ループ

短いサイクルで作って直す仕組みを固定します。

  • 日次(120分目安):インプット30分→アウトプット60分→振り返り30分
  • 週次:KPTで課題管理、第三者レビューを最低1回

到達基準の目安

デザインツールで基本機能が使えて、スマホの公式ガイドラインに沿った画面を統一感のある部品で作れること、色のコントラストに配慮できること、作品事例が3つあれば、独学の基礎としては十分です。

実践的な学習法(アプリ分析・トレース等)

実務に近い筋力は「観察→分解→再現→改善」で鍛えます。

アプリ分析(競合ベンチマーク)

モバイル/ウェブの主要プロダクトを選んで、オンボーディング、ナビゲーション、入力フォーム、フィードバックの4点で比較しましょう。良否の根拠はユーザビリティ原則とガイドラインに基づいて記録することが大切です。

トレースと再設計(リデザイン)

優れた画面を詳細に真似して、レイアウトや文字の工夫を分析します。問題点を見つけて改善案を作り、変更前後の効果を比較説明します。

プロトタイピングとユーザビリティテスト

クリックできる試作品を作って、何人かにテストしてもらいます。使いながら感じたことを話してもらい、重要度の高い問題から順番に改善して、もう一度確認します。

アクセシビリティ実装練習

コントラスト比の確認やフォーカス可視化、エラーメッセージの管理、音声読み上げの順序などをチェックリスト化しましょう。アクセシビリティ基準に沿って点検することが重要です。

おすすめ学習リソースと継続のコツ

公式情報で基準を掴み、コミュニティと演習で密度を上げます。

公式ドキュメント・ガイドライン

公式デザインガイドラインやアクセシビリティ基準を参考にして、UIの根拠を明確にします。

講座・演習プラットフォーム

オンライン講座で基礎を学んで、共有されているデザインファイルを参考にすると効率よく学習できます。

テンプレートとチェックリスト

各種テンプレート(要件定義、ユーザーフロー、ワイヤーフレーム、評価、テスト計画、スタイルガイド)を用意して、毎回の課題に活用することで品質を安定させられるでしょう。

継続のコツ

週10〜15時間の学習時間を決めて、進捗を記録アプリで管理しましょう。毎週作品をSNSで公開してフィードバックをもらい、改善を続けます。習慣にするコツは、簡単なことから始めて少しずつレベルアップすることです。

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ポートフォリオ作成のポイント

UIデザイナーのポートフォリオは「作品集」ではなく、課題発見から検証・改善までの意思決定を示すドキュメントです。 採用担当や現場デザイナーが短時間で適性を判断できるよう、ケーススタディ中心で構成し、KPIやテスト結果などの根拠を明示します。

採用されるポートフォリオの構成要素

書類選考でも面接でも見やすく、採用担当者が探しやすい構成にすることが大切です。2〜3つの作品事例を詳しく紹介しましょう。

セクション 狙い 推奨ボリューム 必須アウトプット
プロフィール・概要 強み・領域・役割を即時理解 1ページ以内 得意分野、関与フェーズ、使用ツール(Figma等)
スキル・ツール 要件定義〜情報設計〜UI実装のカバー範囲 箇条書き中心 IA、ワイヤーフレーム、プロトタイプ、デザインシステム、アクセシビリティ
ケーススタディ 思考プロセスと再現性の証明 2〜3件、各6〜12ページ目安 課題、仮説、KPI、検証、ビフォーアフター、成果(数値)
成果・学び 定量/定性の結果と改善サイクル 各ケース1ページ A/Bテストやヒューリスティック評価の示唆
連絡先・補足 選考の動線を明確化 短文 メール、提出形式(PDF/オンライン)

基本構成

プロフィールでは役割と担当範囲を明記しましょう。ケーススタディはペルソナやカスタマージャーニーマップで文脈を起点にして、デザインの意図と意思決定の根拠を各ステップで言語化することが重要です。

ケーススタディの書き方

 課題整理から要件決め、画面設計、試作、検証、改善の流れで進めます。ユーザーテストや比較テストで効果を確認し、数値データとユーザーの声で検証します。改善前後は画面を並べて変更点を説明しましょう。

成果の見せ方

成果は数値と改善度合いをセットで示しましょう(例:購入率12%向上、離脱率18%減少など)。具体的な数値が出せない場合は、どのように検証したかや使いやすさの評価結果を載せて、今後の改善予定も書いておきます。

未経験者が制作すべき作品内容

現実的なスコープで深く検証できる題材を選んで、1〜2件を濃く作り込むとよいでしょう。既存アプリのUI改善やミニアプリの新規設計がおすすめです。

題材の選び方

身近で使いやすさを判断しやすいもの(ToDo、家計簿、レシピ、読書管理、通販サイトなど)がおすすめです。課題がはっきりしていて、データを集めやすく、比較できるテーマを選ぶと効果を確認しやすくなります。

制作プロセス例

リサーチから始まって、ユーザー像を決めて、画面設計、試作品作り、テスト、改善という流れで進めます。デザインツールで統一された部品を作って、スマホとPCの両方に対応していることを示しましょう。公式ガイドラインに従った設計と、基本的なデザインルールをまとめておくことが大切です。

品質基準

タイポグラフィやカラー、アクセシビリティ、アニメーションなどの要素を定義しましょう。意匠よりも一貫性・ユーザビリティ・再利用性を優先することが大切です。

アウトプット 目的 ツール/仕様の要点
ワイヤーフレーム IAとレイアウト方針の検討 情報優先度、グリッド、SP/PCの差異
モックアップ 視覚表現の品質担保 タイポグラフィ、カラー、状態(Hover/Disabled)
プロトタイプ フロー・遷移の検証 クリックパス、アニメーション、マイクロインタラクション
デザインシステム/コンポーネント 一貫性と再利用性 UIキット、Auto Layout、バリアント、トークン
ガイドライン 実装・運用の指針 iOS/Android指針、レスポンシブ、アクセシビリティ
テスト結果 客観的な妥当性の証明 ユーザビリティ/ヒューリスティック評価、A/Bテスト

ポートフォリオの見せ方と改善方法

読み手(人事担当者や現場の人)や選考段階に合わせて、見やすく探しやすい構成にします。短時間で要点が分かり、詳しく知りたい時は詳細も確認できるように作りましょう。

掲載形式

ウェブサイトとPDFファイルの両方で用意しておくと安心です。文字で検索できるようにして、画像の容量を軽くし、目次とページ番号をつけましょう。採用システムで読み込まれることを考えて、職種名やスキル名は画像ではなく文字で書いておきます。

形式 想定閲覧環境 推奨 注意点
オンライン閲覧用 ブラウザ(PC/モバイル) 目次、内部リンク、軽量画像、テキスト検索可 機密はマスキングし、重要数値は範囲で表現
PDF 社内回覧・印刷 A4横、10〜20MB目安、埋め込みフォント 画像だけのPDFは避け、テキストを埋め込む
ギャラリー型 ビジュアル重視の一覧 サムネ+要点キャプション 詳細導線(ケーススタディ本文)を用意

レビューと改善

現役デザイナーにレビューを依頼して、一次印象や構造、根拠、再現性で評価してもらいましょう。改善は冗長削減から論旨補強、根拠追加の順で短サイクルに回すと効果的になります。

応募ごとの最適化

求人の条件(モバイル、企業向け、通販など)に合わせて、関連する事例を最初に載せましょう。秘密保持に注意しながら、自分の担当業務と決定権の範囲を明確に書いてください(例:要件の取りまとめ、指標設計、改善の優先決め)。

UIデザイナーの就職・転職活動

UIデザイナーの採用では、会社への理解、作品集の質、コミュニケーション能力が評価されるので、求人選び、資料準備、面接対策をセットで考えることが大切です。

求人の探し方と会社選び、書類選考・面接対策、未経験者のアピール方法を実用的な視点で説明します。

求人の探し方と企業選びのポイント

まずは求人チャネルを用途別に使い分けて、企業タイプごとの業務範囲と期待値を把握しましょう。募集要項の必須スキルや歓迎スキル、業務内容を確認して、現職のスキルとの差分を可視化することが重要です。

主な求人チャネルと活用法

複数の転職サイトを使い、スカウトと直接応募の両方で活動するのが効率的です。面談で募集の背景やチーム構成を確認しましょう。

チャネル 主なサービス例 特徴・使い方
総合転職サイト リクナビNEXT、マイナビ転職、doda、エン転職 求人数が多く比較が容易。検索条件に「UI/UX」「プロダクトデザイン」「自社サービス」を設定。
IT・Web特化 Green、Findy 成長企業の求人が多い。スキルタグ・職務要約を充実させスカウト率を高める。
クリエイティブ特化エージェント マイナビクリエイター、レバテッククリエイター ポートフォリオ添削や非公開求人に強い。要件の言語化を支援してもらえる。
ダイレクトリクルーティング Wantedly、ビズリーチ 募集背景を直接聞ける。カジュアル面談でミッション・評価制度・働き方を確認。
SNS・コミュニティ X、connpass 登壇・勉強会参加で接点を作る。発信は職務経歴書と一貫性を持たせる。

企業タイプ別の選び方

同じUIデザイナーでも、会社の種類によって仕事内容や評価基準が違います。自分がもっと学びたい分野に合った環境を選びましょう。

企業タイプ メリット 留意点
事業会社(自社サービス・SaaS) 長期的なUX改善や指標連動のUI改善に関与しやすい。 KPI責任と仮説検証のサイクルが重視される。
受託制作・制作会社 多様な業界・要件定義・情報設計の経験が蓄積しやすい。 納期・品質・予算制約の中での調整力が求められる。
スタートアップ 0→1からのプロダクト設計やデザインシステム構築を担える。 役割が広く、実装理解やドキュメント整備まで求められる。
大手IT・メガベンチャー 専門分化とナレッジ共有が進む。評価制度が整備されている。 選考難易度が高く、深い専門性や成果の再現性が求められる。

書類選考・面接対策

書類選考では、職務経歴書で役割と成果を数字で示し、ポートフォリオで進め方の正しさを伝えることが大切です。面接では課題の見つけ方や判断の理由、チームでの働き方が評価されます。

職務経歴書・履歴書の要点

職務経歴書は読み手(採用担当者、現場デザイナー、マネージャー)を考えて、プロジェクトごとに「背景、目的、担当内容、成果物、結果、学んだこと」を簡潔に書きます。使用ツールやチーム構成、開発方式を記載すると評価してもらいやすくなります。

項目 具体内容 評価ポイント
職務要約 担当領域と強み(情報設計、UI設計、デザインシステム運用など)。 募集要項との合致度、一貫したポジショニング。
プロジェクト 背景・KPI・担当範囲・成果(CVR、継続率、工数削減)。 指標を用いた成果の説明と意思決定プロセス。
スキル ツール、プロトタイピング、アクセシビリティ、HIG/Material理解。 職務に直結するスキルの深さと更新性。
連携経験 PM・UX・エンジニアとの連携、仕様策定、チケット運用。 再現性のあるコラボレーションの実例。

ポートフォリオ提出の最適化

ポートフォリオでは「見た目の美しさだけでなく、問題を見つけて調査し、設計して検証するまでの全体的な流れを示すことが大切です。1つの作品では10〜15ページで要点をまとめて、設計図や画面の流れ、試作品などを載せましょう。実務経験が少ない場合は、既存アプリの改善案や統一されたデザイン素材のサンプルを作って、考え方の過程を見せるといいでしょう。

面接・実技課題の対策

面接では状況・課題・行動・結果の順で回答を組み立てて、制約がある中での判断を具体的に説明しましょう。実技課題は提出前に狙いと優先順位、時間配分を明記して、同じ手順で再現できるプロセスを心がけることが大切です。

よくある質問・課題 意図 準備の観点
直近プロジェクトのKPIと成果 成果と貢献度、指標設計の妥当性を確認。 数値・期間・役割・代替案を即答できるように整理。
新規機能のUI設計プロセス 課題設定と要求整理、ユーザーフローの質を評価。 要件→情報設計→ワイヤー→UI→検証の痕跡を提示。
アクセシビリティ配慮 実装現実性とユーザー配慮の両立を確認。 色コントラスト、フォーカス、音声読み上げ対応の基本。
デザインと開発の橋渡し エンジニアリング理解と連携力を評価。 仕様書、トークン設計、コンポーネント運用の事例。

オンライン面接では通信環境の確認、作品の画面共有、質問時間を事前に準備しましょう。

実務未経験者のアピール方法

未経験でも、どれだけ深く学んだかと、きちんとした手順で進められることを示せば、採用してもらえる可能性があります。応募する会社に合わせて、作品の難しさや詳しさを調整しましょう。

未経験向けポジションの見つけ方

「ジュニア」「アシスタント」「第二新卒」といったキーワードで探して、契約社員・業務委託からの正社員登用も視野に入れましょう。募集要項で育成前提や学習支援、メンター体制の有無を確認することが大切です。

差別化できる成果物と実績の作り方

既存サービスの改善提案、ユーザー調査の結果、効果予測、画面設計、試作、デザインルール(色、文字、部品)、使いやすさへの配慮をまとめて提案します。時間とデータが限られる前提で判断し、他の選択肢も示すと納得してもらいやすくなります。

現場で期待される姿勢と学習継続の証明

デザインツールでの整理方法やファイル名の付け方、資料のまとめ方など、チーム全体で使いやすい形にできることをアピールしましょう。週ごとの学習記録や改善の過程を残しておくと、継続的に努力していることが伝わって信頼されやすくなります。

応募書類、作品集、面接での話を一貫したストーリーでまとめて、会社の課題をUIデザインで解決する道筋をはっきり伝えることが内定のコツです。

UIデザイナーのキャリアアップと継続学習

UIデザインは変化が速く、学びを継続できる人ほど市場価値が高まるでしょう。資格活用、トレンドの追跡、実務でのスキル深化という3つの軸でキャリアアップの具体策を見ていきます。

取得しておきたい関連資格

資格は必須ではありませんが、知識不足を補い、転職や評価で自分をアピールしやすくなります。以下はUIデザイナーの仕事に関連する資格と取得する目的です。

資格名 主催/区分 目的 主な領域 想定レベル
ウェブデザイン技能検定(1〜3級) 厚生労働省所管・国家検定 制作工程と品質管理の体系化 HTML/CSS、アクセシビリティ、ワークフロー 初級〜上級
色彩検定(1〜3級) 色彩検定協会・文部科学省後援 配色理論とカラーマネジメント強化 色彩理論、配色、視覚特性、UC 初級〜上級
カラーコーディネーター検定試験 東京商工会議所・公的検定 ブランドや商品企画での色活用 ブランディング、商品色、色彩計画 初級〜中級
HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト/専門家 人間中心設計推進機構・民間認定 HCDプロセスの実践力証明 調査設計、要件定義、ユーザビリティ評価 中級〜上級
UX検定(ベーシック) UXインテリジェンス協会・民間 UX基礎の体系化 リサーチ、情報設計、評価の基礎 初級
ITパスポート IPA・国家試験 ビジネスとITの基礎強化 経営戦略、IT基礎、セキュリティ 初級
Adobe認定プロフェッショナル(ACP) Adobe・ベンダー認定 制作ツール運用スキルの証明 Photoshop、Illustrator、XDの実務操作 初級〜中級

資格は取得するだけでなく、学んだことを実際の作品例として作品集で説明できるようになってこそ、仕事で役立ちます。

実務と資格のつなぎ方

模擬課題や社内タスクで学習内容を試して、配色の理由や評価の進め方を記録しておくと面接やレビューで説得力が増すでしょう。チーム勉強会で知識を共有すれば、学習が組織の財産になります。

業界トレンドのキャッチアップ方法

注目したい分野は、デザイン管理の仕組み、使いやすさ、動きの表現、AI活用、試作の効率化などです。

信頼できる情報源

最新の情報はデザイン系のブログやウェブメディアで追いかけて、基礎から応用まで様々なデザイン書籍を読むことが大切です。

コミュニティとイベント

各種デザインカンファレンスや勉強会で最新事例と実務者のワークフローを学ぶとよいでしょう。登壇や発表に挑戦することで理解がさらに深まります。

学習の定着サイクル

新しい情報を小さなテストで試して、結果を確認し、チームのルールに活かすサイクルを毎月続けます。学習記録やデザインの判断理由を残しておくと、後で同じことができるようになります。

新しい手法は調べるだけでなく、安全な範囲でサービスに取り入れて、経験をチームの基準に反映させましょう。

現役UIデザイナーのスキル向上術

スキルアップには、普段の仕事の中で学ぶのが一番効率的です。作ったものがどんな成果につながったかを確認して、改善まで一連の流れで進めましょう。

デザインシステム運用

デザインツールのコンポーネントや各種機能を整備して、命名規則とバージョン管理を徹底しましょう。開発ツールで実装と同期させ、アクセシビリティ基準を参考にコントラスト比やフォーカス状態をガイドライン化することが重要です。

リサーチと検証の内製化

ユーザーテストやインタビューを小規模で素早く行い、試作と比較テストを組み合わせて、顧客の体験を定期的に見直します。

データドリブンと仮説検証

購入率や利用継続率などの成果指標を決めて、数値データとユーザーの声を組み合わせて分析します。結果を分かりやすくまとめて、より良い判断ができるよう改善していきます。

9コラボレーションとリーダーシップ

デザインレビューを進行して、プロダクトマネージャーやエンジニアとチーム開発で連携しましょう。ワークショップやドキュメント運用、指導でチームの安定性と生産性を高めることが大切です。

スキル向上は個人の練習に留めず、ユーザビリティ改善とチーム生産性向上という成果につなげてはじめて評価されるでしょう。

UIデザイナーを目指す人のよくある質問

独学での習得難易度と現実的な期間

独学でUIデザインを覚えることはできます。難易度はやや高めで、画面設計や試作、使いやすさなど幅広い分野を学ぶ必要があります。基礎を理解してから実際のサービスで試し、ユーザーの反応で改善する流れを繰り返すことが、未経験からの近道です。

学習の難易度と到達基準

デザインの基本ルール、よく使われる画面パターン、公式ガイドラインの理解に加えて、デザインツールで効率的なレイアウト作成や統一されたデザイン部品を作れるようになると、仕事で役立ちます。どこまでできればいいかの目安は、要求を整理してから画面設計、操作の流れ、使いやすさの評価まで一通り説明できることです。

期間の目安と学習時間の考え方

学習時間は週の確保時間で見積もると現実的でしょう。基礎の理解には数十時間、転職・案件獲得レベルには継続的なアウトプットが必要になります。下表は到達レベル別の目安と成果物例を示しています。

目標レベル 学習期間の目安 到達指標 成果物例
基礎理解 数週間〜数か月(週10〜15時間) UI原則・ガイドラインの理解、Figmaの基本操作 既存アプリの画面トレース3〜5本、ワイヤーフレーム
実務準備 数か月(継続学習) 情報設計とプロトタイプ、デザインシステムの簡易構築 小規模アプリの再設計ケーススタディ1〜2件
転職・副業応募 数か月以上(案件想定で反復) 要件定義〜検証の一連のプロセス提示、レビュー耐性 リデザインと新規UI案のポートフォリオ(プロセス記載)

学習期間は勉強量と作品の質で変わります。独学では作品を定期的に発表することが重要なので、毎週の振り返りと他の人からの意見をもらうようにしましょう。

挫折しないための進め方

検索やフォーム、メニューなど小さな機能ごとに練習して、改善前後の比較と改善理由を記録しておきます。デザインツールで共通部品を作ってファイル名を統一し、「要求整理→設計→確認」の流れを短いサイクルで繰り返すと続けやすくなります。

副業・フリーランスとしての働き方

副業は短時間・限定的な改善案件に、フリーランスは要件定義やデザインシステム設計も含む長期案件に参加しやすい傾向があるでしょう。参加する段階と責任範囲を最初にはっきりさせることで、品質とリスクの両立ができます。

参画形態と案件の種類

働き方ごとの適性やタスクは下表が目安です。

働き方 向くフェーズ 主なタスク 成果物・引き渡し
副業(平日夜・週末) UI改善、画面追加、運用 ワイヤーフレーム、プロトタイプ、UIキットの拡張 Figmaファイル、コンポーネント、スタイルガイドの更新
フリーランス(準委任) 要件定義〜設計〜検証 情報設計、デザインシステム構築、ユーザビリティ評価 設計ドキュメント、ガイドライン、検証レポート
フリーランス(受託・請負) スコープ確定後の制作 画面設計一式、モーション・マイクロインタラクション提案 成果物一式と仕様書、移管手順、著作権の取扱い明記

進行と契約で押さえるポイント

秘密保持、成果物の範囲、著作権、修正回数、追加対応、外部委託の可否、データの納品形式を事前に決めることで、誤解を防げます。使いやすさの方針やガイドライン対応、画面サイズ対応も要件に含めましょう。

継続受注につながる品質基準

なぜそのデザインにしたかを説明できること、ファイル名の統一と部品の使い回し、余白や文字の一貫性、公式ガイドラインへの準拠、開発者への引き継ぎ資料の整備、仕様変更に対応しやすい共通ルールの運用ができることが評価されます。

他のデザイン職種からの転職可能性

Webデザイナーやグラフィックデザイナー、エンジニア、マーケターなどからの転身は十分に可能でしょう。出身分野の強みを活かしつつ、情報設計と検証の進め方を優先的に身につけることで選考通過率が高まります。

10.3.1 出身職種別の強みと補強ポイント

 転職前の職種と学習ポイントを紹介します。

出身職種 活かせる強み 補うべきスキル 最初の一歩
Webデザイナー ビジュアル設計、レスポンシブの経験 デザインシステム運用、Figmaのコンポーネント設計、ユーザーテスト 既存WebサービスのUI再設計と根拠の記述
グラフィックデザイナー タイポグラフィ、レイアウトの強さ インタラクション、状態管理、アクセシビリティ 状態(ホバー/エラー等)を含む画面設計のケーススタディ
フロントエンドエンジニア 実装理解、コンポーネント思考 ユーザー調査、情報設計、ビジュアル言語 FigmaでのUIキット作成と実装連携の設計
マーケター/PM KPI設計、仮説検証、要件定義 画面設計、プロトタイピング、UIパターン CV改善の仮説からUI検証までの一連の事例化

選考で評価されるポートフォリオの作り替え

改善前後の見た目だけでなく、どんな問題があったか、なぜその解決方法を選んだか、結果はどうだったかを順番に書きます。なぜそのデザインにしたのかを、目標との関係で説明できる作品事例が一番評価されます。画面の流れ、設計図、動く試作品、使いやすさへの配慮も一緒に載せましょう。

転職活動の進め方の現実的ステップ

関心のある領域を絞って、1つのプロダクトを詳しく調べたケーススタディを複数作りましょう。他の人に定期的に見てもらい、改善の経過を示すことが大切です。職務経歴書ではプロジェクトでの役割や進め方、成果、学びを簡潔に書いて、面接では要件定義から検証までの判断の流れを話せるよう準備することが重要になります。

 

まとめ

UIデザイナーは未経験からでも目指せる職種です。独学のほかスクールや講座で学ぶ方法もあります。まずはFigmaなどのツールで基礎を学び、既存サービスの改善提案をポートフォリオにまとめましょう。独学なら数か月の継続学習が目安です。デザインスキルだけでなく、なぜそのデザインにしたかを論理的に説明する力が重要です。実務に近い作品を作り、検証プロセスを示すことで転職成功率が高まります。

 ※本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としております。一部情報については更新性や正確性の保証が難しいため、最新の制度や要件については改めてご自身で各公式機関にご確認ください。

 

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