公開日:2025.08.01 / 最終更新日:2025.08.01 声優・歌手

絶対音感テストで確認!生まれつき持っている人の特徴・トレーニング方法・芸能人【相対音感との違いも解説】

絶対音感テストで確認!生まれつき持っている人の特徴・トレーニング方法・芸能人【相対音感との違いも解説】

絶対音感の定義や特徴、相対音感との違い、習得条件、トレーニング法、有名人の実例について解説します。自分の音感タイプの見分け方や効果的な鍛え方も紹介します。

目次

絶対音感とは?定義・特徴・仕組みを完全解説

絶対音感の正確な定義と判断基準

絶対音感とは、基準音なしに聞こえた音の音高を即座に判別する能力のことです。ピアノの鍵盤をひとつ弾いたとき、その音が「ラ」なのか「ソ♯」なのかを他の音と比較せずに分かる力で、日本では「生まれつきの才能」とされています。

この能力があるかどうかは、任意の音を聞いた際に基準音を使わずに正確に答えられるかで判断されます。一般的な絶対音感テストも、この基準で作られているのです。

絶対音感を持つ人に見られる共通の特徴

絶対音感を持つ人には、共通するいくつかの特徴が存在します。

  • 音を「色」や「イメージ」として捉える傾向がある(共感覚的な感覚を持つ人も多い)
  • 幼少期にピアノやヴァイオリン等、音高が明瞭な楽器での早期教育に触れている
  • ドレミだけでなく、全音階のシャープ・フラットも即時に判別可能
  • 周囲の生活音(例:掃除機や電子音)も無意識に音名として聞き取ってしまう
  • 初めて聞く旋律・和音でもスムーズに楽譜化できる(楽曲暗譜能力が高い)

また、絶対音感を持つ人は相対音感(音程を判別する能力)も同時に備えていることが多いです。しかし、音楽以外の場面で「音名が気になって集中できない」「音程のズレに敏感になりすぎる」といった悩みを抱える人もいます。

さらに、遺伝的要因や育った環境、母語(日本語のような高低アクセントのある言語)の影響も、絶対音感の習得に関わっているとされています。

絶対音感テストで自分の音感をチェック

自分が絶対音感を持っているかどうかは、実際にテストを行うことで分かります。ここでは、誰でも無料でできる絶対音感テストのやり方、よくある間違いと正しい判定方法、テスト結果の見方について解説していきます。

正しい絶対音感テストの方法と手順

絶対音感テストは、「ド」「レ」「ミ」などの単音を聴いて、その音名をすぐに正確に答えられるかを見る検査です。一般的にはピアノや音叉で単音をランダムに弾き、即座に音名を答えてもらいます。

家庭で行う場合は、次の手順を参考にしてください。

  1. ピアノや無料のオンラインピアノアプリなど、正確な音が出せるツールを準備する
  2. テストする人は楽器が見えないようにし、目を閉じる
  3. 任意の単音(白鍵・黒鍵混在がおすすめ)を10回ランダムに鳴らす
  4. 鳴った音の音名(例:ド、レ♯、ソなど)を毎回すぐに答える
  5. 正答数を記録し、判定基準と照合する
手順 ポイント 注意点
ピアノやキーボード、アプリを用意 正確なチューニングがされた楽器がおすすめ ギターなどピッチが不安定な楽器は不向き
被験者は目を閉じる 音からのみ判断できる環境にする ポジションを予測できると正確な判定が困難
白鍵・黒鍵を混ぜて10音出題 幅広い音域を出すのが理想 事前に音階やパターンを覚えさせない
即座に音名で答える 考える時間は1~2秒以内 ゆっくり答えた場合は判定が難しい
正解数を集計する 10回中8回以上の正答で絶対音感の可能性 カンニングや推測は禁止

間違ったテスト方法と「偽性絶対音感」の見分け方

絶対音感のテストは細かなルールを守らないと「正確な判定」ができません。次のような誤った方法や「偽性絶対音感(疑似絶対音感)」には注意しましょう。

  • ピアノの位置や手の動きが見えてしまう(視覚情報の影響を受ける)
  • 何度も練習済みの特定音しか出題しない
  • モチーフや伴奏がつく、音が重なる
  • 音が複数同時に鳴る(和音認識)だけをテストする
  • 考える時間が長すぎる(記憶を頼りにしている)

偽性絶対音感とは、特定の基準音(例えばA=ラの音など)から相対的に他の音名を割り出す能力のことです。絶対音感とは違い、短期間で失われやすく、音名をすぐに答えることができません。

能力 特徴 典型パターン
絶対音感 どの音も即座に音名で判別可能 全12音全域に対応、混乱がない
偽性絶対音感 「ド」や「ラ」など基準音と比較して判別 覚えた音以外は苦手、考える時間が長い

テスト結果の正しい解釈と判定基準

絶対音感テストの結果から得られる情報を正しく読み解くためには、判定基準の理解が必要です。

正答数(10問) 判定 考えられる音感
8〜10問 絶対音感あり どの音も即座に音名で識別している
5〜7問 部分的絶対音感 特定の音域や音色は即答できるが、全域は難しい
4問以下 相対音感主導型 相対音感や音程感覚を活用している可能性が高い

また、絶対音感があれば即答が基本ですが、迷いや「うーん…」と考えてしまう場合は、相対音感や記憶に頼っている可能性があります。本物の絶対音感なら考えずとも一瞬で音名が分かるものです。

年齢、楽器歴、訓練経験なども合わせて慎重に判断する必要があります。子供のうちに自然にできている場合、本物の絶対音感である可能性が高いでしょう。

絶対音感を持つ人の割合と希少性の真実

なぜ日本人に絶対音感保有者が多いのか

日本は「絶対音感保有者が多い国」と言われることがありますが、これは幼少期からの音楽教育が普及していることが理由です。特に3歳から5歳の臨界期に、ピアノやヴァイオリンなどの音名を重視した音楽レッスンを受ける子どもが多いため、統計上やや高い割合になっています。

日本の音楽教室では、幼児期に「ドレミ」の言葉と音を一致させる訓練が行われており、この時期の教育経験が絶対音感の発現に大きく影響するとされています。

ただし、日本人に絶対音感を持つ人が「比較的多い」といっても、世界基準で見ればきわめて低い割合であることを理解しておく必要があるでしょう。

「部分的絶対音感」「仮性絶対音感」との区別

「絶対音感」とは「1音を聴いただけで即座に音名を言い当てる」能力とされていますが、実際には全ての音が完全に当てられない「部分的絶対音感」や、「参考となる基準の音」を頼りにする「仮性絶対音感」も存在します。

タイプ 特徴
完全絶対音感 基準音不要・楽器や声問わずすべて即答可能 ピアノでもバイオリンでも「ド」と聴けば「ド」と即答
部分的絶対音感 特定の音域・特定の楽器限定で音名識別可能 ピアノの白鍵のみ判断できる等
仮性絶対音感 最初に「ラ」等の基準音を聞いてから相対的に判断 基準があれば他の音も名前がわかる

音楽教育やネット上の絶対音感テストでは「部分的絶対音感」や「仮性絶対音感」と「完全絶対音感」が混同されることが多く、厳密な意味での絶対音感保有者の割合はさらに低くなります。

自分やお子さんに「絶対音感があるかも?」と思った場合は、正しいテスト方法で確認し、専門家の評価も参考にしましょう。

絶対音感と相対音感の違い|どちらが音楽に重要?

絶対音感と相対音感の基本的な違いと特徴

絶対音感は、基準音や他の音との比較なしに、単独で鳴った音の高さ(音名)を即座に特定できる能力です。たとえばピアノの鍵盤を一つ叩いただけで「これはソ♯だ」と音名を認識できるのが特徴といえます。

一方、相対音感は基準となる音や前後の音と比較して、音程差や和音の構造をとらえて音を判別する能力のことです。メロディーや和音を聞き取り、音楽の流れや転調、楽譜の移調演奏がしやすいという特徴があります。

音感の種類 能力の概要 特徴 必要な比較
絶対音感 絶対的な基準で音の高さを即座に識別 単音を聞いて音名を特定可能 不要
相対音感 音同士の関係性や音程差を識別 音の流れ・和音構造の把握が得意 必要

音の認識方法と脳の処理プロセスの比較

絶対音感と相対音感では音の聞き方や脳内処理のプロセスが大きく異なります。絶対音感の場合、聴覚情報が即座に長期記憶の中の「音名」とマッチングし、自動的に音高をラベリングするのです。脳科学的には、左側頭葉の言語野近傍が活性化し、ピアノ音色などを一音ずつ正確に聴き分けることができるとされています。

これに対し相対音感は、基準となる音を一度記憶してから「前に聞いた音との差」を感じ取って音程や旋律・和音を識別していきます。この際は脳の前頭葉やワーキングメモリが活発に働き、幅広い音楽ジャンルで応用の利く基礎力になるわけです。

項目 絶対音感 相対音感
音の認識法 単独音を直接「ド・レ・ミ…」と音名変換 前後の音との音程差・相対的な間隔をとらえる
脳の主な活動部位 左側頭葉(言語野寄り) 前頭葉・側頭葉(記憶や音程処理)

音楽学習・演奏においてどちらが重要か

音楽学習や演奏活動では、絶対音感・相対音感それぞれが違った場面で重要な役割を果たします。絶対音感があると、新曲の譜読みや難しい現代曲の正確な音取り、瞬時に曲を聴き取る「耳コピ」が楽になります。さらに、複雑な和音や転調の多いクラシック作品でも高い再現性を発揮するのです。

これに対し相対音感は、移調やアドリブ、即興演奏、合奏時の音程感覚など「応用力」が求められる場面で欠かせません。J-POPやバンド演奏の現場では、移動ド(移調)や伴奏のキー変更への対応で相対音感が活かされています。また、大人になってからでも向上でき、音楽的な幅広さを支えてくれます。

音楽シーン 絶対音感の強み 相対音感の強み
譜読み 初見でも正確な音取り 移調譜や変奏にも柔軟に対応
演奏 一発で正しい音程を再現 合奏中のハーモニー感&即応力
作曲・編曲 複雑な和音もすぐに聴き分けられる メロディ、ハーモニーの組み立て力
その他 耳コピ・正確なチューニング アドリブ・即興、転調への適応

総合的に見ると、プロの演奏家や作曲家といった専門職では両方の能力をバランスよく持っていることが理想といえるでしょう。初心者の場合も、相対音感を身につけることで多くの音楽ジャンルを楽しめるようになるため、大人になってからでも音楽の世界を広げる良い土台になります。

絶対音感は生まれつき?習得の条件と年齢制限

絶対音感の先天性と後天性に関する科学的事実

絶対音感は長年「生まれつきの才能」と考えられてきましたが、近年の神経科学や発達心理学の研究により、遺伝的な要素とともに幼少期の適切な音楽環境やトレーニングが大きく影響する後天的能力であることが分かってきました。一般的に、親や祖父母に音楽家がいる家庭では音楽への感受性が強くなったり、音感の発達が見られる傾向があります。

ただし、遺伝的な要素だけでなく、「幼少期にたくさんの正確な音(絶対的な基準音)に触れる経験」が絶対音感の獲得には欠かせないことが、いくつかの国内外研究で示されているのです。

習得可能な年齢(臨界期4歳9ヶ月まで)の根拠

絶対音感の習得については、「臨界期仮説」が広く認められており、4歳から6歳頃までの「音感臨界期」に集中的な訓練が必要というのが、多くの専門家の共通した見解になっています。特に日本の音楽教育現場では、「4歳9か月までに絶対音感トレーニングを開始すれば習得できる可能性が高い」という専門家の研究・実践が知られているのです。

この時期を過ぎてから訓練を始めた場合、ほとんどは相対音感までしか身につかないとされています。

年齢(開始時点) 絶対音感獲得の可能性 特徴的な傾向
0~4歳9か月 非常に高い トレーニングで取得できる確率が最も高い
5~6歳 一部可能 個人差が大きく、成果が分かれる
7歳以降 極めて困難 ほとんどが相対音感止まり

このように、絶対音感の獲得には幼児期の臨界期を逃さないことがとても大切です。

自然に身につく絶対音感と訓練で身につく絶対音感の違い

絶対音感は、「自然に身につく場合」と「トレーニングで獲得する場合」があります。生まれつき音高に敏感な子どももいますが、ほとんどは適切な指導が必要なのです。

自然に身につくタイプは、家庭に豊かな音楽体験があったり、生活に「基準音」がある場合に見られます。ただし、これは例外的で、ほとんどは体系的なトレーニングで身につくものです。

トレーニングによる絶対音感は、ピアノ教室や専門プログラムで「音」と「名称」を結びつけて反復する方法になります。どちらも幼児期の脳の可塑性を活かした訓練が効果的とされているのです。

タイプ 習得方法 特徴
自然獲得型 日常的な豊かな音楽環境 例外的だが訓練なしで発現
訓練獲得型 体系的トレーニング 幼児期の反復で確実な習得率

どちらの方法でも成人してから絶対音感を新たに獲得することは、科学的に見て極めて難しいとされています。大人になってから音感を伸ばす場合は、相対音感が向上するケースが多いのです。

絶対音感のトレーニング方法|家庭での実践法

絶対音感プログラムの具体的内容と効果

絶対音感プログラムは、4歳9ヶ月までの子供を対象に、色積み木を使いながら和音(単音と和音5種類)を聴き分ける能力の習得を目指すのです。具体的な特徴を見てみましょう。

トレーニング内容 使用教材・ツール 期待される効果
和音聴き分け(主に長三和音・短三和音・減三和音・増三和音など) 色積み木・キーボード 和音の種類を瞬時に識別する能力が身につく
単音聴き分け・音名唱(例:ド・レ・ミ…) ピアノ・色カード 音を音名や色と結びつけて記憶する習慣を作る
反復練習による短時間集中トレーニング タイマー・教材シート 集中力向上と習慣化

家庭でできる幼児向け絶対音感トレーニング

専門の教室やピアノ教室に通わなくても、家庭で取り組める絶対音感トレーニングの方法があります。以下のポイントを実践すれば、日常生活の中でも音感を高めることができます。

  • 日常の音に意識を向ける:ドアベルや電子レンジ、車のクラクションなど、生活の中で鳴る様々な音を「これは何の音の高さ?」と親子でクイズ感覚で言い当てる習慣をつけましょう。
  • ピアノやキーボードで音名当てゲームをする:親が適当に鳴らした単音や和音を、子供が音名で答える練習を繰り返します。色カードや色積み木を使うと、幼児にも分かりやすくなります。
  • 歌遊びや童謡で音名唱:好きな歌や童謡を「ドレミ」で歌う習慣を取り入れることで、絶対音感の下地が作れます。できるだけピアノ伴奏付きで行うと効果的です。

絶対音感のトレーニングは、毎日コンスタントに取り組むことが最も重要です。 子供の集中力が続く短い時間(5~10分)で、楽しく続けることを心がけましょう。

家庭用トレーニング例(1週間のモデルプラン)

曜日 メイン練習内容 ポイント
ピアノで単音当てゲーム 正解したらシールや小さなごほうびを用意
生活音で「音探し」クイズ 家族みんなで参加して盛り上げる
好きな童謡を「ドレミ」で歌う 苦手な音程は繰り返し意識して練習
和音の種類を聞き分ける キーボードやアプリを活用
色カードで音名を覚える 色と音を結びつけて覚えると楽しい
親子で「聞き分け競争」 ゲーム感覚で勝負すると意欲アップ
1週間の総復習 できたことをほめて自己肯定感を高める

トレーニング時の注意点と成功のポイント

絶対音感トレーニングには、保護者や指導者の適切な配慮が大切です。特に、次のような点に気をつけて実践してみてください。

  • プレッシャーや過度な競争を避ける:無理やり取り組ませたり他の子供と比べることは逆効果です。音楽を楽しむ気持ちを大切に。
  • 「正解・不正解」にこだわりすぎない:間違いを責めるのではなく、できたこと・努力したことをほめて、自信を育てましょう。
  • 臨界期(おおよそ4歳9ヶ月まで)のうちに始める:研究上、臨界期を過ぎると純粋な絶対音感獲得は難しくなるため、幼児期からのスタートが効果的です。
  • 毎日「少しずつ」「楽しく」継続:短期間で成果を出そうとせず、コツコツと続けていくことで自然と音感が伸びます。

絶対音感のトレーニングは、本人の興味や成長段階に合わせて柔軟に行い、音楽の楽しさや表現力を広げることを一番大切にしてください。

絶対音感のメリット|音楽活動での圧倒的な優位性

楽譜読解・暗譜・移調における絶大な効果

絶対音感を持っていると、楽譜の読解や暗譜がとても効率的になります。音の高さを聴き取る力があるため、演奏中に音符を目で追わなくても、頭の中で正しい音程をイメージして楽曲を再現できるのです。これは、モーツァルトやショパンなどの著名な作曲家が暗譜演奏を得意とした理由の一つとしても知られています。

また、曲の移調(キーを変えて演奏すること)の際にも正確に音程を判断できるため、従来は難しかった大幅な移調も素早くこなせます。これは特に合唱やアンサンブルで他の演奏者をサポートするときにも大きな強みになるでしょう。

耳コピ・即興演奏・作曲での活用法

絶対音感は耳コピ(聴いた音をそのまま楽譜に書き取る技術)や、即興演奏、作曲においても大きなメリットになります。たとえば、テレビやラジオで流れる楽曲、CMソングなどの音楽を瞬時にキーやコードまで細かく聴き分け、すぐに再現できるのです。

特にポップスやジャズでは、キー変更が頻繁に行われたりアドリブ演奏が求められるシーンが多く、絶対音感を持つ人はそれに柔軟に対応できます。日常的にさまざまな音楽を分析できるため、和声法や作曲技法の理解も早まり、自分の音楽表現の幅が広がるでしょう。

楽器演奏とチューニングでの実用的メリット

ピアノ・バイオリン・ギターなど幅広い楽器において、絶対音感があるとチューニング(調律)作業がとてもスムーズになります。チューナーがなくても正確に基準音を把握できるため、グループ演奏でも素早く音合わせができ、演奏前の調整時間を大幅に短縮できるのです。

楽器名 絶対音感の活用例
ピアノ 調律後の確認や、暗譜演奏時にも正確な音をイメージ可
バイオリン 演奏中のズレを即座に感知し、リアルタイムで修正
吹奏楽器 全体のチューニング合わせで基準音を自分で出せる
ギター 弦ごとの差異を微細に認識し、細かな調整が可能

複数人が演奏する場面でも、全体の音のピッチのズレをいち早く検知・調整できる貴重な存在として重宝されます。

絶対音感のデメリット|日常生活での困りごとと対処法

日常生活音が音名で聞こえる問題と影響

絶対音感を持つ人は、環境音や生活音までもが「ド」「レ」「ミ」など音名に自動的に変換されるという特有の知覚を持っています。たとえば、電車のドアの開閉音や電子レンジの音、警報器のブザー音などもすべて音名として聞こえるため、意識しなくても常に音情報が頭の中を占領しやすいのが特徴です。そのため、生活の中で些細な音にも注意が向きやすく、他人より集中が妨げられる場合があります。

また、音の微妙な高低で「本来の音と違う」と感じ、不快に思うケースもあるため、公共の放送音や家電の電子音、学校のチャイムなどに敏感に反応してしまう人も多いのです。

音楽鑑賞で純粋に楽しめなくなるリスク

絶対音感を持つ人の中には、演奏の微細な音程のずれや、楽器ごとのチューニング違いが気になりやすいという傾向が見られます。例えば、ピアノや弦楽器などのライブ演奏で楽器のピッチが標準よりわずかに高かったり低かったりすると、「ソの音が半音高い」と瞬時に気付いてしまうため、感動よりも違和感が前面に出てしまうことがあるのです。

また、洋楽やJ-POPなどで移調や特殊なチューニングが用いられた楽曲では、音名感覚による「脳内補正」が自動的に働くことがあり、初めて聴く楽曲を素直に楽しみにくくなる場合も報告されています。

移調楽器演奏時の違和感と実用的な解決策

絶対音感を持つ人にとって、クラリネットやサックスなどの「移調楽器」はとくに対応が難しいとされています。譜面には「ド」と書かれていても実際に演奏すると「シ♭」の音が鳴る場合、頭の中では「違う音」として認識され混乱が生じやすいのです。同様に、オーケストラで頻繁に使われるトランスポーズ(移調)にも苦労することがあります。

こうしたデメリットへの対処法は、あらかじめ移調楽器の特性を理解し、練習時に譜面上の音名と実際の音の関係を繰り返し確認することや、「相対音感」を意識的に併用して音程を捉えるトレーニングを取り入れる方法が効果的でしょう。

絶対音感による困りごとと対処法一覧

主な困りごと 具体例 推奨される対処法
生活音がすべて音名で聞こえる 電車の音や機械の警告音、チャイムなどが「ド」「ミ」「ファ」などに即座に変換されてしまう 意識的に「BGM」と割り切って流す、環境音を「ただの音」と捉える認知行動トレーニング
音楽鑑賞での没入感減少 音程のわずかなズレや移調が気になり、純粋に曲を楽しみにくい 相対音感練習を取り入れる、楽曲の全体構造やリズム・旋律の美しさにフォーカスする意識改革
移調楽器演奏時の混乱 譜面の音名と実際に鳴る音の違いに頭が混乱してしまう 反復練習による慣れ、「移調を前提」とした相対音感での演奏経験を増やす
ほかの人との音への感じ方の違い 他人は気づかない違和感や不快感を自分だけ強く感じてしまう 周囲との違いを理解し、自分の気質として受け入れる意識を持つ

相対音感なら大人でも習得可能!効果的な鍛え方とトレーニング法

相対音感とは?基本的な仕組みとトレーニングの流れ

相対音感は、基準となる音との音程を正確に認識し、音を聞き分けたり再現したりできる能力です。絶対音感のように音をピンポイントで特定するのとは異なり、相対的な音の高さの違いを理解することが特徴になります。

この能力は大人になってからでも、音楽経験やトレーニングで習得可能とされているのです。音楽活動において「メロディの耳コピ」「ハーモニーの理解」「即興演奏」「移調演奏」など、多様な場面で重要な力となります。

相対音感の習得には、段階的なトレーニングと継続的な練習が有効です。ここからは、具体的な方法と効果的なトレーニング例を解説していきます。

耳コピ・楽器演奏による実践的な相対音感向上法

実際の楽曲を使い、「耳コピ」や「楽器演奏」を通じて音程感覚を身につける方法が特に効果的です。ピアノ・ギター・ボーカルなど得意分野から始め、無理なく楽しみながら続けることがコツになります。

以下の方法を組み合わせて実践してみてください。

トレーニング方法 具体的なやり方 期待できる効果
メロディの耳コピ 好きなJ-POP・アニメソングなどを聞き、ピアノやスマホアプリで音を探しながら一音ずつ再現 音程感覚・音階の流れを正確にとらえる力が養われる
ハーモニーの分解 コードや伴奏の和音を聞き取って、個々の音に分けて楽器で再現 音の重なりから音程差を認識する耳が育つ
歌唱でのセルフトレーニング 基準音(例:C=ド)を聴き、そこから特定の音程を声で正確に歌う 音感と発声を同時に鍛えられる
移調練習 知っている曲を別のキー(調)で歌ったり演奏したりする 相対的な音高把握能力、移調力が身につく

音階練習と発声トレーニングの具体的な組み合わせ方

音階練習と発声トレーニングを組み合わせることで、相対音感の基礎をより確実に体得できます。日本では「コールユーブンゲン」や「ソルフェージュ」などの教材が有名です。また、ピアノアプリやキーボードなどデジタルツールも活用してみてください。

以下のようなステップで練習することをおすすめします。

ステップ 具体的な練習例 ポイント
音階の上昇・下降練習 ドレミファソラシド・ドシラソファミレドを歌う 音の間隔を正確に感じながら行う
階名唱法の導入 ピアノで鳴らす単音に合わせて「ド-レ-ミ…」と声に出す 基準の「ド」を常に意識する習慣をつける
音程跳躍トレーニング 「ド→ソ」「ド→ミ」など広い音程を声で再現 2度・3度・5度などさまざまな音程パターンを繰り返す
聞き取りクイズ 家族やアプリでランダムな音程(例:ド→ラ)が流れ、それを階名で答える ゲーム感覚で行うと継続しやすい

大人になってからでも、正しい方法で「音を聴く」「発声で再現する」「楽器で弾く」という複合的なトレーニングを継続すれば、相対音感は確実に伸ばせます。日々の生活や趣味の中に自然に音感トレーニングを取り入れましょう。

まとめ|絶対音感と相対音感を正しく理解して音楽ライフに活用しよう

絶対音感と相対音感は、それぞれ異なる特性と役割を持っています。幼少期からのトレーニングによって絶対音感の習得は可能ですが、相対音感は大人でも効果的に鍛えられます。自分の目的や年齢、音楽活動に合わせたトレーニング法を選ぶことが、より充実した音楽ライフへの第一歩になるでしょう。

※本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としております。一部情報については更新性や正確性の保証が難しいため、最新の制度や要件については改めてご自身で各公式機関にご確認ください。

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