
「不登校のままで卒業できるのか」「卒業式には出なければならないのか」といった不安を抱える方は多いですが、結論から言えば、中学校は出席日数に関係なく卒業できます。日本の義務教育では、本人の登校状況を問わず卒業が認められる仕組みになっているためです。
この記事では、出席日数と卒業の関係、式への参加方法、高校受験や内申点への影響、そして卒業後の進路について詳しく解説します。文部科学省の指針や経験者の事例を交え、お子さんの状況に合わせた選択肢を整理しました。これからの進路を考える参考にしてください。
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欠席が続くと「このままでは卒業できないのでは」と不安になりますが、結論から言えば、中学校は出席日数に関わらず卒業が認められるのが原則です。
義務教育における「義務」とは、子どもが学校に通う義務ではなく、保護者が子どもに教育を受けさせる義務(就学義務)を指します。学校教育法により、保護者は子どもを小中学校に就学させる役割を担いますが、子ども自身に登校を強制する法律はありません。本人が学校に行けない状態であっても、保護者がその環境を整えようとしていれば、法的な義務は果たされているとみなされます。
中学校の卒業要件には、法律上の「最低出席日数」という規定が存在しません。高校とは異なり、中学校では校長の判断によって卒業が認められます。実際、公立中学校では3年間一度も登校していなくても卒業証書が授与されるのが一般的です。これは、義務教育の修了を制度として保障するための配慮です。
極めてまれですが、保護者が希望した場合には「原級留置(留年)」が認められることもあります。これは欠席への罰ではなく、学習機会を確保するためにもう一度同じ学年をやり直したいという判断に基づくものです。ただし、校長の許可と保護者の同意が必要であり、義務教育期間中に適用されるケースは非常に少ないのが実情です。
| 学校種別 | 卒業要件 | 出席日数の影響 |
| 公立中学校 | 校長の判断により卒業可能 | ほぼ影響なし |
| 私立中学校 | 学校の規定による | 規定による場合あり |
公立と私立では、卒業に関する考え方が異なる場合があります。公立は義務教育の性質上、不登校でも卒業できますが、私立は独自の規定を設けていることがあるため、早めに学校側へ確認しておくのが安心です。
「卒業できること」と「希望する進路に進めること」は別問題として考える必要があります。卒業資格自体は得られますが、全日制高校の一般入試では、欠席日数や成績(内申点)が合否に影響するケースがあるからです。ただし、通信制高校や定時制高校など、不登校の経験を前提とした受け入れ先も多く存在します。まずは『今のままでも中学校は卒業できる』という事実を知り、少し肩の力を抜いてください。ここからの進路は、今すぐ完璧に決めなくても大丈夫です。お子さんの体調や気持ちが落ち着いてからでも、通信制や定時制など選べる道は残されています。一歩ずつ一緒に考えていけば、取り返しがつかなくなることはありません。
卒業式への出席にプレッシャーを感じるお子さんや保護者は多いですが、式を欠席しても卒業資格には一切影響しません。卒業証書も、式への出欠に関わらず必ず受け取ることができます。
卒業式はあくまで「学校行事」の一つであり、教育課程を修了したことを認める「卒業認定」とは別物です。義務教育である中学校では、学校に在籍していれば卒業が認められるため、式に出ることが条件になることはありません。本人の気持ちを最優先にし、無理に出席する必要はないと考えておきましょう。
卒業式を欠席する場合、証書の受け取りには主に以下の方法があります。学校によって対応が異なるため、事前に相談しておくとスムーズです。
| 受け取り方法 | 詳細 | メリット |
| 保護者による代理受領 | 卒業式当日または後日、保護者が学校で受け取る | 本人の負担がなく、確実に受け取れる |
| 後日の個別受け取り | 卒業式後の指定日に本人または保護者が来校 | 人目を気にせず静かに受け取れる |
| 郵送 | 学校から自宅へ郵送してもらう | 来校する必要がない |
| 別室での授与 | 卒業式当日、別室で個別に授与 | 式には出ないが当日に受け取れる |
※郵送は対応していない学校もあるため、確認が必要です。
一斉の式典は難しくても、負担の少ない形で参加する方法もあります。
学校側も柔軟に対応してくれるケースが多いため、まずは「これならできそう」という形を相談してみてください。
欠席を決めた場合は、遅くとも1週間前までには学校へ伝えておきましょう。学校側も座席配置や証書授与の準備があるため、早めの連絡が親切です。 また、卒業アルバムや記念品も当日に配布されます。これらをいつ、どのような形で受け取るかも併せて確認しておくと、後々のやり取りが一度で済みます。
何より、式に出られないことに罪悪感を持つ必要はありません。心身の健康を第一に考え、納得できる形で節目を迎えましょう。
中学校卒業後の進路は、全日制高校以外にも幅広く存在します。不登校の経験を前提としたサポートがある学校も多いため、状況に合わせた5つの選択肢を紹介します。
不登校であっても全日制高校への進学は可能です。内申点が気になる場合は、当日の学力試験を重視する学校や、面接・作文で人物評価を行う学校を選ぶのが現実的です。 私立高校の中には、不登校生の受け入れに理解があり、入学後のフォロー体制を整えている学校もあります。まずは個別相談会などで、実際の支援状況を確認してみるのがよいでしょう。
自分のペースで学びたい方に最も選ばれているのが通信制高校です。自宅学習が中心で、レポート提出とスクーリング、期末試験を通じて単位を取得します。
| 特徴 | 内容 |
| 登校頻度 | 年間数日~、週1~4日程度 |
| 学習スタイル | 自宅学習中心、オンライン授業も充実 |
| 卒業資格 | 全日制と同じ高校卒業資格 |
| 入学試験 | 面接・作文が中心で学力試験がない学校も多い |
最近はプログラミングや芸術など、特定の専門分野を学べるコースを併設する学校も増えています。
定時制高校は、夜間や昼間の特定の時間帯に通学するスタイルです。少人数クラスが多く、似た境遇の生徒が在籍しているため、アットホームな環境で再スタートを切りやすいのが特徴です。 3年で卒業できる昼間定時制や、学費を抑えながらアルバイトと両立できる環境など、多様な学び方があります。
高等専修学校は、職業教育を中心とした専門的な技術や知識を学べる学校です。特定の技術(美容、調理、IT、福祉など)を専門的に学びたい場合は、高等専修学校が選択肢に入ります。 「技能連携制度」を利用できる学校であれば、専門スキルの習得と同時に通信制高校の卒業資格も取得可能です。早期に実社会で役立つ資格を手にしたい方に適しています。
卒業後に就職する道もあります。ただし、中卒求人は限られるため、地域の就労支援窓口などを活用し、スキルを身につけながら仕事を探すのが一般的です。 働きながら通信制高校に通い、後から高校卒業資格を取得するケースも少なくありません。焦って就職を決める前に、長期的なキャリアも考慮しておきましょう。
最も重要なのは「無理なく通い続けられる環境かどうか」です。偏差値だけでなく、実際の学校の雰囲気や、今の自分に必要な配慮が得られるかを重視してください。 まずは気になる学校の資料を取り寄せ、可能であれば見学に足を運んでみることから始めましょう。自分のリズムで動ける場所を見つけることが、次のステップへの近道です。
不登校の状況で受験を考える際、最も気になるのが「内申点(調査書)」への影響です。多くの公立高校では当日の学力検査と内申点の合計で合否が決まるため、その仕組みと対策を正しく把握しておきましょう。
内申点は、各教科の成績や出席状況、学校生活の記録をまとめたものです。地域により算出方法は異なりますが、主に以下の項目が評価対象となります。
| 評価項目 | 内容 | 不登校時の影響 |
| 各教科の評定 | 5段階または10段階評価 | 定期テストを受けられないと評価が困難 |
| 出席日数 | 年間の出席状況 | 欠席日数が多いと記録される |
| 特別活動 | 委員会活動、行事参加など | 参加機会が少ないと記載が少なくなる |
長期欠席によって定期テストを受けられないと、成績がつかない(斜線や「1」になる)リスクがあります。また、調査書に欠席日数が明記されるため、一見すると不利に思えるかもしれません。
しかし、すべての高校が内申点を重視するわけではありません。近年は、入試当日の点数を重視して逆転可能な枠を設けたり、不登校の事情を考慮した特別選抜を実施したりする公立高校も増えています。
内申点に不安がある場合、以下のような選択肢を検討するのが現実的です。
少しでも評価を確保するために、以下のような工夫ができる場合もあります。
志望校を選ぶ際は、各校の募集要項を読み込み、「学力検査と内申点の比率」を確認してください。内申点の比率が低い学校や、特定の条件下で欠席を不問にする制度がある学校を優先的に探すと、合格の可能性が高まります。
不安な場合は、中学校の進路指導担当や教育委員会の相談窓口を活用し、今の状況で受けられる配慮がないかを確認してみるのが最初の一歩です。
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学校に通うことが難しくても、自宅で学習に取り組むことで「出席」としてカウントされる制度があります。文部科学省の指針に基づき、一定の条件を満たせば学校長の判断で出席扱いが認められます。
この制度は、不登校の状態にある生徒がICT(パソコンやタブレット)などを使って自宅で学んだ際、その活動を指導要録上の「出席」として認めるものです。平成17年の通知以降、時代に合わせて要件が緩和されており、現在では多くの自治体で導入が進んでいます。自宅学習が正式に認められれば、内申書の欠席日数を抑えられるため、進路選択の幅が広がります。
制度を利用するには、主に以下の要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
| 保護者と学校の連携・協力 | 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること |
| タブレット学習や郵送等を活用 | パソコンやタブレット、通信教育教材などを活用した学習活動であること |
| 訪問等による対面指導 | 対面指導が適切に行われることが前提(定期的な家庭訪問や面談など) |
| 計画的な学習プログラム | 学習の計画や内容が、当該中学校の教育課程に照らし適切と判断されること |
| 校長による判断 | 学校長が対面指導や学習活動の状況等を確認し、出席扱いが適切と判断すること |
| 学校外の公的機関や民間施設でないこと | 教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールでの指導は別の枠組みで評価 |
| 学校への復帰を前提 | 学校復帰を前提とした支援であること |
主に以下のような学習活動が対象となります。
手続きは一般的に以下の手順で進みます。
学校ごとに運用ルールが異なる場合があるため、まずは担任や学年主任、スクールカウンセラーなどに相談してみると安心です。
最大の利点は、内申書の欠席日数を減らせることです。また、学校とのつながりを維持しながら学習習慣を保てるため、再登校や進学への心理的なハードルも下がります。
出席扱いになっても、定期テストを受けなければ成績(評定)がつかない場合があります。また、この制度は「学校復帰」を前提とした支援という位置づけです。制度の利用が逆に本人のプレッシャーにならないよう、学校側とは適切な距離感について事前によく話し合っておく必要があります。
不登校が続くと、学校から登校を促す連絡や家庭訪問が増えることがあります。これらは「登校刺激」と呼ばれますが、お子さんの状態によっては強いプレッシャーとなり、状況を悪化させてしまうケースも少なくありません。
登校刺激とは、教師が登校を促す目的で行う働きかけのことです。具体的には電話や家庭訪問、プリントの配布などが挙げられます。学校側は良かれと思って行っていることが大半ですが、心が疲れている時期のお子さんにとっては、追い詰められる要因になることがあります。
以下のような様子が見られたら、一度学校との接し方を見直すタイミングかもしれません。
負担を減らすには、保護者から学校へ現状を正確に伝えることが不可欠です。
| 伝え方 | 具体的な内容 |
| 面談を申し込む | 電話ではなく、担任や学年主任と直接話す機会を設ける |
| 現状を説明する | 子どもの心身の状態、医療機関の受診状況などを共有する |
| 具体的な要望を伝える | 「しばらく家庭訪問を控えてほしい」「連絡はメールのみにしてほしい」など |
| 協力姿勢を示す | 学校を責めるのではなく、一緒に子どもを支えたい意思を伝える |
完全に連絡を断つのではなく、以下のように方法や頻度を「調整」してもらうのが現実的です。
担任の先生と方針が合わない場合は、一人で抱え込まずに相談先を変えてみましょう。 学年主任や教頭、スクールカウンセラーなどに相談することで、組織としての対応を検討してもらえます。また、自治体の教育相談センターなど外部の窓口から、学校へ助言してもらう方法も有効です。
医師やカウンセラーの意見は、学校側にとっても重要な判断基準になります。診断書や意見書として「今は静養が必要」「登校刺激は控えるべき」といった専門家の見解を文書で渡すと、学校側も対応を柔軟に変えやすくなります。
何より大切なのは、お子さんの意思を尊重することです。先生に「会いたい」のか「今は会いたくない」のか、本人の心境を軸に対応を決めましょう。保護者が学校との関係を気にするあまり、お子さんの逃げ場をなくしてしまわないよう、柔軟な構えでいることが求められます。
わが子が不登校になると、親として何ができるのか、どう接するのが正解なのかと悩み、焦ってしまうものです。しかし、無理に登校を促すと逆効果になることも少なくありません。家庭でできる現実的なサポートのあり方を整理しました。
不登校になった本人は、学校に行けない自分を強く責めているケースがほとんどです。まずは「今は家でゆっくり休んでいい」と伝え、家庭を心の安全基地にすることから始めましょう。 「明日は行けそう?」といった毎日の確認は、本人にとって大きなプレッシャーになります。まずは今の状態をそのまま受け入れる姿勢を見せることが、回復への第一歩です。
昼夜逆転などの生活の乱れは、心身のエネルギー低下を招きやすくなります。無理強いは禁物ですが、以下のような基本的なリズムを意識できると理想的です。
| 生活習慣 | 具体的な取り組み |
| 起床時間 | 学校がある日と同じ時間に起きるよう声をかける |
| 食事 | 3食を決まった時間に家族と一緒に摂る |
| 就寝時間 | 夜更かしを避け、一定の時間に寝る習慣をつける |
| 運動 | 散歩や軽い運動で体を動かす機会を作る |
ただし、本人の状態が不安定な時期はルールを押し付けすぎず、柔軟に見守る姿勢も必要です。
学力の遅れへの不安は、本人の自信喪失につながります。無理に教科書を進めるのではなく、まずはタブレット教材やオンライン学習など、心理的ハードルの低いものから試してみるのがよいでしょう。 また、学校以外の学び場として、フリースクールや自治体の適応指導教室、家庭教師などの活用も選択肢に入ります。本人の興味に合わせた学習機会を提案してみてください。
不登校の理由は本人にもうまく説明できないことが多いものです。「なぜ行けないの?」と問い詰めるのではなく、本人が口を開いたときにじっくり耳を傾けることを意識しましょう。 アドバイスや説教は一度脇に置き、「そう思っていたんだね」と共感を示すだけで、本人の孤独感は大きく和らぎます。
子どもの不登校は、保護者にとっても非常に大きなストレスです。親が自分を追い詰めすぎると、その焦りは子どもにも伝わってしまいます。 スクールカウンセラーや自治体の相談窓口、同じ悩みを持つ親の会などを活用し、弱音を吐ける場所を確保してください。保護者自身の心が安定していることが、結果的にお子さんの支えになります。
不登校中も、担任や養護教諭、スクールカウンセラーとは適度な連絡を保っておきましょう。学校の情報を得ておけば、いざ動き出したいときに対応しやすくなります。 もし学校側の働きかけが本人の負担になっている場合は、保護者が防波堤となって連絡頻度を調整するなど、今の状態に合わせた連携の形を相談していくことが大切です。
不登校を経験しても、自分に合った道を見つけて歩み出している先輩たちはたくさんいます。ここでは、それぞれの方法で進路を切り拓いた3つの事例を紹介します。
人間関係のトラブルから、中学2年の秋に登校できなくなったケースです。中学卒業までの出席日数はごくわずかでしたが、無事に卒業資格を得て、自分のペースで学べる通信制高校へ進学しました。
レポート学習やオンラインでの英語学習に注力し、徐々に自信を回復。高校のサポートを活用して大学受験に挑戦し、現在は国際関係を学ぶ大学生として、将来の海外勤務を目指して活動しています。
中学1年から体調不良で学校から足が遠のいた例です。在学中は地域のフリースクールを拠点に、少人数の落ち着いた環境で基礎学力を維持しました。
卒業後は定時制高校へ進み、昼間はアルバイト、夜は通学という生活の中で「ものづくり」への興味を自覚。高校卒業後、調理の専門学校を経て現在はレストランの調理師として働いています。「興味があることを見つければ、道は開ける」という言葉が実感のこもったメッセージとなっています。
中学3年間をほぼ自宅で過ごしたケースです。自宅ではオンライン教材を活用し、興味のある分野を中心に学習を継続しました。
中学卒業後はあえて高校へは進まず、高等学校卒業程度認定試験(旧大検)に合格。その後、職業訓練校でITスキルを習得し、現在はWeb制作会社に勤務しています。「学校という場にこだわらなくても、学ぶ手段はいくらでもある」ことを体現しています。
3つの事例には、進路を叶えるための共通したポイントがあります。
| 共通点 | 具体的な内容 |
| 自分に合った学習環境を見つけた | 通信制、フリースクール、家庭学習など、従来の教室以外の選択肢を活用 |
| 興味・関心を大切にした | 好きなことや得意なことを見つけ、それを進路選択に活かした |
| 周囲のサポートがあった | 保護者や支援者が本人のペースを尊重し、見守る姿勢を持っていた |
不登校であっても、自分に合った環境とタイミングさえ見つかれば、希望の進路を実現することは十分に可能です。
不登校であっても、中学校は必ず卒業できます。出席日数が足りなくても、義務教育の仕組みによって卒業は認められるため、過度に心配する必要はありません。卒業式への参加も決して強制ではなく、欠席しても卒業証書は後日受け取れます。
中学卒業後の道は、一つではありません。全日制だけでなく、通信制高校や定時制高校、高卒認定試験など、内申点の影響を抑えて再スタートできる選択肢は豊富にあります。
大切なのは、世間一般の「普通」に合わせることではなく、今の自分に合った環境を見つけることです。中学卒業はあくまで一つの通過点に過ぎません。焦らず、周囲のサポートも借りながら、納得できる一歩を自分のペースで踏み出していきましょう。
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