公開日:2026.02.27 / 最終更新日:2026.02.27 不登校について

いじめで不登校になったら?親ができる対応と子の心を救うケアの全知識

お子さんが学校に行きたくないと涙を流したとき、親が自分を責める必要はありません。
この記事では、学校や行政との連携、家庭でのケア、出席扱い制度やフリースクールといった具体的な選択肢をまとめました。
お子さんの笑顔を取り戻すため、今できることを一緒に確認していきましょう。

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目次

【最新統計】いじめと不登校の現状|認知件数から見る深刻な実態

文部科学省調査に見るいじめ認知件数の推移

最新の調査によると、小・中・高校などにおけるいじめの認知件数は増加し続けています。令和4年度には68万件を超え、過去最多を記録しました。

この数字の背景には、学校側がささいな兆候も見逃さず積極的に把握しようとする「認知精度の向上」があります。一方で、SNSの普及など子どもを取り巻く環境が複雑化していることも無視できない要因です。

年度 認知件数 前年比
令和2年度 約51万7千件
令和3年度 約61万5千件 増加
令和4年度 約68万2千件 増加

不登校児童生徒数の実態と増加要因

不登校の児童生徒数も急増しており、令和4年度には小中学校だけで約29.9万人に達しました。これは全生徒の約3.2%にあたり、「クラスに1人は不登校の生徒がいる」のが今の現状です。

不登校のきっかけはいじめだけでなく、友人関係や学業の悩みなどさまざまです。しかし、表面化した理由の影にいじめが潜んでいるケースも少なくありません。

いじめと不登校の関連性を示すデータ

統計上、不登校の直接的なきっかけとして「いじめ」が挙げられる割合は0.2〜0.3%程度と、一見すると低く見えます。

しかし、これは「いじめがあった」と明確に申告されたケースに限られます。本人が周囲に打ち明けられず「無気力」や「不安」として処理されている事案を含めれば、実際の関連性は数字以上に深いと考えられます。

重大事態の発生件数と社会的認識の変化

法律で定められた「重大事態(生命や心身に大きな被害がある、または長期欠席を余儀なくされる状況)」の報告数は、令和4年度に923件となりました。

法律の浸透により、学校が問題を隠さず報告する体制が整いつつある一方で、いまだに対応の遅れが指摘されることもあります。社会全体で子どもを見守り、支援を強化していくことが急務となっています。

「不登校はいじめが原因」でも親の責任ではない理由と心理

子どもがいじめで学校に行けなくなったとき、多くの親御さんは「育て方が悪かったのか」「なぜ気づけなかったのか」と自分を責めてしまいます。しかし、不登校の原因は親にあるのではなく、加害行為とそれを見逃した環境にあります。まずはこの事実を正しく受け止めることが、親子で前を向くための第一歩です。

いじめ加害の責任は加害者と管理者にある

法律(いじめ防止対策推進法)では、いじめの責任は「加害生徒」と、それを防げなかった「学校」にあると明確にされています。家庭の教育方針が原因でいじめが起きるわけではありません。

責任主体 法的・社会的責任
いじめ加害者 暴行、傷害、名誉毀損などの不法行為責任
学校・教職員 児童生徒の安全配慮義務、いじめ防止・早期発見義務
保護者 子どもの心身の回復支援、適切な相談機関への連絡

親が自分を責めてしまう心理メカニズム

理屈ではわかっていても自責の念が消えないのは、親としての深い愛情があるからです。しかし、以下の事実に目を向けてみてください。

「気づけなかった」という後悔

子どもは親を心配させたくない一心で、限界まで隠し通そうとします。また、加害者は大人の目がない場所を巧妙に選ぶため、プロである教師ですら把握できないことがほとんどです。気づけなかったのは、あなたのせいではありません。

「強い子に育てられなかった」という誤解

いじめのターゲットになる子に落ち度はありません。優しさや真面目さは、親が育んできた素晴らしい長所です。いじめる側がその美点を利用しただけであり、決して「弱さ」が原因ではないのです。

「学校選びを間違えた」という自責

いじめのリスクはどの学校にも潜んでいます。大切なのは「どの学校に入れたか」ではなく、「問題が起きた際に学校がどう対応するか」です。これは入学前には予見できないことです。

子どもが親に求めているのは自責ではなく味方になること

親が泣いて自分を責めると、子どもは「自分のせいで親を苦しませた」とさらに罪悪感を深めてしまいます。

今、お子さんが最も必要としているのは、冷静に「あなたは悪くない」と言い切ってくれる味方の存在です。自分の感情を整理するためには、カウンセラーなどの第三者を頼り、お子さんの前ではどっしりと構えてあげることが心の回復を早めます。

責任の所在を明確にすることの意義

責任の所在をはっきりさせるのは、誰かを攻撃するためではなく、親御さんが「不当な罪悪感」から解放されるためです。

親が心の余裕を取り戻して初めて、子どもの権利を守るための冷静な交渉やケアができるようになります。自分を責めるエネルギーを、お子さんの未来を守るためのエネルギーへと切り替えていきましょう。

子どもがいじめを打ち明けた直後の接し方|NG言動と心の守り方

お子さんがいじめを打ち明けるには、想像を絶する勇気が必要だったはずです。この瞬間の親の振る舞いが、その後の信頼関係と心の回復を左右します。まずは「正しさ」よりも「安心感」を優先しましょう。

まず最初にすべきこと|子どもの話を全面的に受け止める

いじめを打ち明けられたら、まずは途中で口を挟まず、最後まで聞き届けることに徹してください。事実確認やアドバイスは後回しで構いません。

お子さんの目を見て、深くうなずきながら「よく話してくれたね」「本当につらかったね」と共感の言葉をかけましょう。泣いたり言葉に詰まったりしても急かさず、そばにいて待つ。その「待つ姿勢」こそが、お子さんにとっての救いになります。

絶対に避けるべきNG言動

親の焦りや不安から出る何気ない一言が、お子さんをさらに追い詰めてしまうことがあります。以下の対応は控えましょう。

NG言動 子どもへの影響 適切な対応
「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」 自分を責め、二度と相談しなくなる 「何があってもいじめは悪いこと」と伝える
「そんなことで」「気にしすぎ」 苦しみを否定され、孤立感が深まる 「つらい気持ちを教えてくれてありがとう」と受容する
「やり返しなさい」「強くなりなさい」 自分を弱いと感じ、自己肯定感が低下する 「一緒に考えよう」と寄り添う姿勢を示す
「なんでもっと早く言わなかったの」 責められたと感じ、罪悪感を持つ 「話してくれて本当に良かった」と伝える
すぐに学校や相手の親に激しく抗議する 事態が悪化する不安を抱き、後悔する 子どもと相談しながら冷静に対応を決める

感情に任せてすぐに学校や相手の家に電話するのも禁物です。まずは「どう動くのが一番安心か」をお子さんと話し合いましょう。

心を守るための具体的な声かけと接し方

肯定的なメッセージを伝える

「あなたは何も悪くない」「何があっても味方だよ」というメッセージを、はっきりと言葉で伝えてください。「大好きだよ」「大切な存在だよ」といった日常的な愛情表現も、傷ついた心を癒やす特効薬になります。

子どものペースを尊重する

無理に詳細を問い詰めないでください。思い出すこと自体が苦痛な場合もあります。「今は話したくないことは言わなくていいよ」と伝え、お子さんが自分のタイミングで話せる余裕を作ってあげましょう。

日常生活での安心できる環境づくり

家庭を「外の敵から守られた安全基地」にしましょう。

  • 好物を食卓に並べる
  • スキンシップ(背中をさする、手を握るなど)を増やす
  • いつもより多めに、ただ一緒に過ごす時間をとる 

こうした「変わらない日常」の提供が、心身の緊張を解きほぐします。

兄弟姉妹や家族全体での対応の注意点

特定の子にだけ意識が向くと、兄弟姉妹が寂しさを感じ、家庭のバランスが崩れることがあります。「今は○○が大変な時期だから、家族みんなで支えてあげようね」と協力をお願いし、家族全員で温かい雰囲気を作るよう心がけてください。

専門家への相談を検討するタイミング

以下のようなサインが続く場合は、早めにスクールカウンセラーや医療機関への相談を検討してください。

  • 眠れない、食欲が極端に落ちている
  • 表情がなく、呼びかけへの反応が鈍い
  • 「自分が消えたい」といった自傷を疑わせる発言
  • 家族とさえ顔を合わせるのを避ける

専門家に頼ることは、お子さんの心を守るための「攻めの選択」です。一人で抱え込まず、外部の力を借りて親子ともに休息をとる勇気を持ってください。

学校・教育委員会との連携ガイド|いじめの事実確認と報告のポイント

いじめの問題を解決するには、学校や教育委員会を「動かす」ための戦略的な連携が欠かせません。親として感情が昂るのは当然ですが、あえて冷静に、客観的な事実を持って話し合いに臨むことが、お子さんを守る最短ルートになります。

いじめを学校に報告する際の基本的な流れ

まずは担任教師に連絡し、面談の場をセッティングしましょう。電話だけで済ませず、直接会って話すことが重要です。その際、トラブルの内容(いつ・どこで・誰に・何をされたか)を整理したメモを持参してください。

もし担任の対応が鈍い、あるいは解決の兆しが見えない場合は、迷わず学年主任、教頭、校長へと相談の場を広げましょう。個人ではなく「学校という組織」として対応してもらう姿勢が大切です。

事実確認のために準備すべき記録と証拠

話し合いを有利に進めるには、主観ではなく「客観的な証拠」が力になります。以下の内容をできる限り整理しておきましょう。

記録の種類 具体的な内容
日時の記録 いじめが起きた日時、子どもが訴えた日時を時系列で整理
子どもの証言 どのような行為を受けたか、誰からされたかの詳細な聞き取り内容
身体的な証拠 傷やあざの写真、診断書(医療機関を受診した場合)
物的証拠 破られたノート、SNSのメッセージのスクリーンショット等
目撃情報 他の児童生徒や保護者からの情報があれば記録

学校との面談で確認すべき事項と質問リスト

面談では、以下のポイントを「曖昧にせず」確認してください。

  • 学校側は現状をどう認識し、これからどのような調査を行うのか
  • 加害生徒に対して、いつ、誰が、どのような指導を行うのか
  • 今日からお子さんの安全をどう確保するのか(教室配置、休み時間の見守り等)
  • 調査の経過報告は、いつ、どのような形でもらえるのか

面談の内容はその場でメモを取り、終了後に「本日の確認事項」としてメール等で共有しておくと、言った・言わないのトラブルを防げます。

学校の対応が不十分な場合の教育委員会への相談方法

学校に相談しても「様子を見ましょう」と流されたり、適切な調査が行われなかったりする場合は、市区町村の教育委員会へ連絡しましょう。

教育委員会への相談では、これまでの学校とのやり取り(日時や担当者名、回答内容)を詳しく伝えることが重要です。重大な事案であれば、法律に基づいた「第三者委員会」による調査を求めることも正当な権利です。

連携時に保護者が意識すべき姿勢とコミュニケーションのコツ

学校側を敵として糾弾するのではなく、「お子さんの安全を取り戻すためのパートナー」として接するのがコツです。「一緒に解決したい」という姿勢を見せることで、学校側も防衛的にならず、前向きな対応を引き出しやすくなります。

ただし、納得できない対応には毅然とした態度を貫いてください。必要であれば、信頼できる親族や専門家、支援団体のスタッフに面談への同席を依頼し、親御さん一人が孤立しない状況を作ることも検討しましょう。

政府・行政のいじめ対策と「いじめ防止対策推進法」の活用知識

いじめ防止対策推進法の基本構造と保護者の権利

「いじめ防止対策推進法」は、学校や教育委員会にいじめへの対応を義務付けた法律です。この法律があることで、保護者は「学校に調査や対策を求める権利」を公的に持つことができます。

法律が定めるいじめの定義は広く、「本人が心身の苦痛を感じているもの」はすべて対象です。加害側にいじめている自覚がなくても、お子さんが苦しんでいれば法律に基づいた対応を求めることができます。

主体 義務内容
学校 いじめ防止基本方針の策定、早期発見のための調査、いじめへの組織的対処
教育委員会 学校への支援、重大事態の調査
保護者 家庭での規範意識の養成、学校との連携協力

「重大事態」の認定と調査要求の仕組み

いじめで心身に大きな被害が出たり、長期間(年間30日が目安)欠席せざるを得なくなったりした状況を「重大事態」と呼びます。

ここで重要なのは、欠席日数が30日に満たなくても、保護者が「重大事態である」と申し立てれば、学校側は調査を行う義務があるという点です。重大事態と認定されると、学校は直ちに教育委員会へ報告し、中立的な調査組織を作って事実関係を明らかにしなければなりません。

文部科学省の相談窓口と24時間子供SOSダイヤル

「学校に相談しにくい」「どこに連絡すればいいかわからない」というときは、国の相談窓口を頼りましょう。

  • 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310) 通話料無料で、夜間や休日も専門の相談員が話を聞いてくれます。匿名で相談できるため、状況を整理したい段階で利用しても構いません。

地方自治体のいじめ対策組織と支援制度

各自治体の教育委員会には、第三者委員会などの相談窓口が設置されています。学校の対応に納得がいかない場合、こうした外部組織に直接申し立てを行うことが可能です。

また、教育相談センターや派遣型のスクールカウンセラーなど、学校とは独立した立場の専門家から助言をもらえる制度も整っています。

法律を活用した具体的な対応ステップ

いじめがわかったら、まずは学校へ事実を伝え「法律に基づいた適切な対応」を正式に依頼しましょう。

もし学校の動きが鈍い場合は、これまでのやり取りを書面に残し、教育委員会へ重大事態としての調査を要請します。それでも解決が難しい場合は、弁護士や警察といった専門機関との連携も、お子さんの安全を守るための正当な選択肢となります。

この法律は、孤立しがちな親子を守るための強力な後ろ盾です。「わがままを言っている」と思わず、お子さんの尊厳を守るために制度を賢く活用していきましょう。

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心の傷を癒やす「3つの回復フェーズ」と家庭でのメンタルケア

いじめによる心の傷は、一晩で消えるものではありません。お子さんの回復にはいくつかの段階があり、状況に合わせたケアが必要です。焦らず、家庭を「一番安心できる場所」にすることから始めましょう。

回復の3つのフェーズと各段階での親の関わり方

お子さんの状態に合わせて、親の役割も変わっていきます。今、どの段階にいるのかを見極めるヒントにしてください。

フェーズ 子どもの状態 親の関わり方 期間の目安
第1段階:安全確保期 恐怖や不安が強く、緊張状態。心身の不調が顕著に現れる 無条件に受け入れ、安全な環境を保証する。無理に話させない 数週間~2ヶ月
第2段階:安定期 少しずつ安心感が芽生え、感情を表現できるようになる 気持ちを聴き、共感する。楽しい活動を一緒に行う 2ヶ月~半年
第3段階:再構築期 自己肯定感が回復し、将来に目を向けられるようになる 新しいチャレンジを見守り、自立を支援する 半年~1年以上

第1段階:安全確保期のケアポイント

この時期は、何よりも「学校を休んで安全を確保すること」が最優先です。「今は休んでいいよ」とはっきり伝え、罪悪感を解いてあげてください。

家庭でできる具体的なケア

  • 睡眠をしっかりとり、食事の時間を一定にする
  • 好きな料理を用意するなど、心身に栄養を届ける
  • 学校の話題はあえて出さず、家での時間を穏やかに過ごす
  • 家族が味方であることを言葉やスキンシップで伝える

頭痛や腹痛が続く場合は、小児科などの受診も考えましょう。「体の不調」として医師に診断してもらうことで、本人が休むことを自分に許せるようになる場合もあります。

 第2段階:安定期のケアポイント

心が落ち着いてくると、少しずつ言葉が出てきます。この時期は「否定しない・急かさない」ことが鉄則です。

感情を受け止める対話の方法

お子さんが話し始めたら、アドバイスはぐっとこらえて、ただ聴くことに専念しましょう。「それはつらかったね」と気持ちをそのまま受け止めるだけで、お子さんは感情を整理し、自己肯定感を取り戻していきます。

楽しい体験の積み重ね

料理、散歩、ゲーム、読書など、本人が「好き」「楽しい」と思える時間を増やしましょう。小さな「できた」という体験の積み重ねが、失われた自信を少しずつ再生させます。

第3段階:再構築期のケアポイント

エネルギーが溜まってくると、外の世界へ目が向き始めます。

小さなチャレンジを支援する

習い事や外出、フリースクールの見学など、本人が「やってみたい」と言い出したことは全力で応援しましょう。結果よりも「自分で決めて挑戦したこと」をしっかり褒めてあげてください。

将来について語り合う

進路の話ができるようになったら、学校復帰だけが唯一の道ではないことを伝えてください。多様な選択肢があることを知ると、お子さんの視野が広がり、前向きな意欲が湧きやすくなります。

専門家のサポートを受けるタイミング

家庭だけで解決しようとせず、以下のようなサインがあれば早めに専門家へ相談してください。

専門家への相談を検討すべき症状 相談先の例
フラッシュバックや悪夢が続く 心療内科、児童精神科
自傷行為や自殺をほのめかす発言がある 児童精神科、いのちの電話(緊急時)
引きこもりが長期化し、昼夜逆転が続く スクールカウンセラー、教育相談センター
対人恐怖が強く、家族以外と関われない 臨床心理士、カウンセリングルーム
3ヶ月以上経っても第1段階から進まない 子育て相談窓口、精神保健福祉センター

カウンセリングは、親御さん自身の心の安定のためにも有効です。

親自身のメンタルケアも忘れずに

お子さんを支える親御さんが倒れてしまっては元も子もありません。「完璧な親」でいようとせず、自分の時間や休息を大切にしてください。

回復の道のりは、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが当たり前です。長期戦になることもありますが、焦らず一日一日の平穏を大切にしていきましょう。

出席扱い制度や転校、フリースクール|学校以外の多様な選択肢

いじめで不登校になった際、無理に元の学校へ戻ることだけが解決策ではありません。今は、お子さんの状況に合わせた多様な学び方があります。大切なのは、本人が「ここなら安心できる」と思える居場所を見つけることです。

自宅学習で出席扱いになる制度の活用

一定の条件を満たせば、学校に通わなくても自宅でのICT(タブレットやパソコン)学習を「出席」として認められる制度があります。これを利用すれば、内申点への影響を抑えながら学習を続けられます。

出席扱いの要件

項目 内容
保護者と学校の連携 保護者と学校との間で十分な連携・協力関係が保たれていること
ICT等の活用 ICTや郵送、FAX等を活用した学習活動であること
訪問等による対面指導 対面指導が適切に行われること
学習内容の評価 学習の理解状況について学校が把握していること
教育委員会との連携 学校が出席扱いとすることが適切と判断すること

まずは担任やスクールカウンセラーに「自宅学習での出席扱い」について相談してみましょう。

転校による環境リセット

元の学校へ戻ることに強い恐怖心があるなら、転校して環境をリセットするのも有効な手段です。いじめが理由の場合、通常よりスムーズに認められる傾向があります。

区域外就学と指定校変更

  • 区域外就学:住んでいる市区町村以外の学校に通う
  • 指定校変更:同じ市区町村内で、別の学区の学校に変える

教育委員会での手続きが必要になりますが、事前に転校先の見学や面談をして、お子さん自身が「ここなら行けそう」と感じられるか確認することが大切です。

フリースクールという学びの場

フリースクールは、民間の団体が運営する居場所です。少人数でアットホームな施設が多く、個々のペースを尊重してくれます。

フリースクールの特徴と選び方

特徴 詳細
柔軟な時間割 登校時間や滞在時間を子どもの状況に応じて調整可能
多様な活動 学習だけでなく、芸術活動や自然体験など幅広いプログラム
少人数の環境 スタッフの目が行き届きやすく、安心できる居場所
出席扱いの可能性 学校との連携により出席扱いになる場合がある
費用 月額2万円~6万円程度と施設により幅がある

見学や体験入学を通じて、スタッフとの相性や、他の子たちの雰囲気をお子さん自身が体験して選ぶのがポイントです。

教育支援センター(適応指導教室)の利用

市区町村の教育委員会が運営する公的な施設です。費用は無料(または低額)で、小集団での活動や個別学習のサポートが受けられます。学校復帰を目指すステップとして、あるいは「家以外の居場所」として多くの親子が利用しています。

通信制高校という選択

中学卒業後の進路として、通信制高校は非常に有力な選択肢です。 毎日の登校が必要なく、自分の体調やペースに合わせて高校卒業資格を目指せます。最近では、オンライン指導が充実した学校や、特定の趣味(ゲーム、美容、アニメ等)に特化したコースを持つ学校も増えています。

ホームエデュケーションという選択肢

学校という枠組みにこだわらず、家庭を中心に学ぶスタイルです。親が教えるだけでなく、オンライン教材や地域のワークショップなどを組み合わせて、お子さんの興味を伸ばす教育方法です。

複数の選択肢を組み合わせる柔軟な対応

「どこか一箇所に決めなければ」と思う必要はありません。 「午前中は自宅で学習し、週に一度だけフリースクールへ行く」といった組み合わせも可能です。合わなければ別の方法を試せばいい、という柔軟な気持ちで、お子さんと一緒に試行錯誤していきましょう。

【事例紹介】いじめによる不登校から未来を切り拓いた親子たち

いじめによる不登校という困難を乗り越え、自分らしい道を歩み始めた親子の実例を紹介します。状況は三者三様ですが、回復へのプロセスには共通のヒントが隠されています。

事例1:学校から距離を置き、フリースクールで自信を取り戻したAさん親子

項目 詳細
子どもの年齢 中学1年生(当時)
いじめの内容 仲間外れ、悪口、SNSでの誹謗中傷
不登校期間 約1年間
選択した道 フリースクール通学

当初、母親は「学校に行きなさい」と説得していましたが、お子さんの顔から生気が消え、食欲も落ちていく様子を見て方針を転換。「まずは心の安全を最優先する」と決め、無理に登校させるのをやめました。

その後、本人の希望で地域のフリースクールを見学。そこでは異年齢の子どもたちと穏やかに過ごし、自分のペースで学習を進めることができました。半年ほどで表情が明るくなり、一度は手放した「絵を描くこと」を再開。現在は通信制高校で、デザインの道を目指して生き生きと学んでいます。

事例2:転校という選択で環境をリセットしたBさん親子

項目 詳細
子どもの年齢 小学5年生(当時)
いじめの内容 暴言、物を隠される、仲間外れ
不登校期間 約半年間
選択した道 学区外の小学校への転校

両親は学校や教育委員会へ何度も相談しましたが、いじめが収まる気配はなく、お子さんは登校できなくなりました。「このままでは心が壊れてしまう」と考えた両親は、環境をリセットするために転校を決断しました。

転校先では新しい担任が温かく迎え入れ、クラスに馴染めるよう配慮してくれました。その結果、3ヶ月後には毎日登校できるようになり、新しい友人もできました。現在は中学生になり、部活動にも積極的に参加。「環境を変える勇気が、未来を救った」と両親は話します。

事例3:家庭学習とオンライン授業で学びを継続したCさん親子

項目 詳細
子どもの年齢 中学2年生(当時)
いじめの内容 身体的暴力、集団での無視
不登校期間 約2年間
選択した道 自宅学習とオンライン教材、出席扱い制度の活用

深い傷を負ったCさんは、学校という場所自体に強い恐怖を感じるようになりました。母親はカウンセラーと相談し、「学校復帰」という目標を一度捨て、心の回復を最優先に。

学校と連携し、自宅でのオンライン学習を「出席」とみなす制度を活用しました。1年半ほど経った頃、Cさん自身から「勉強したい」という意欲が湧き、自ら通信制高校への進学を希望。現在は「自分と同じように苦しむ人を助けたい」と、心理学を学ぶ目標を持って歩んでいます。

共通する回復のポイント

これらの事例には、回復を支えた共通のポイントがあります。

  • 「心の安全」を最優先にし、無理な登校を強いない
  • 学校以外の選択肢を広く検討した
  • 子どもの「こうしたい」という意思を尊重した
  • 長期戦を覚悟し、親が焦らず見守った
  • 学校復帰だけが正解ではないと受け入れた

回復のスピードは人それぞれですが、適切な環境さえあれば子どもは必ず前を向く力を持っています。一歩ずつ、その家庭に合った道を見つけていきましょう。

まとめ:焦らずに公的機関も頼りながら、一歩ずつ進もう

いじめによる不登校は、解決までに時間がかかる複雑な問題です。しかし、適切な環境を整え、焦らずに見守ることで、お子さんは必ず本来のエネルギーを取り戻します。

まずは親御さんだけで抱え込まず、SOSダイヤルや教育支援センターなどの公的なサポートを積極的に頼ってください。学校以外にもフリースクールや出席扱い制度といった道はいくつも用意されています。

「学校に戻ること」だけをゴールにする必要はありません。お子さんの心に寄り添いながら、新しい未来を一緒に、一歩ずつ作っていきましょう。


※本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としております。一部情報については更新性や正確性の保証が難しいため、最新の制度や要件については改めてご自身で各公式機関にご確認ください。

 

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