公開日:2026.02.27 / 最終更新日:2026.02.27 不登校について

【完全版】発達障害による不登校への対応ガイド:原因・接し方・卒業後の進路まで

発達障害のある子が不登校になる背景には、本人にしか分からない生きづらさが隠れています。
この記事では特性別の原因から、親ができる接し方、将来の進路までをまとめました。不登校は怠けではなく、環境とのミスマッチによるSOSです。正しい理解と休養があれば、お子さんは再び前を向くことができるでしょう。

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目次

発達障害と不登校の関連性|学校で生じる生きづらさの正体

発達障害のある子の不登校率は、定型発達の子と比較して高い傾向にあります。文部科学省の調査でも、通常学級に在籍する発達障害(またはその疑い)のある児童生徒のうち、多くが不登校の状態にあると示されています。

発達障害の特性が学校生活に与える影響

発達障害は生まれつきの脳機能の特性であり、努力不足や育て方の問題ではありません。しかし、一斉行動を前提とした学校では、その特性が生きづらさに直結してしまいます。

特性 学校生活での困難 結果として生じる状況
感覚過敏 教室の騒音、蛍光灯の光、給食の匂いなどが苦痛 登校時に体調不良、教室に入れない
対人関係の困難 暗黙のルールが理解できず、友達関係がうまく築けない 孤立、いじめの対象になりやすい
注意集中の困難 授業に集中できず、忘れ物が多い 叱責される機会が増え、自己肯定感が低下
こだわりの強さ 予定変更や突発的な出来事に対応できない パニックや強い不安を引き起こす

不登校に至るメカニズム

不登校は、本人の特性と周囲の理解不足が重なり、段階的に進行します。

  1. 日常的なつまずき:授業、友人関係、感覚刺激など、毎日の学校生活で困難を感じ続けます。
  2. 周囲からの誤解:困難に対して「わがまま」「やる気がない」と叱責されたり、からかわれたりして心理的に追い詰められます。
  3. 心身の不調:ストレスが限界を超え、朝起きられない、頭痛・腹痛、強い不安などの症状が現れます。
  4. 登校不能:学校という場所自体に恐怖や拒否反応を抱くようになり、物理的に動けなくなります。

見えにくい困難が理解されない苦しみ

発達障害による困難は外見で判断しにくいため、「性格の問題」や「怠け」と誤解されがちです。特に知的な遅れがない場合、「できるはずなのに」という周囲の期待が本人を苦しめ、適切な支援がないまま孤立を深めてしまいます。

また、本人も「なぜ自分だけが疲れるのか」をうまく言葉にできません。説明できない苦しみが、最終的に「学校に行きたくない」という拒否反応として爆発するのです。不登校は、今の環境では限界であるという子どもの切実なサインです。

特性別の不登校の原因|ASD・ADHD・LDが抱える心理

不登校の背景にある「学校での困難」は、障害特性によって異なります。表面的には同じように見えても、ASD、ADHD、LDそれぞれが抱える心の負担は別物です。各特性がどのような壁にぶつかり、どのような心理状態でいるのかを解説します。

ASD(自閉スペクトラム症)の子供が抱える不登校の原因

ASDの子は、コミュニケーションの難しさや感覚過敏、こだわりから、学校環境そのものに強いストレスを感じます。特に集団行動や「空気を読む」ことが求められる場面で、心身ともに激しく消耗します。

対人関係における孤立感

相手の表情や場の空気を読むのが苦手なため、友人関係を築くことに高いハードルがあります。冗談が通じずトラブルになったり、一方的に話し続けて避けられたりする経験から、「自分は周りと違う」という孤独感を深めます。自由な交流が必要な休み時間や給食がかえって苦痛になるケースも少なくありません。

感覚過敏による身体的苦痛

雑音や光、制服の肌触りなどが、耐えがたい刺激として本人を襲います。これらは周囲には見えないため「わがまま」と誤解されやすく、身体的な痛みと心の傷の二重苦となります。

予測不能な変化への不安

時間割の変更や行事など、突発的な出来事への対応が苦手です。いつものルーティンが崩れる恐怖から、学校という場所そのものを回避したくなることがあります。

ADHD(注意欠如・多動症)の子供が抱える不登校の原因

ADHDの子は、不注意や衝動性による失敗を重ねやすく、それが自信喪失につながります。本人は努力していても「やる気がない」と誤解されることが、最も大きなダメージとなります。

注意の維持困難による学習の遅れ

授業に集中し続けるのが難しく、板書の書き逃しや宿題の忘れが積み重なります。学業での失敗体験は「どうせ自分なんて」という自己評価の低下を招きます。

衝動性による対人トラブル

順番を待てない、思ったことをすぐ口に出すといった行動が、意図せず友人を怒らせてしまうことがあります。「また怒られた」という負のサイクルから、学校が「失敗を繰り返す場所」になってしまいます。

過活動と疲労の蓄積

じっと座り続けることは、本人にとって過酷な労働と同じです。多動を抑えるために精神的なエネルギーを使い果たし、帰宅後は動けなくなるほどの疲労を抱えることもあります。この疲れが溜まると、朝の登校が困難になります。

LD(学習障害)の子供が抱える不登校の原因

知的な遅れがないにもかかわらず、読み書きや計算に著しい困難を示します。「頑張ってもできない」経験の繰り返しが、強い無力感を生みます。

読字障害(ディスレクシア)による学習困難

文字を読むのに時間がかかり、教科書の音読や板書が追いつきません。理解力はあるのに「読めない」せいでテストの点が取れず、周囲からは努力不足と見なされます。

書字障害による表現の困難

考えを文字にすることが極端に苦手で、ノートを取るだけでエネルギーを使い果たします。自分の能力を十分に発揮できず、授業への参加意欲が削がれていきます。

算数障害による数の理解困難

数の概念や九九が理解できず、算数の時間が恐怖に変わります。「自分は頭が悪い」という誤った思い込みを抱き、学校を拒否するようになります。

複数の特性が重なる場合の複雑な心理

複数の特性を併せ持つ場合、困難さはさらに複雑になります。

特性の組み合わせ 生じやすい困難 心理状態
ASD + ADHD 社会性の困難と衝動性が重なり、対人トラブルが深刻化 孤立感と失敗体験の両方による深い自己否定
ADHD + LD 注意の問題で学習困難がさらに悪化し、学業不振が顕著に 「どんなに頑張っても無理」という学習性無力感
ASD + LD 学習方法の固執と学習困難が組み合わさり、代替手段の受け入れが困難 変化への不安と学習の遅れによる二重の苦痛

特性理解が不登校回復の第一歩

回復への道は、子が抱える困難を正確に知ることから始まります。「できない」のは本人の性格ではなく、脳の特性によるものです。ここを理解できると、親子ともに肩の荷が下り、具体的な解決策が見えてきます。

二次障害の予兆とリスク|不登校からメンタル悪化を防ぐには

不登校そのものよりも深刻なのが、後から生じるメンタルの悪化、つまり「二次障害」です。早い段階でサインに気づき、適切に対応することが、子の心と将来を守るための最優先事項となります。

二次障害とは何か

二次障害とは、発達障害そのものではなく、周囲の否定的な反応や失敗体験が積み重なり、後天的に引き起こされる精神的な不調のことです。不登校が続くなかで「自分はダメだ」という思いが強まると、うつ病や不安障害など、より深刻な状態へ発展する恐れがあります。

不登校初期に現れる二次障害の予兆

二次障害はある日突然起こるのではなく、少しずつサインが現れます。次のような変化が見られたら注意が必要です。

領域 予兆のサイン
感情面 イライラが増える、些細なことで泣く、感情の起伏が激しくなる、無表情が続く
身体面 頭痛や腹痛の訴えが増える、睡眠リズムの乱れ、食欲不振または過食、慢性的な疲労感
行動面 ゲームやスマホへの依存、暴言や物への八つ当たり、自傷行為、部屋に引きこもる
認知面 「どうせ無理」などの否定的発言、将来への絶望感の表明、死にたいという言葉

特に「死にたい」といった言葉が出た場合は、迷わず速やかに専門機関へ相談してください。

二次障害として起こりやすい疾患

うつ病・抑うつ状態

「何をしても楽しくない」「体がだるくて動けない」といった状態です。失敗を繰り返すなかで、頑張るエネルギーを完全に失ってしまいます。

不安障害・パニック障害

学校や外の世界、人との関わりに強い恐怖を感じるようになります。登校の話をするだけで、動悸や過呼吸が起きることもあります。

強迫性障害

不安を打ち消すために、手洗いや確認を繰り返すようになります。ASDのこだわりとは違い、本人自身も「やめたくてもやめられない」と苦しむのが特徴です。

反抗挑戦性障害・素行障害

これまでの怒りや不満が、親や社会への反抗、暴力となって現れます。ADHDの衝動性が背景にある場合、感情が行動に結びつきやすくなります。

二次障害を防ぐための3つの原則

原則1:無理な登校刺激を避ける

焦って「学校に行かせよう」とすることは逆効果です。心身が疲れきっている状態でのプレッシャーは、二次障害を悪化させる最大の原因になります。まずは「しっかり休むこと」を優先しましょう。

原則2:安心できる環境を整える

家庭を「安全基地」にすることが回復への近道です。否定せず、ありのままを受け止めることで、少しずつエネルギーを貯めていきます。

 原則3:専門家による早期評価

親だけで抱え込まず、児童精神科やカウンセラーなど専門家の力を借りてください。必要に応じて医療的なサポートを受けることで、重症化を防げます。

長期化した場合のリスク

未対応のまま放置されると、ひきこもりの固定化、極端な昼夜逆転、ゲーム依存、さらには家庭内暴力や命に関わる行動など、深刻なリスクを招くことがあります。

学校へ戻すことを急ぐよりも、まず子の心の健康を守る。その視点が、二次障害を未然に防ぐ鍵となります。

親ができる11の接し方|不登校の子供を守るための対応

発達障害のある子が不登校になったとき、親の接し方は回復を左右する大きな鍵です。特性に合わせた対応をすることで、二次障害を防ぎ、子の自信(自己肯定感)を守れます。家庭で今日からできる11のポイントをまとめました。

①登校を無理に促さない

不登校の初期は、学校の話を控えることが最優先です。「行きなさい」という言葉は強いプレッシャーになり、状態をさらに悪化させます。 発達障害の子は、学校で感覚過敏や人間関係に耐え、すでにエネルギーを使い果たしています。無理をさせるとうつ症状や自傷行為を招くリスクもあるため、まずは「休んでいい」と明確に伝え、安心できる環境を作ってください。

 ②子供の気持ちを否定せず受け止める

「なぜ行けないの?」「みんな頑張っているよ」といった言葉は厳禁です。特性ゆえに、本人も理由をうまく説明できないことが多いためです。 「つらかったね」「話してくれてありがとう」と、今の感情をそのまま受け止めることが信頼関係の土台になります。特にASDの子は気持ちを出すのが苦手なため、表情の変化を汲み取る姿勢も大切です。

③規則正しい生活リズムを緩やかに維持する

昼夜逆転は回復を遅らせる原因になりますが、厳しすぎるルールは逆効果です。起床・食事の時間は「緩やかな目安」として守るようにしましょう。 特にADHDの子はリズムが崩れやすいため、朝日を浴びるなどの習慣を少しずつ取り入れます。眠れない場合は専門医に相談し、医療的なサポートを受けることも検討してください。

④成功体験を積める小さな目標を設定する

自信を失っている子には、家の中で簡単に達成できる目標が効果的です。

特性 適した目標例
ASD 好きなテーマの本を読む、得意分野の学習を進める
ADHD 短時間の家事手伝い、運動やゲームでの達成
LD 苦手分野以外での学習、得意なことを伸ばす活動

「今日は起きられたね」「手伝ってくれて助かったよ」と具体的に褒めることが、心の回復につながります。

⑤特性に配慮した環境を整える

家庭を「最もリラックスできる場所」にするために、環境を見直しましょう。 ASDの子には予定を紙に書いて「見える化」したり、刺激の少ない静かな場所を用意したりするのが有効です。ADHDの子なら、集中を妨げない片付いたスペースや、体を動かせる工夫を考えます。ノイズキャンセリングイヤホンなどの便利グッズも積極的に活用しましょう。

⑥兄弟姉妹への配慮も忘れない

不登校の子に手がかかると、兄弟姉妹が「自分は我慢させられている」と不満を抱くことがあります。 兄弟姉妹とも個別に過ごす時間を作り、不満や疑問を聞いてあげてください。発達障害や不登校について年齢に合わせて説明し、家族全員のバランスを保つことが長期的な支援を支えます。

⑦親自身のストレスケアを優先する

「育て方が悪かったのかも」と自分を責める必要はありません。親が疲れ果ててしまうと、子へのサポートも難しくなります。 まずは親自身が心身の健康を保つことを優先してください。周囲に頼る、親の会で悩みを共有する、カウンセリングを受けるなど、一人で抱え込まない体制を作りましょう。

⑧学習面は焦らず子供のペースに合わせる

勉強の遅れが不安になっても、回復期に無理強いするのは逆効果です。 本人が興味を示した時に、好きな教科から少しずつ始めれば十分です。LDの子ならタブレット学習や動画など、特性に合う方法を取り入れましょう。フリースクールや家庭教師など、学校以外の学び場も視野に入れてみてください。

⑨将来の選択肢を一緒に探す

「学校に戻る」だけが進路ではありません。通信制高校や高等専修学校、職業訓練など、子の特性が活きる道はたくさんあります。 多様な選択肢を一緒に調べることで、「今の状態がずっと続くわけではない」という希望が生まれます。見学や体験に誘ってみるのも良いでしょう。

⑩専門家の助言を積極的に求める

発達障害と不登校の両方に詳しい専門家の力は不可欠です。 児童精神科医、スクールカウンセラー、支援センターなどと繋がりましょう。専門的な視点を入れることで、子の特性をより深く理解でき、薬物療法や療育など最適なサポートが見えてきます。

⑪「今は休む時期」と肯定的に捉える

不登校は「失敗」ではなく、心を守るための必要な「休息」です。 発達障害の子は、普通に過ごしているだけで定型発達の子の数倍エネルギーを消耗しています。「サボり」ではなく、限界を超えたことによる「SOS」だと捉えてください。 親が「今は焦らなくて大丈夫」と腹をくくることが、結果として子の回復を最も早めます。

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外部サポートの活用|専門機関や家庭以外の居場所の探し方

発達障害を抱える子の不登校対応は、家族だけで抱え込むには限界があります。専門機関や「学校以外の居場所」をうまく活用して、子を多角的に支える環境を作っていきましょう。

相談できる専門機関の種類と特徴

相談窓口にはそれぞれ役割があります。状況に合わせて、まずは身近な場所から連絡してみてください。

機関名 主な役割 相談できる内容 費用
発達障害者支援センター 発達障害に関する総合的な支援 診断・療育・進路・生活全般 無料
教育支援センター(適応指導教室) 学校復帰に向けた支援 学習支援・集団活動・カウンセリング 無料
児童相談所 子供の福祉全般 家庭環境・虐待・措置入所 無料
児童精神科・心療内科 医療的診断と治療 診断・投薬・精神的ケア 保険適用
放課後等デイサービス 療育と居場所の提供 ソーシャルスキル・学習支援 受給者証利用で1割負担

どこに相談すべきか迷う場合は、市区町村の福祉窓口へ行くと適切な支援先を案内してもらえます。

フリースクールやオルタナティブスクールの選び方

学校以外の学び場として、フリースクールなども有力な選択肢です。特性に合う環境かどうかを見極めることが大切です。

施設選びのチェックポイント

  • 発達障害への理解や支援実績が十分か
  • 少人数や個別対応など、本人のペースに合わせてもらえるか
  • スタッフの専門性や、学校との連携(出席扱いなど)が可能か
  • 本人が「ここなら安心できる」と感じているか

特に見学時の本人の反応を最優先にしてください。親が「良い」と思っても、本人が違和感を持つ場所へ無理に通わせるのは控えましょう。

放課後等デイサービスの活用法

放課後等デイサービスは、療育と居場所の両方を兼ね備えた福祉サービスです。最近は不登校の子を受け入れる事業所も増えています。

サービス内容の例

  • 対人スキルを磨くトレーニング(SST)
  • 宿題や学習のサポート
  • 生活リズムを整える支援
  • 保護者向けの相談対応

利用には「受給者証」の申請が必要ですが、所得に応じた負担上限があるため、多くの世帯が比較的少ない自己負担で利用できます。

オンライン支援サービスの可能性

家から出るのが難しい場合や近くに施設がないなら、オンライン支援も検討しましょう。

  • 発達障害に詳しいオンライン家庭教師
  • ネット上のフリースクールやコミュニティ
  • ビデオ通話によるカウンセリング

対面が苦手な子でも参加しやすく、全国どこからでも繋がれるのがメリットです。ただし、画面を凝視する疲れや集中力も考慮し、利用時間は調整してあげてください。

居場所づくりで重視すべきポイント

支援先を選ぶ際に、最も大切な視点は以下の通りです。

  1. 否定されない安心感:失敗を責められず、自分らしくいられるか
  2. 子のペースを尊重:大人の都合で進めず、本人の主体性を待てるか
  3. 小さな成功体験:無理のない範囲で「できた」を積み重ねられるか

複数の居場所(サードプレイス)を持つと、一箇所がダメになっても社会との繋がりを絶たずに済みます。焦らず、子が「ここなら行ける」と思える場所をゆっくり探していきましょう。

学校との連携と合理的配慮|学びを継続するための環境調整

お子さんが不登校になっても、学校とのつながりを完全に断つ必要はありません。無理に登校させるためではなく、お子さんの権利として「学びの機会」を確保するために連携していきましょう。「障害者差別解消法」により、学校にはお子さんの特性に合わせた「合理的配慮」を提供する義務があります。

学校に相談する適切なタイミングと方法

不登校の初期に連絡を絶つと、状況が伝わらず支援が遅れることがあります。まずはお子さんの状態が落ち着くのを待ち、担任やスクールカウンセラーへ相談しましょう。 相談の際は「先生の教え方が悪い」といった感情的な批判ではなく、「授業中に離席してしまう」「感覚過敏で教室が苦痛」など、具体的なエピソードを事実ベースで伝えるとスムーズです。

合理的配慮として求められる具体的な内容

合理的配慮とは、お子さんが他の子と同じように教育を受けられるよう、学校側に環境調整を求めることです。

特性 困難な状況 配慮の例
ASD(自閉スペクトラム症) 集団活動への不安、感覚過敏 別室での休憩許可、イヤーマフの使用許可、視覚支援ツールの活用
ADHD(注意欠如多動症) 授業中の集中困難、衝動的行動 座席の配置変更、課題の分割提示、短時間の休憩許可
LD(学習障害) 特定教科の著しい困難 テストの時間延長、タブレット端末の使用許可、代替評価方法

診断書がなくても相談は可能ですが、主治医の意見書などがあると学校側も具体的な対策を立てやすくなります。

個別の教育支援計画と指導計画の作成

学校には、お子さん一人ひとりのニーズに合わせた「個別の教育支援計画」や「指導計画」を作成する仕組みがあります。 支援計画は、医療・福祉と連携した長期的な視点でのサポート内容を。指導計画は、教室内での具体的な教え方や配慮をまとめるものです。これらは保護者も内容を確認し、意見を反映させることができます。

段階的な登校支援の進め方

いきなり「朝から毎日通う」ことを目標にせず、お子さんのペースに合わせたアプローチが大切です。

  • 別室・保健室登校:教室が難しい場合、まずは安心できる場所で過ごす。
  • 短時間・限定登校:午前中だけ、好きな教科の時間だけ登校する。
  • オンライン活用:自宅から授業に参加し、出席扱いにする。

通級指導教室や特別支援学級の検討

通常学級での学びが本人の負担になっているなら、他の選択肢も検討しましょう。 「通級」は週に数時間だけ特別なサポートを受ける形、「特別支援学級」は少人数で個別に合わせた指導を受ける形です。お子さんの今のエネルギーと、将来どうありたいかを踏まえて慎重に選びましょう。

教育委員会への相談と支援体制

学校との話し合いが平行線だったり、より専門的な助言が必要だったりする場合は、自治体の教育委員会へ相談しましょう。「特別支援教育担当者」が間に入って調整してくれる場合があります。教育相談室などの窓口も積極的に活用してください。

学校との連携で注意すべきポイント

連携を成功させるコツは、学校を「敵」ではなく「チーム」と捉えることです。学校側の制約も理解しつつ、優先順位をつけて要望を伝えましょう。 一度決めた配慮がずっと正解とは限りません。お子さんの変化に合わせて、定期的に内容を見直していくことが学びの継続につながります。

不登校後の進路と選択肢|子供の特性に合う未来の描き方

不登校になったからといって、将来が閉ざされるわけではありません。従来の「全日制高校」という枠に縛られず、子の特性や興味を活かせる多様な道を探してみましょう。中学卒業後や高校進学時、どのような選択肢があるのか具体的に解説します。

通信制高校・定時制高校という選択

通信制高校は、自宅学習がメインのスタイルです。登校日数が少なく自分のペースで進められるため、対人関係に疲れやすいASDや、集中力が続かないADHD特性のある子に選ばれています。 また、定時制高校も柔軟な通学時間が選べる点が魅力です。最近は少人数制や個別フォローが手厚い学校も増えており、自分に合った環境で学び直せる場として定着しています。

フリースクール・オルタナティブスクール

不登校の子の「安心できる居場所」として機能しているのがフリースクールです。決まったカリキュラムよりも、子の関心に基づいた体験学習を重視しています。 発達障害に詳しいスタッフが常駐している施設も多く、感覚過敏への配慮なども受けやすいのがメリットです。また、条件を満たせば在籍校の「出席扱い」として認められるケースもあります。

高等専修学校・専門学校という実践的な学び

「座学よりも体を動かしたい」「好きなことなら頑張れる」という子には、高等専修学校が向いています。中学卒業後からIT、調理、美容、デザインなどの専門スキルを学べます。 実技中心の授業は成果が目に見えやすいため、勉強への苦手意識が強かった子でも、自信を取り戻して生き生きと取り組めるケースが多いです。

高卒認定試験(高認)を活用した進路

高校へ通わずに大学や専門学校を目指すなら、高卒認定試験(高認)という道があります。 年2回実施され、一度に全ての科目に合格する必要はありません。得意科目から少しずつ合格を積み上げられるため、プレッシャーに弱い子でも取り組みやすい制度です。合格後は、すぐに進学のステップへ進めます。

就労支援と職業訓練

早く社会に出たい、あるいは自立を目指したい場合は、就労支援機関を頼りましょう。ハローワークの専門窓口や発達障害者支援センターでは、特性に合った仕事探しや訓練の相談ができます。 「障害者職業能力開発校」では、事務や製造、ITなど、実践的なスキルを無料で学べるコースも用意されています。

特性に合わせた進路選択のポイント

特性 適している可能性のある進路 配慮すべきポイント
ASD(対人関係の困難) 通信制高校、高認、IT系専門学校 対人接触の頻度を調整できる環境
ADHD(注意・多動性) 実技中心の専門学校、フリースクール 興味を活かせる実践的な学び
LD(学習困難) 定時制高校、高等専修学校 個別指導や合理的配慮のある環境

進路選択で大切にすべき3つの視点

子供本人の意思を最優先する

「世間体」や「親の安心」ではなく、子が「ここなら安心できる」「やってみたい」と思えるかを第一に考えましょう。自己理解に時間がかかることもあるため、焦らず対話を重ねることが大切です。

成功体験を積める環境を選ぶ

不登校で傷ついた心には、難易度の高い目標よりも「これならできる」という確信が必要です。無理なくステップアップできる、余裕を持った進路選びを心がけましょう。

見学・体験を必ず行う

ネットの情報だけで決めず、必ず現地を訪れてください。教室の雰囲気、音や光の刺激、スタッフの話し方など、本人の「感覚」に合うかどうかを確認することが失敗しないコツです。

社会資源の活用と情報収集

進路に迷ったら、一人で抱え込まずに専門家に相談しましょう。自治体の支援センターや教育委員会のほか、同じ悩みを持つ「親の会」なども、生きた情報を得る場として非常に有効です。 今の場所が全てではありません。適切な情報と繋がることで、子の未来は確実に広がっていきます。

回復までの事例紹介|困難を乗り越えた子供たちの共通点

不登校から回復した子たちには、共通する「きっかけ」があります。実際の事例を通して、回復までの道のりと支え方のヒントを見ていきましょう。

事例1:ASD特性による感覚過敏から不登校になった小学5年生

不登校に至った経緯

低学年の頃から、教室のざわつきや給食の匂いに苦しんでいました。周囲から「わがまま」と誤解され、自分を責めるようになった結果、4年生の秋から動けなくなりました。

回復のプロセス

転機は、家族全員が「感覚過敏」という特性を正しく理解し、家で十分に休ませたことでした。学校とも話し合い、イヤーマフの使用や別室登校からスタート。少しずつ成功体験を重ね、中学では通級指導を利用しながら通常登校ができるようになっています。

回復の鍵となった要素

  • 親子が特性を正しく理解し、自分を責めるのをやめた
  • イヤーマフなど、学校側が具体的な配慮を受け入れた
  • 本人のペースを守り、スモールステップで進めた

事例2:ADHD特性による対人トラブルで不登校になった中学2年生

不登校に至った経緯

衝動性が強く、友人とのトラブルが絶えませんでした。居場所を失い、中学1年の冬に不登校へ。自信を失い、ふさぎ込む日々が続きました。

回復のプロセス

児童精神科を受診し、適切な治療を開始。フリースクールという「学校以外の居場所」を見つけたことで、ありのままの自分を認められるようになりました。そこで対人スキルを学びつつ、中学3年からは保健室登校を開始。卒業前には週4日通えるまでになりました。

回復の鍵となった要素

  • 医療機関による適切な診断とサポート
  • フリースクールなど、学校以外の安心できる居場所の確保
  • 「毎日、朝から教室へ」という縛りをなくした

事例3:学習障害とからかいで不登校になった小学4年生

不登校に至った経緯

読み書きに困難があり、音読や板書が遅いことをからかわれていました。授業についていけない焦りと周囲の目がストレスになり、4年生の春から学校を拒否するようになりました。

回復のプロセス

学習障害の判定を受け、タブレット学習や音声ソフトを活用。通級指導で「自分に合った学び方」を見つけると、徐々に自信を取り戻しました。クラス全体でも特性への理解教育が行われたことが支えとなり、5年生から再び教室へ戻れました。

回復の鍵となった要素

  • タブレットなど、苦手な書き取りを補うツールを導入した
  • 「学び方」を工夫し、勉強への拒否感を減らした
  • クラス全体の理解が進み、安心できる環境が整った

回復した子供たちに見られる共通点

共通要素 具体的な内容 重要性
十分な休養期間 無理な登校刺激をせず、心身を回復させる時間を確保 エネルギーの充電に不可欠
特性の正しい理解 本人・家族・学校が発達特性を客観的に理解 適切な支援の前提条件
安心できる居場所 家庭、フリースクール、別室など評価されない空間 自己肯定感の土台
段階的な目標設定 小さな成功体験を積み重ねる 自信の回復に効果的
環境の調整 合理的配慮や支援ツールの活用 困難を軽減する実践的手段
専門家の関与 医療・心理・教育の専門家による支援 科学的根拠に基づいた介入

回復に必要な期間と考え方

回復までの期間は、数ヶ月から数年と個人差があります。大切なのは「いつ戻れるか」ではなく、子が「安心して過ごせているか」です。 事例からもわかる通り、元の教室に戻ることだけがゴールではありません。別室登校やフリースクールなど、多様な形で社会と繋がることが、結果として本人の自立に繋がります。

家族の心構えが与える影響

回復がスムーズに進んだ家庭に共通するのは、親が「学校復帰」を最終目標にしなかったことです。まずは心の安定を優先し、子が自分らしくいられることを大切にしました。 また、親自身が一人で抱え込まず、相談機関や親の会を活用して心の余裕を持てたことも、子の回復を力強く後押ししています。

まとめ:発達障害の不登校は「理解」と「休養」が解決の鍵

発達障害のある子の不登校は、本人の特性と環境が合わなかったことで起きる「SOS」です。

何よりも大切なのは、周りがその特性を正しく理解し、まずは心身をしっかり休ませてあげることです。焦って学校に戻そうとせず、子のペースを守りながら「家が一番安心できる場所」だと伝え続けてください。

専門機関や学校と連携し、無理のない配慮を整えながら、子が自信を取り戻すのをゆっくり待ちましょう。不登校は決して挫折ではありません。その子に合った、新しい生き方を見つけるための大切な準備期間です。

※本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としております。一部情報については更新性や正確性の保証が難しいため、最新の制度や要件については改めてご自身で各公式機関にご確認ください。

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