
「学校に行きたくない」と訴えるわが子に理由を聞いても、本人すら『わからない』と答え、戸惑う親御さんは少なくありません。目立った原因がないと甘えに見えるかもしれませんが、実は言葉にできないほど心のエネルギーが枯渇しているサインです。
この記事では、理由なき不登校の心理背景や、見落としがちな心身の兆候を解説します。親が避けたいNG対応や、子どもの回復を支える具体的な接し方、学校との連携方法まで、焦らず見守るためのヒントをまとめました。
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子どもが「学校に行きたくない」と言いつつ、理由をうまく説明できないことは珍しくありません。親としては「ただの怠けでは?」と不安になることもあるでしょう。しかし、理由を言語化できない状態こそ、心の限界を示す深刻なサインである可能性が高いのです。
子どもが理由を言えない背景には、大きく分けて2つのケースがあります。 一つは、本人も何が辛いのか分かっていないケース。漠然とした不安や疲労が溜まっていても、それを言葉にする力がまだ未熟なためです。
もう一つは、言っても無駄だと諦めているケースです。友人との些細な違和感など、大人には小さく見える出来事でも、本人にとっては無視できないストレスになっています。
単なる甘えなのか、それとも心からのSOSなのか。見極める目安をまとめました。
| 項目 | 一時的な甘え | 切実なSOS |
| 期間 | 数日程度で解消する | 2週間以上続く、または繰り返す |
| 体調 | 特に変化がない | 頭痛・腹痛・食欲不振などが現れる |
| 態度 | 休日や放課後は元気 | 休日も表情が暗い、好きなことへの興味を失う |
| 反応 | 説得すれば登校できる | 説得に強い拒否反応を示す |
特に、これまで好きだったことに興味を示さなくなったり、口数が極端に減ったりした場合は、心のエネルギーが枯渇している証拠です。
多くの専門家は、理由を言えないケースほど深刻だと指摘します。本人すら整理できないほど、複数の小さなストレスが複雑に絡み合っているからです。 また思春期になると「親に心配をかけたくない」という健気な思いから、あえて理由を隠すこともあります。
理由がわからないからこそ、まずは「行きたくない」という今の気持ちを無条件に受け止める。それが、子どもの心の安全を守る第一歩になります。
子どもが「学校に行きたくない」と感じているとき、言葉よりも先に体や行動に異変が現れることがあります。これらは決して仮病ではなく、ストレスが限界を超えたことで起きるSOSです。
登校時間が近づくと現れ、休日や夕方にはケロッと治るのが特徴です。
| 症状 | 現れ方 | 特徴 |
| 頭痛 | 起床時や朝食後に訴える | 学校を休むと軽減する |
| 腹痛 | 登校準備中に強まる | 下痢を伴うこともある |
| 吐き気・嘔吐 | 玄関を出る前に起こる | 実際に吐いてしまうケースも |
| めまい・立ちくらみ | 制服に着替える際など | 動悸を伴うこともある |
| 発熱 | 微熱が続く | 医学的な原因が見つからない |
自律神経の乱れによる実在する痛みであり、本人は本当に苦しんでいることを理解してあげてください。
心の不安が眠りを妨げ、朝起きられない悪循環に陥ります。
これらは単なる生活習慣の問題ではなく、精神的な負担が睡眠に影響を及ぼしています。
心の不調は食欲にも直結します。極端な変化は、見逃してはいけない重要なサインです。
普段の様子と比べて、以下のような変化がないか注意を払いましょう。
感情のコントロールが難しくなっているのは、心のエネルギーが消耗している表れです。
これまで当たり前にできていたことができなくなるのも、重要な変化です。
これらのサインは複数が重なって現れることもあります。小さな変化に早めに気づき、子どもの状態を理解しようとする姿勢が、その後の回復を支える鍵となります。
「理由は言えないけれど、学校には行きたくない」と訴える子の多くは、心のエネルギーが枯渇した状態にあります。これは単なる疲労や怠けではなく、日々の学校生活で精神的な活力が底をついてしまった結果です。
心のエネルギーとは、一日を元気に過ごすための活力です。学校では、授業への集中力だけでなく、友人関係の気配りや集団生活への適応など、あらゆる場面でこのエネルギーを消費しています。
本来なら休息や楽しい時間で回復するものですが、消費が回復を上回り続けると、次第に心はすり減っていきます。その結果、本人の自覚がないまま限界を迎え、学校へ向かう気力が失われてしまうのです。
| 段階 | 状態 | 見られる様子 |
| 第1段階 | 軽度の疲労 | 帰宅後ぐったりする、宿題が面倒に感じる |
| 第2段階 | 慢性的疲労 | 朝起きるのが辛い、週末も疲れが取れない |
| 第3段階 | エネルギー枯渇 | 学校のことを考えると体が動かない、理由がわからないまま行けなくなる |
子どもが理由を説明できないのは、いじめのような明確なトラブルではなく、小さなストレスの積み重ねが原因だからです。日々の緊張や気疲れが「塵も積もれば山となる」ように蓄積し、限界に達しています。
また、子どもは自分の苦しさを言葉にする力がまだ未熟です。「なんとなく嫌」「体が重い」としか表現できないのは、決して嘘やごまかしではなく、本人も原因を整理できていない本当の姿なのです。
心の消耗は目に見えないため、周囲が気づいたときには限界ということも少なくありません。しかし、日常の些細な変化にヒントが隠れています。
笑顔が減った、趣味への興味を失った、急に涙を流すようになった……。こうしたサインは、心のエネルギーが低下している警告です。これらの兆候を見逃さず、まずは「ゆっくり休んでいい」と子どもの心に寄り添うことが大切です。
「理由がわからない」という子の多くは、本人すら認識していない日常的なストレスを抱えています。学校生活には、大人の想像以上に多くの「見えない負担」が潜んでおり、それが積み重なって心のエネルギーを削っているのです。
いじめのような明確なトラブルがなくても、日々の人間関係には常に緊張が伴います。
| 負担の種類 | 具体例 | 心理的影響 |
| 同調圧力 | グループ内での意見や行動を合わせる、流行に乗る | 自分を抑圧し続ける疲労 |
| 気遣いの連続 | 友人の機嫌を常に確認、トラブル回避のための配慮 | 緊張状態の持続による消耗 |
| 表面的な関係 | 本音を言えない、素の自分を出せない | 孤独感と自己否定感 |
成績に問題がなくても、「授業についていかなければ」「期待に応えなければ」という姿勢自体が負担になることがあります。 特に真面目な子ほど「できて当たり前」という無意識の重圧を感じがちです。質問できない焦りやテストへの漠然とした不安が、知らず知らずのうちに蓄積していきます。
音や光、匂いに敏感な子にとって、学校は刺激が強すぎる場所です。
これらは「感覚過敏」という特性が関係していることもありますが、診断がなくても個人差として存在します。本人すら「これがストレスだ」と気づかないまま、心身が疲弊していくケースも少なくありません。
学校では「生徒」「友人」「委員会」「部活」など、多くの役割を使い分ける必要があります。場面ごとに求められる振る舞いを切り替え続けるのは、大人が思う以上にエネルギーを消費する作業です。 特に家庭と学校で「別の顔」を演じている場合、どこにも心が休まる居場所がない状態に陥りやすくなります。
決まった時間に登校し、長時間座り続け、休み時間すら人間関係に費やす学校生活は、自由が極めて少ない環境です。 大人でいえば「常に監視され、休憩なしで拘束されている」ような状態に近く、自覚症状が出る前に限界を迎えてしまうこともあります。成長期の体調変化や睡眠不足が重なれば、その負担はさらに深刻です。
子どもが「学校に行きたくない」と言い出したとき、親の対応ひとつで状況は大きく変わります。良かれと思ってかけた言葉が、かえって子どもを追い詰めてしまうこともあるため、注意が必要です。
「どうして?」「何があったの?」と執拗に聞き出すのは逆効果です。本人も理由がわからず苦しんでいる場合、答えられない自分を責め、次第に親に心を閉ざしてしまいます。
励ましのつもりで「みんな大変だけど行っているよ」と伝えるのは、「今の苦しみは甘えだ」と突き放すのと同じです。すでに限界まで頑張った子にとって、さらなる努力を求められることは耐えがたい負担となります。
強い拒否反応があるのに無理やり連れて行くのは、親子の信頼関係を根底から壊しかねません。たとえ一時的に登校できたとしても心の傷は深く残り、かえって回復を遅らせる原因になります。
「怠けている」「将来どうするの」といった言葉は、子どもの自己肯定感を奪います。親の不安から出た言葉であっても、子どもには「自分の存在そのものを否定された」と映ってしまいます。
休んでいる間の行動を常に監視したり、楽しそうにしているのを責めたりしてはいけません。「休んでいるなら苦しそうにすべき」という空気は家庭から安心感を奪い、エネルギーの回復を妨げます。
「お母さんが眠れない」「心配で仕事にならない」と訴えるのは、子どもに重い罪悪感を背負わせる行為です。親の不安を子どもに解消させようとする関わりは避けるべきです。
| NGな対応 | 子どもへの影響 | 望ましい方向性 |
| 理由を問い詰める | 説明できない自分を責め、孤立感が深まる | まずは「つらいね」と気持ちを受け止める |
| 激励・比較 | 甘えだと感じ、罪悪感が増す | 今の状態をそのまま認める |
| 無理やり登校 | 信頼関係が崩れ、心の傷が深まる | 本人の意思とペースを尊重する |
| 否定的な言葉 | 自己肯定感の低下、自己否定の強化 | 存在そのものを肯定する言葉をかける |
| 過干渉・監視 | 家庭での安心感が失われる | 適度な距離を保ち見守る |
こうしたNG対応の根底には、親自身の「焦り」があります。わが子を思うからこそ不安になるのは当然ですが、その感情をそのまま子どもにぶつけない工夫が必要です。 まずは親自身が、スクールカウンセラーや信頼できる友人に胸の内を話し、心を整える時間を持ってください。親が落ち着きを取り戻すことが、子どもの安心感につながります。
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子どもが学校に行けないとき、理由を知りたくなるのは親として当然です。しかし、本人も答えが見つからない中で「どうして行けないの?」と問われるのは、逃げ場をなくすことと同じです。 今は理由を掘り下げるよりも、「学校に行けない今のあなた」をそのまま受け止めることが先決です。「行けないんだね」「今はしんどいんだね」と、事実をありのまま言葉にするだけで、子どもは「否定されていない」という安心感を得られます。
「頑張れば行ける」「みんな我慢している」といった励ましや正論は、かえって子どもの孤独感を深めます。解決策を提示したくなる気持ちをぐっと抑え、まずは「つらかったね」「しんどかったね」という共感を最優先しましょう。気持ちを否定せずに寄り添う姿勢こそが、心の回復に向けた第一歩になります。
| 状況 | 受容的な声かけ | 避けるべき言葉 |
| 朝起きられない | 「今日も体がしんどいんだね」 | 「怠けてるだけでしょ」 |
| 理由が言えない | 「無理に話さなくていいよ」 | 「理由も言えないの?」 |
| 部屋にこもる | 「ゆっくり休んでね」 | 「いつまで引きこもってるの」 |
| 涙を見せる | 「つらかったね、よく頑張ってたね」 | 「泣いても解決しないよ」 |
子ども自身、漠然とした不安はあっても、それを言葉にする力が追いついていないことがあります。 そんなときは「もしかして、体が重だるい感じかな?」「なんとなくモヤモヤするのかな?」と、具体的な感覚をいくつか提示してみるのも手です。答えを強要するのではなく、選択肢を広げるように寄り添うことで、子どもは自分の状態を少しずつ客観的に見られるようになります。
本当の意味でのコミュニケーションは、親が何かを聞き出すことではなく、子どもが「ここなら話しても大丈夫だ」と思える環境を作ることです。 「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝え、あとはあえて深追いせずに待つ。親が焦らずに構えていることで、子どもは自分のペースで心を開く準備ができるようになります。
学校に行けない子にとって、家庭が心から安らげる「安全基地」であることは回復の絶対条件です。ただし、それは何でも許すことではありません。子どもが安心して休み、心のエネルギーを充電できる環境を整えることを意味します。
子どもが安心感を抱く家庭には、次のような共通点があります。
| 要素 | 具体的な状態 |
| 心理的安全性 | 何を話しても否定されない、怒られない安心感がある |
| 予測可能性 | 親の機嫌や反応が一定で、急な変化がない |
| 無条件の受容 | 学校に行けなくても、子どもの価値は変わらないという姿勢 |
| 適度な距離感 | 見守りつつも干渉しすぎない、子どものペースを尊重する |
この時期は無理に勉強や活動をさせず、エネルギーが貯まるのを待つことが最優先です。
無理のない範囲で起床し、朝食をとるリズムは保ちましょう。カーテンを開けて光を浴びるだけでも、生活リズムの崩れを防げます。起きられない日があっても、責めずに見守ります。
ゲームや動画視聴も、今は『心を休めるための避難』として役に立つことがあります。もし罪悪感が湧くなら、家の中で“枠”だけ決めてください。たとえば『食事中は置く』『深夜0時以降は触らない』『朝はカーテンだけ開ける』の3つだけに絞ると、親の不安も子どもの反発も最小限で済みます。
食事や何気ない会話は、孤独感を防ぐ大切な時間です。学校の話題は避け、日常のささいな出来事を共有する自然なコミュニケーションを心がけてください。
心の回復を助けつつ、社会との細い糸を切らないための「ゆるい約束」を作ります。これらは親の押しつけではなく、親子で話し合って決めることが重要です。
| ルールの種類 | 内容例 | 設ける理由 |
| 生活リズム | 夜は日付が変わるまでには寝る、朝食は家族と食べる | 昼夜逆転を防ぎ、基本的な生活習慣を維持する |
| 家族への配慮 | あいさつはする、食事の準備や片付けは手伝う | 家族の一員としての所属感を保つ |
| 安全の確保 | 外出時は行き先を伝える、危険な行為はしない | 親の不安を軽減し、信頼関係を維持する |
| スマホ・ゲーム | 食事中は使わない、深夜は親に預ける | 依存を防ぎ、現実とのつながりを保つ |
わが子の不登校は、親にとっても大きなストレスです。親が余裕をなくすと、その焦りは子どもに伝わってしまいます。 ときには家事を抜き、完璧を目指さないこと。そして、一人で抱え込まずに信頼できる相談先を持つことが、結果として子どもの回復を支える一番の近道になります。
不登校の子に意識が向きすぎると、他のきょうだいが寂しさや不満を募らせることがあります。きょうだい一人ひとりと向き合う時間を作り、「あなたのことも大切に見守っているよ」というメッセージを伝え続けましょう。
学校に連絡する際は、「誰が悪いか」を問うのではなく、まずは「子どもの今の状態」を共有することに徹しましょう。家庭での様子や体調の変化、本人が漏らした言葉などを事実ベースで伝えると、学校側も具体的なサポートを検討しやすくなります。 電話だけでなく、連絡帳や面談を活用して、担任やスクールカウンセラーと丁寧に情報を交換していく姿勢が大切です。
学校には担任以外にも、専門的な視点を持つ相談窓口がいくつかあります。
| 窓口 | 役割 | 相談できる内容 |
| 担任教師 | 日常的な窓口・クラス内の調整 | 出席状況の共有、授業の配慮、友人関係の配慮 |
| 学年主任 | 学年全体の調整・担任のサポート | クラスを超えた対応、保護者との橋渡し |
| 養護教諭 | 心身の健康面からの支援 | 保健室登校の相談、体調管理のアドバイス |
| スクールカウンセラー | 心理的側面からの専門的支援 | 子ども本人や保護者のカウンセリング、見立て |
| スクールソーシャルワーカー | 福祉的視点からの環境調整 | 外部機関との連携、家庭環境の調整 |
「教室に復帰」だけを目指す必要はありません。スモールステップでの関わりを相談してみましょう。
教室に入るのが難しくても、保健室を居場所として過ごす方法です。自分のペースで過ごしながら、学校との接点を保てます。
相談室や図書室などで学習します。集団のプレッシャーを避けつつ、先生のサポートを受けながら過ごせます。
「午前中だけ」「好きな科目だけ」といった参加も有効です。滞在時間を徐々に延ばしていくリハビリ的な通い方です。
学校以外の居場所として、自治体が設置している施設があります。
不登校の子が通える公的な場で、学習や集団活動の支援を受けられます。ここへ通うことが学校の「出席」として認められる場合が多いのも大きなメリットです。
学校を通さず直接相談できる窓口です。臨床心理士などの専門家に、中立的な立場からアドバイスをもらえます。
多様な価値観の中で育ちたい場合は、民間の力も頼りになります。
独自の教育方針を持つ居場所です。体験活動を重視する場所も多く、自分らしく過ごす中で自信を取り戻せます。
学習面が不安な場合、不登校支援に理解のある塾やオンライン指導を活用して、無理のない範囲で学びを継続できます。
体調不良が目立つ場合は、専門医の受診を検討しましょう。
起立性調節障害などの医学的な診断を受けることで、適切な治療ができ、学校側にも配慮を求めやすくなります。
家庭全体の相談や福祉的なサポートが必要な場合に力になってくれます。
タブレットやPCを使った「自宅学習」も有力な選択肢です。一定の条件を満たせば自宅での学習が出席扱いになる制度もあり、登校できなくても学びの機会を確保できます。まずは在籍校に相談してみましょう。
最も大切なのは、子どもの意思を尊重することです。親が良かれと思っても、本人が拒否感を示すなら無理強いは禁物です。 ひとつの支援にこだわらず、体調や気持ちの変化に合わせて柔軟に組み合わせたり、変えたりして、親子で納得できる場所をゆっくり探していきましょう。
「理由がわからないけれど学校に行きたくない」という訴えは、決して甘えではありません。本人すら気づかないストレスが積み重なり、心のエネルギーが底をついてしまった切実なSOSです。
親ができる最大のサポートは、無理に理由を問いただすのではなく、今の状態を丸ごと受け止める「受容」の姿勢です。家庭を心から安らげる安全基地に整え、スクールカウンセラーや専門機関とも連携しながら、焦らず回復を待ちましょう。
再出発のタイミングを決めるのは、子ども自身です。親の役割は、その日が来るまでじっくりと土台を支え続けることにあります。
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