公開日:2026.02.27 / 最終更新日:2026.02.27 不登校について

不登校とは何か?定義・要因・親の対応を網羅|最新統計から解決策まで

「学校に行きたくない」というお子さんの言葉に、戸惑わない親はいません。ですが、現在の不登校者数は過去最多。決して珍しいことではなく、誰にでも起こりうる「心の休息サイン」です。
この記事では、不登校の正しい定義から、お子さんのタイプに合わせた接し方、そして通信制高校などの具体的な進路までをまとめました。今の状況を正しく理解していく中で、お子さんに合う選択肢が少しずつ見えてくることは少なくありません。すぐに答えが出なくても大丈夫です。焦らず、お子さんに寄り添いながら、相談先に一つ問い合わせてみるなど“小さな一歩”から始めていきましょう。

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目次

不登校とは:文科省の基準とひきこもりとの違い

「不登校」という言葉はよく耳にしますが、法律上の定義や「ひきこもり」との違いを正しく知ることは、お子さんの状況を冷静に判断する第一歩になります。

不登校の定義と基準

文部科学省では、不登校を「心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的な理由によって、登校したくてもできない、あるいは登校しない状態」と定義しています。

統計上の基準は、年間で合計30日以上の欠席があること。病気や経済的な理由による欠席は含まれません。この「30日」は連続である必要はなく、1年間の積み重ねで判断されます。

不登校とひきこもりの違い

不登校とひきこもりは混同されやすい概念ですが、明確な違いがあります。

項目 不登校 ひきこもり
対象 学齢期の児童生徒 年齢を問わない(主に青年期以降)
状態 学校に行かない・行けない状態 自宅から出ない・社会参加しない状態
範囲 学校生活に限定 生活全般に及ぶ
期間の定義 年間30日以上の欠席 6か月以上の自宅中心生活

不登校はあくまで「学校」という特定の場所に対するハードルがある状態です。家では元気に過ごせたり、好きな場所へなら出かけられたりするケースも少なくありません。

文部科学省による不登校の捉え方の変化

ひと昔前は「登校拒否」と呼ばれ、本人のわがままや怠けのように見られることもありました。しかし現在は、「不登校はどの子にも起こりうるもの」という認識が公的にも示されています。

今の支援のゴールは、無理に学校へ戻すことだけではありません。フリースクールや自宅学習なども含め、お子さんが自分らしく「社会的に自立すること」を一番大切にする考え方へ変わっています。

最新の現状:不登校が増加し続けている社会的背景

不登校児童生徒数の推移と最新統計

近年、不登校の数は急激に増えており、もはや珍しいことではなくなっています。ここでは最新のデータと、その背景にある社会的な変化について見ていきましょう。

年度 小学校 中学校 合計
平成24年度 約2.2万人 約9.5万人 約11.7万人
平成29年度 約3.5万人 約10.8万人 約14.3万人
令和4年度 約10.5万人 約19.4万人 約29.9万人

特に目立つのは小学校での急増です。10年前の約5倍にまで膨らんでおり、不登校の低年齢化が進んでいることが数字からも明らかになっています。

不登校増加の社会的背景

これほどまでに不登校が増えている理由は、単一ではなく、いくつかの社会的な変化が重なり合っています。

 

価値観の多様化と学校への期待の変化

現代では、学校だけが学びの場ではないという考え方が広がってきました。オンライン学習やフリースクールの認知度が上がり、学校以外の選択肢に対する抵抗感が少なくなっています。保護者の間でも、無理をさせて体調を崩すより、子どもの心身の健康を第一に考える価値観が浸透してきたと言えます。

新型コロナウイルス感染症の影響

長期にわたる休校や分散登校を経験したことで、学校生活のリズムが崩れてしまったお子さんが増えました。また、自宅でのオンライン学習を経験したことにより、必ずしも毎日登校しなくても学習は進められるという実感が生まれたことも、登校への心理的ハードルを上げる要因となっています。

学校環境の変化と複雑化

今の学校現場は、SNS上での人間関係や、学習内容の高度化、部活動の負担など、お子さんが受けるストレスが多様化しています。コミュニケーションの取り方が難しくなる中で、集団生活に馴染めず、強い疲れを感じてしまうお子さんが増えているという指摘もあります。

2家庭環境の変化

共働き家庭の増加や核家族化により、家庭内でゆっくり対話する時間を確保しにくいケースもあります。周囲に悩みを打ち明けられる大人が少ないといった状況が、お子さんの心理的な不安定さに繋がっている側面も否定できません。

不登校に対する社会の認識変化

法律の整備により、不登校は問題行動ではなく、誰にでも起こりうることという認識が公的にも示されました。国の方針も、無理な学校復帰をゴールとするのではなく、お子さんが社会的に自立することを目指す支援へと移り変わっています。

こうした社会の変化により、これまでは無理をして通っていたお子さんが、自分の状態を守るために休むという選択をできるようになったことも、統計上の数字が増えている一因と言えます。これは子どもの権利を尊重する社会への大きな変化でもあります。

主な要因:学校・家庭・本人の各視点から見る原因

不登校のきっかけは一つだけとは限りません。学校、家庭、そしてお子さん自身の状況など、複数の理由がパズルのように重なり合っていることがほとんどです。ここでは、それぞれの視点から主な要因を整理します。

学校に関わる要因

学校での人間関係や学習の進み具合が、お子さんの負担になっているケースです。

要因 具体例
いじめ 身体的・精神的な暴力、無視、仲間外れ、SNSでの誹謗中傷
友人関係の問題 友人とのトラブル、孤立、グループ内での不和
教師との関係 叱責、体罰、相性の不一致、理解不足
学業不振 授業についていけない、テストの成績不振、進路への不安
部活動の問題 顧問や先輩との関係、過度な練習、レギュラー争い

特にいじめは深刻な問題であり、お子さんの心に深い傷を残します。また、周りからは順調そうに見えても、本人は強い孤独感や疎外感を抱えている場合もあるため注意が必要です。

家庭に関わる要因

ご家庭の環境や家族との距離感が背景にあることもあります。

要因 具体例
親子関係の問題 過干渉、過保護、放任、コミュニケーション不足
家庭の不和 夫婦関係の悪化、離婚、家庭内暴力
生活リズムの乱れ 夜更かし、朝起きられない、食事の不規則
家庭の経済的困難 貧困、経済的不安による精神的ストレス
家族の病気や介護 家族の病気、介護による負担や心配

親の期待が大きすぎることや、逆に無関心な状態も、お子さんにとってはストレスになります。家庭が「心から安心できる場所」として機能しにくくなると、学校へ向かうエネルギーがなくなってしまうことがあります。

本人に関わる要因

お子さん自身の心身の状態や、生まれ持った特性が影響している場合です。

要因 具体例
不安や恐怖 学校への不安、分離不安、漠然とした恐怖感
無気力・倦怠感 意欲の低下、エネルギー不足、何もしたくない状態
発達障害 ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD(学習障害)
精神疾患 うつ病、適応障害、不安障害、起立性調節障害
完璧主義 高すぎる自己基準、失敗への過度な恐れ

発達特性がある場合、集団生活の中で知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまうことがあります。また、朝起きられなくなる起立性調節障害のように、本人の意志ではどうにもならない身体的な症状が原因となるケースも少なくありません。

複合的な要因と見極めの重要性

不登校の原因を特定しようとすると「これだ」という一つの答えを探してしまいがちですが、実際にはいくつかの理由が絡み合っています。例えば、本人の特性がきっかけで学校での対人関係に悩み、それが家庭内の不和に繋がるといった具合です。

そのため、原因を一つに決めつけるのではなく、多角的な視点から現状を見つめることが大切です。専門家のアドバイスも取り入れながら、多角的に状況を把握することで、お子さんに合った支援の形が見えてきます。

7つのタイプ:文部科学省による不登校パターンの分類

文部科学省では、お子さんの状態を正しく理解し、それぞれに合った支援を行うために、不登校のきっかけや背景を7つのパターンに分類しています。まずは客観的にお子さんの状況を見つめるためのヒントとして活用してみてください。

不登校の7つの分類とその特徴

不登校の理由は一つに絞れないことも多く、いくつかのタイプが重なり合っているケースも少なくありません。

分類タイプ 主な特徴 背景要因
学校生活上の影響 いじめや友人関係のトラブル、教師との関係の問題 対人関係のストレス、集団不適応
あそび・非行 遊ぶことを優先し学校に行かない、非行傾向 学習意欲の低下、価値観の相違
無気力 明確な理由がなく登校する意欲が湧かない 目標の喪失、自己肯定感の低下
不安など情緒的混乱 漠然とした不安や恐怖感で登校できない 分離不安、心理的な不安定さ
意図的な拒否 学校の価値や必要性を認めず、自ら拒否 学校制度への疑問、価値観の対立
複合 複数の要因が絡み合っている状態 家庭環境、学校要因、本人要因の組み合わせ
その他 病気や経済的理由など上記に当てはまらない要因 身体疾患、家庭の経済状況など

学校生活上の影響による不登校

友人同士のトラブルやいじめ、先生との関係悪化など、学校内での人間関係が主な原因となるタイプです。特定の出来事をきっかけに、ある日突然登校できなくなるなど、原因がはっきりしていることが多いのが特徴です。本人は学校に行きたい気持ちがあるものの、特定の人物や場所に対して強い不安や恐怖を感じ、体が拒否してしまいます。

あそび・非行タイプ

学校に通うことよりも、遊びや学外での活動を優先してしまう状態を指します。学習に対する意欲が低く、学校生活に価値を見出しにくい背景があります。昼夜逆転の生活になったり、学校の外での交友関係が登校を遠ざけたりするケースも見られます。

無気力タイプ

これといった明確なきっかけが見当たらないのに、登校する意欲が湧いてこない状態です。「なんとなく行きたくない」「体がだるい」といった漠然とした理由で欠席が続きます。周囲からは理由が分かりにくいため理解を得るのが難しい一方で、本人は心の中に深い無力感や空虚さを抱えていることがあります。

不安など情緒的混乱タイプ

学校に行こうとすると頭痛や腹痛といった身体的な症状が出たり、漠然とした不安に襲われたりするタイプです。朝になると体調が悪くなるものの、学校を休むと決めると症状が和らぐといった特徴があります。心理的な不安定さが体の症状として現れているため、心のケアが重要になります。

意図的な拒否タイプ

学校という制度そのものや、教育方針に疑問を持ち、自分の意思で「行かない」と決めている状態です。学校教育に価値を感じなかったり、自分の考えと合わないと感じて拒否したりします。このタイプのお子さんは、しっかりとした自分の考えを持っており、学校以外の場所で自分なりの目標や学習方法を見つけていることもあります。

複合タイプと個別の見立ての重要性

実際には、これらのタイプが単独で現れることは稀です。例えば、家庭環境の悩みに学校でのトラブルが重なったり、無気力な状態に不安が混ざっていたりと、複雑に絡み合っているのが現実です。

この7つの分類はあくまで目安であり、無理にどこかへ当てはめることが目的ではありません。大切なのは、お子さん一人ひとりの心の声を丁寧に聞き、その時の状態に合わせたサポートを専門家と一緒に考えていくことです。

親の心得:子供のSOSに対する初期対応と守るべき原則

お子さんに不登校の兆候が見られたとき、親御さんの最初の対応がその後の回復を大きく左右します。まずは、お子さんが出しているサインを正しく受け止め、守るべき接し方の基本を確認していきましょう。

子供が発する不登校のサイン

お子さんが本格的に学校へ行けなくなる前には、多くの場合、心身に何らかの変化が現れます。これらに早く気づくことができれば、問題の深刻化を防ぐ助けになります。

カテゴリ 具体的なサイン
身体症状 朝の腹痛・頭痛、食欲不振、不眠、過度の疲労感
行動の変化 登校時間の遅延、保健室利用の増加、遅刻・早退の増加
感情の変化 イライラ、無気力、学校の話題を避ける、表情が暗い
対人関係 友人関係の変化、家族との会話減少、部屋に閉じこもる

初期対応で親が取るべき行動

まずは話を聴く姿勢を持つ

最も大切なのは、お子さんの話を否定せずに最後まで聴くことです。親としての意見や解決策を伝えたくなるものですが、まずはぐっとこらえましょう。「つらかったね」と共感し、味方であることを伝えることで、お子さんは少しずつ心を開いてくれるようになります。

学校を休ませることへの判断

お子さんが登校を強く拒むなら、無理に行かせるのは避けるべきです。心身の安全を第一に考え、必要なら思い切って休養を認めてあげてください。休ませる決断をしたら、学校の先生や養護教諭には現状をありのまま伝え、情報共有を行っておくと安心です。

親が守るべき5つの基本原則

1. 責めない・焦らない

「なぜ行けないの」と問い詰めたり、「怠けているだけ」と決めつけたりすると、お子さんは自分を追い詰めてしまいます。不登校は本人の意思だけで解決できるほど単純な問題ではありません。親御さんが焦りを手放し、長い目で見守る覚悟を持つことが大切です。

2. 比較しない

きょうだいや周りの子と比べるのは禁物です。「あの子は頑張っているのに」という言葉は、お子さんの自信をさらに奪ってしまいます。一人ひとり状況は違うことを理解し、その子なりのペースを尊重してあげてください。

3. 家庭を安全基地にする

家庭をお子さんにとって一番安心できる場所にしましょう。学校の話題ばかりにするのではなく、規則正しい生活リズムを守り、家族で穏やかに食事を摂るといった当たり前の日常を大切にすることが、心の回復を支えます。

4. 夫婦で方針を統一する

お父さんとお母さんで対応がバラバラだと、お子さんは誰を信じていいか分からず混乱します。あらかじめ夫婦で話し合い、基本的な接し方のルールを決めておきましょう。一人の負担が重くなりすぎないよう協力し合うことも重要です。

5. 専門家や学校との連携を保つ

家族だけで問題を解決しようとせず、スクールカウンセラーや医療機関などの力を借りてください。外部の専門家と連携することで、客観的な視点からお子さんの状態を捉えることができ、より適切なサポートが可能になります。

やってはいけないNG対応

良かれと思ってしたことが、逆にお子さんを傷つけてしまうことがあります。以下の対応はできるだけ避けるようにしましょう。

NG対応 問題点
無理やり登校させる 心身の負担が増し、状態が悪化する可能性
過度な干渉や監視 子供の自立心を奪い、依存関係を生む
放置・無関心 見捨てられたと感じ、孤立感が深まる
原因追及の尋問 責められていると感じ、心を閉ざす
勉強の強要 プレッシャーとなり、回復を遅らせる

親自身のメンタルケアも重要

お子さんの不登校に直面して、冷静でいられる親はいません。親御さん自身が心身ともに健康でいることが、お子さんを支える最大の力になります。

一人で悩みを抱え込まず、信頼できる友人や専門家に相談してください。親の会などに参加して、同じ境遇の方と気持ちを分かち合うのも一つの手です。ご自身の休息や気分転換の時間も大切にし、無理のない範囲で見守りを続けていきましょう。

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回復のプロセス:時期に合わせた適切な接し方と見守り

不登校からの回復は、一直線に進むものではありません。良くなったり戻ったりを繰り返しながら、段階を踏んで進んでいきます。今お子さんがどの地点にいるのかを理解することで、より適切なサポートができるようになります。

回復の3つの段階

不登校の回復過程は、大きく分けて「混乱期」「安定期」「回復期」の3つのステップがあります。それぞれの時期で、お子さんの心の状態に合わせた関わり方を選んでいきましょう。

段階 期間の目安 子供の状態 親の対応
混乱期 1~3ヶ月程度 不安定、罪悪感、自己否定が強い 無理に登校させず、安心できる環境を提供
安定期 3ヶ月~1年程度 家庭で安定、趣味や活動に関心 子供のペースを尊重し、信頼関係を深める
回復期 個人差が大きい 外部との接触や学習への意欲が出る 段階的な社会復帰を支援

混乱期における接し方

学校に行けなくなった直後の混乱期は、お子さん自身が最も傷つき、不安定な時期です。この時期に「早く戻さなければ」と刺激を与えるのは逆効果になることが多いため、慎重に見守る必要があります。

休養を最優先する

この時期のお子さんは、心も体もエネルギーが枯れ果てている状態です。まずは何よりも休養を優先させ、家を安心できる場所に整えてあげてください。「今は休むことが一番の仕事だよ」と伝え、欠席することへの罪悪感を少しずつ取り除いてあげることが大切です。

問い詰めない姿勢

「どうして行けないのか」「いつから行けるのか」という質問は、お子さんを深く追い詰めてしまいます。本人にも理由が分からず苦しんでいることが多いため、原因を探るよりも、今の苦しさに寄り添う姿勢を忘れないでください。

安定期における接し方

家の中での生活が落ち着き、お子さんが本来の自分を取り戻し始める時期です。ここでは焦って登校を促すのではなく、親子の信頼関係を再構築することに専念しましょう。

日常生活のリズムを整える

昼夜逆転などの乱れが気になることもありますが、無理に正そうとすると反発を招きかねません。まずは一緒に食事をしたり、夕方に散歩へ出かけたりするなど、日常生活の中に自然なリズムを作っていくことから始めましょう。

子供の興味関心を支援する

安定期に入ると、ゲームや読書、絵を描くことなど、好きなことに没頭する余裕が出てきます。こうした活動は心のエネルギーを蓄える大切なプロセスです。「そんなことより勉強を」と言いたくなる気持ちを抑え、本人が夢中になれるものを応援してあげてください。

回復期における接し方

少しずつ「外の力」が戻り、学習や友人関係に意識が向き始める時期です。ここでは一歩ずつ、スモールステップでの復帰を支えていきましょう。

スモールステップでの復帰支援

いきなり教室へ戻ることを目標にするのではなく、お子さんが「これならできそう」と思える小さな目標を積み重ねていきます。

ステップ 具体的な活動例
第1段階 家族以外の人との接触(親戚、友人など)
第2段階 外出の頻度を増やす(図書館、公園など)
第3段階 学校との接点を持つ(先生との面談、プリント受け取り)
第4段階 部分的な登校(保健室、別室、短時間)
第5段階 教室への段階的な復帰

失敗を恐れない環境づくり

一度登校できても、翌日にまた休んでしまうことはよくあります。これは決して後退ではなく、回復の過程で起こる自然な反応です。「一度できたら次も」と期待しすぎず、失敗しても「またいつでも休んでいいんだよ」と言える心のゆとりを持っておきましょう。

各段階で共通する見守りの原則

どの時期であっても、親御さんが持っておきたい基本的な姿勢があります。

子供のペースを尊重する

回復のスピードは一人ひとり違います。周りの子と比べて焦る気持ちは、お子さんにプレッシャーとして伝わってしまいます。わが子の歩幅を信じて、じっくり待つ姿勢を大切にしてください。

小さな変化を認める

「学校に行けるかどうか」という結果だけでなく、表情が明るくなった、自分から話し始めた、といった日常の小さな変化を喜びましょう。その積み重ねがお子さんの自信に繋がります。

親自身の心身の健康を保つ

お子さんを支え続けるには、親御さん自身のエネルギーも必要です。一人で抱え込まず、専門家に相談したり、趣味の時間を持ったりして、自分自身の心も労わってあげてください。親が穏やかでいることが、お子さんの回復にとって一番の薬になります。

相談・支援先:学校外で活用できる公的・民間の機関

お子さんが不登校になったとき、家族だけで抱え込む必要はありません。公的な機関から民間の団体まで、さまざまな相談先があります。お子さんの状況や目的に合わせて、最適な場所を見つけることが解決への第一歩となります。

公的な相談・支援機関

教育支援センター(適応指導教室)

各市区町村の教育委員会が運営している公的な施設です。学校復帰を目指すお子さんを対象に、学習のサポートや集団活動、カウンセリングなどを行っています。学校と連携しているため、ここへ通うことが学校の出席扱いになる場合もあります。利用料は基本的に無料で、お住まいの地域の教育委員会から申し込むことができます。

教育相談センター

都道府県などが設置している相談窓口です。不登校に関する悩みを、専門の相談員や臨床心理士に相談できます。電話での相談はもちろん、直接会って話す面接相談や、保護者向けの相談会なども開かれています。

児童相談所

18歳未満のお子さんに関するあらゆる相談を受け付けています。不登校の背景に家庭環境の悩みなど、専門的な調査や支援が必要な場合に活用できる機関です。児童福祉司などの専門職が対応し、必要に応じて他の機関と連携しながらサポートしてくれます。

ひきこもり地域支援センター

ひきこもり状態にある本人や、そのご家族を支えるための専門機関です。不登校が長引き、自宅から出るのが難しくなってきた場合に相談できます。社会福祉士などの専門家が、社会との繋がりを取り戻すためのアドバイスをくれます。

医療機関

児童精神科・心療内科

心の不調や発達特性が不登校に関わっている可能性がある場合は、専門医の診断を受けることが助けになります。適切な診断を受けることで、今の状態に合った治療方針やカウンセリング、必要に応じたお薬の処方など、医学的な観点からのアプローチが可能になります。

小児科

頭痛や腹痛など、体に症状が出ている場合は、まず小児科を受診しましょう。体に異常がないかを確認した上で、心理的な要因が関係している「心身症」の疑いがある場合などは、心のケアも含めた対応を相談できます。

民間の支援団体・施設

フリースクール

学校以外の「学びの場」や「居場所」として運営されている民間施設です。決まったカリキュラムに縛られず、お子さんのペースで学習や体験活動に取り組めます。一定の条件を満たせば学校の出席扱いとして認められることもありますが、月額の授業料などの費用がかかるのが一般的です。

親の会・自助グループ

不登校のお子さんを持つ保護者が集まり、悩みや情報を共有する場所です。同じ経験をしている親同士だからこそ分かり合えることが多く、孤独感の解消や具体的な接し方のヒントを得る場として非常に心強い存在です。

民間カウンセリング機関

心理の専門家による丁寧なカウンセリングを受けられます。公的機関よりも一人ひとりに時間をかけて、細やかなサポートをしてくれるのが特徴です。費用は自己負担となりますが、親子それぞれの心の整理に役立ちます。

主な支援機関の比較

機関の種類 運営主体 主なサービス 費用 出席扱い
教育支援センター 教育委員会 学習支援・集団活動・カウンセリング 無料 可能
教育相談センター 教育委員会 電話相談・面接相談・保護者支援 無料
児童相談所 都道府県・政令市 総合相談・調査・他機関連携 無料
医療機関 民間・公立 診断・治療・カウンセリング 保険適用
フリースクール 民間団体 学習支援・体験活動・居場所提供 有料 条件付き可能
親の会 保護者・NPO 情報交換・相互支援 無料~低額

相談先を選ぶポイント

子どもの状態に合わせる

お子さんの心身の状態によって、選ぶべき場所は変わります。まずは学校や教育相談センターなどの身近な窓口から始め、必要に応じて専門的な医療機関やフリースクールを検討するのがスムーズです。

複数の機関を併用する

「病院で体調を整えながら、フリースクールで少しずつ同世代と関わる」といったように、複数の支援を組み合わせることも効果的です。それぞれの機関の強みを活かして、多角的に支えていきましょう。

子どもの意思を尊重する

無理に通わせようとすると、逆にお子さんの心を閉ざしてしまうかもしれません。支援機関を利用する際は、本人の気持ちを最優先にし、納得感を持って通える場所を一緒に探してあげてください。

相談時に準備すべきこと

相談に行く際は、以下の内容をメモしておくと話がスムーズに伝わります。

  • 不登校が始まった時期やきっかけ
  • 今のお子さんの様子(食事や睡眠、家庭での過ごし方)
  • これまでに学校とどのようなやり取りをしてきたか
  • 家庭でどのように対応してきたか

もしどこに相談すればいいか迷ったら、まずは地域の教育相談センターへ問い合わせてみてください。今の状況に合った適切な機関を紹介してくれます。

将来と進路:不登校を経験した後の多様な選択肢

不登校を経験したからといって、将来の可能性がなくなるわけではありません。今の時代、学校教育以外にも学びの場はたくさんあります。大切なのは、お子さんに合った環境を見つけることです。ここでは、具体的な進路の選択肢とその特徴について紹介します。

中学校段階での選択肢

中学生のお子さんが利用できる学びの場には、以下のようなものがあります。

選択肢 特徴 出席扱いの可否
教育支援センター(適応指導教室) 教育委員会が設置する公的施設で、学習支援や集団活動を提供 出席扱いとなる
フリースクール 民間団体が運営する居場所で、多様な活動プログラムを実施 条件により出席扱いとなる場合がある
ICT等を活用した自宅学習 オンライン教材やタブレット学習による在宅での学習 一定の要件を満たせば出席扱いとなる

高校進学の選択肢

不登校を経験していても、高校進学の道は複数用意されています。それぞれのスタイルを理解して、お子さんに合うものを選びましょう。

全日制高校

一般的な高校でも、不登校を経験した生徒を積極的に受け入れる学校が増えています。特に私立高校の中には、少人数制や個別指導で手厚くサポートしてくれる学校もあり、自分に合った環境を選びやすくなっています。

通信制高校

自宅でのレポート学習が中心で、登校(スクーリング)の日数が少ないのが特徴です。自分のペースで進められるため、不登校を経験した多くの方に選ばれています。最近では、週数日の通学コースを設けるなど、多様な学習スタイルが広がっています。

定時制高校

夜間や昼間の決まった時間帯に授業を行う学校です。少人数での授業が多く、さまざまな背景を持つ生徒が学んでいます。年齢やこれまでの経緯を気にせず、落ち着いて学び直せる環境が整っています。

高等専修学校

専門的な技術や職業教育に力を入れている学校です。実践的なスキルを身につけながら、高校卒業資格を取得できる学校もあります。将来の仕事に直結する学びを重視したい場合に適した選択肢です。

高卒認定試験という選択

高校を卒業していなくても、大学や専門学校の受験資格が得られる国の試験です。年に2回実施されており、一度にすべての科目に合格する必要はありません。自分の得意な科目から少しずつ合格を積み重ねることも可能です。

大学・専門学校への進学

高校卒業資格や高卒認定試験があれば、大学や専門学校へ進むことができます。最近の入試では、これまでの経験を前向きに評価する選抜方式もあり、不登校を乗り越えた過程が強みになることもあります。

就労への道

高校を卒業した後や認定試験の合格後に、就職する道もあります。地域若者サポートステーションなどの相談窓口では、職業体験や就職活動のサポートを無料で受けることができます。また、職業訓練校で技術を磨いてから社会に出るという選択も可能です。

進路選択で大切にすべきこと

進路を選ぶときに一番大切なのは、本人が「やってみたい」と思えるかどうかです。周りの期待や一般的なルートに合わせるのではなく、お子さんの興味や得意なことを尊重してあげてください。

もし選んだ道が合わなかったとしても、途中でやり直したり変更したりすることはいつでも可能です。「何度でも選び直せる」という安心感をお子さんに伝え、一歩を踏み出す勇気を支えてあげることが、何よりの力になります。

まとめ:不登校とは何かを正しく理解し解決へつなげる

不登校は、年間30日以上の欠席という基準はありますが、数字以上に「お子さんの心が休息を求めている状態」であることを忘れないでください。文部科学省の調査でも増加傾向にあるように、不登校は決して特別なことではなく、誰もが直面する可能性のある身近な出来事です。

学校や家庭の環境、お子さん自身の特性など、要因は一人ひとり異なります。だからこそ、周りと比べる必要はありません。7つのパターン分類があるように、正解は一つではないのです。

親御さんにできる最も大切なことは、焦らずにお子さんの気持ちの波に寄り添うことです。一人で抱え込まず、教育支援センターやフリースクール、スクールカウンセラーといった専門家の力を借りてみてください。

今の苦しさが、結果として新しい学び場や生き方につながることもあります。通信制高校や高卒認定試験など、将来の選択肢は驚くほど多様に広がっています。今の状況を正しく理解し、お子さんのペースに合わせた一歩を、一緒に歩んでいきましょう。

※本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としております。一部情報については更新性や正確性の保証が難しいため、最新の制度や要件については改めてご自身で各公式機関にご確認ください。

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私たち松陰高等学校は、山口県岩国市に本校を置く広域通信制高校です。「問いを立てる力」を育むことを大切にし、生徒一人ひとりの個性やペースに合わせた学びを提供しています。全国の学習センターを正規スクーリング校として活用し、移動の負担を減らした柔軟な学習環境を実現。教員と民間出身者が協力し、社会とつながる教育を行っています。校則はなく、生徒自らが学校をつくる「対話」と「実践」の場です。

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