
「私の育て方が悪かったのかも」と、出口の見えない不安を一人で抱え込んでいませんか。
現在、国内の引きこもりは100万人を超えており、決して特別なことではありません。今の状況を変えるために必要なのは、親が自分を責めるのをやめ、適切な接し方を知ることです。
この記事では、壊れた信頼関係を取り戻すための具体的なコツと、避けるべきNG行動をまとめました。現状を打破する一歩として、ぜひお読みください。
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現状を客観的に把握することは、焦りを抑え、冷静に向き合うための第一歩です。まずは公的な定義を確認しましょう。
内閣府では、引きこもりを「仕事や学校に行かず、家族以外との交流がほとんどない状態で6か月以上自宅にいること」と定義しています。
一歩も外に出ない状態だけでなく、たまにコンビニへ行く程度の外出があっても、社会とのつながりが断たれていればこの定義に含まれます。
不登校は主に学齢期の子どもが対象で、「年間30日以上欠席した状態」を指します。一方、引きこもりは年齢を問いません。不登校が長期化してそのまま引きこもりへ移行するケースも多いため、早めの理解が重要です。
国内の引きこもり・不登校は増加傾向にあります。決して自分たちだけの問題ではないことが、数字からも分かります。
| 項目 | 人数・割合 | 備考 |
| 15歳から39歳の引きこもり | 推計54万人 | 内閣府調査 |
| 40歳から64歳の引きこもり | 推計61万人 | 内閣府調査 |
| 小中学校の不登校児童生徒数 | 約30万人 | 文部科学省調査 |
| 高校生の不登校生徒数 | 約6万人 | 文部科学省調査 |
原因は一つではなく、複数の要素が複雑に絡み合っています。
親の育て方だけが原因ということはまずありません。まずは複雑な背景があることを受け止めましょう。
わが子の引きこもりに直面したとき、親は「誰にも言えない」という深い孤独に包まれます。多くの親御さんが共通して抱える葛藤を整理してみましょう。
「育て方が悪かったのでは」という自責の念から、周囲との接触を避けてしまいがちです。近所や親戚の目を気にして状況を隠そうとするあまり、誰にも頼れず一人で抱え込んでしまいます。
「自分たちが亡くなった後、この子はどうなるのか」という不安は切実です。周りと比較して焦りが募りますが、その焦りをお子さんにぶつけると、関係がさらに悪化するという悪循環に陥りやすくなります。
親の心理状態は日々変化し、相反する感情が入り混じります。
| 心理状態 | 具体的な感情 |
| 自責感 | 「私の育て方が間違っていた」「もっと早く気づけばよかった」 |
| 怒りと苛立ち | 「なぜ外に出てくれないのか」「いつまでこの状態が続くのか」 |
| 無力感 | 「何をしても変わらない」「自分にはどうすることもできない」 |
| 心配と不安 | 「このままで大丈夫だろうか」「将来どうなってしまうのか」 |
こうした感情が湧くのは、決しておかしくありません。お子さんを想っているからこその葛藤です。
「厳しくすべき」か「見守るべき」か、対応をめぐる夫婦の温度差も大きなストレスです。一方が責任を背負い込みすぎると、家庭全体が重苦しい空気に支配されてしまいます。
「家庭の恥を見せたくない」という思いが、支援を求める足を止めさせます。しかし、親御さんが力尽きてしまう前に、まずは自分のために助けを求めることが、解決への大切な一歩になります。
親御さんの焦りや「良かれと思って」の行動が、逆効果になることがあります。まずは、お子さんの心をさらに閉ざしてしまう5つのタブーを確認しておきましょう。
無理な連れ出しや部屋への侵入は、築き上げてきた信頼関係を根底から壊します。お子さんにとって自室は唯一の「安全基地」です。そこを脅かされる恐怖は想像以上に大きく、深い心の傷になりかねません。本人の準備が整わないうちの強制は、自己肯定感を下げるだけでなく、修復をいっそう困難にします。
「いつまでこうしているんだ」「将来どうする」といった言葉は、本人を追い詰めるだけです。引きこもっている本人は、誰よりも現状に不安を感じ、自分を責めています。そこに親の否定が加わると、罪悪感がふくらみ、ますます外の世界が怖くなってしまいます。特に他人の子と比較する発言は厳禁です。
先回りして世話しすぎるのも、逆に突き放すのも、どちらもお子さんの自立を妨げます。
| 対応パターン | 具体例 | 子どもへの影響 |
| 過干渉 | 部屋に頻繁に入る、生活の細部まで口を出す | 自己決定力の低下、依存の強化 |
| 過保護 | 何でも先回りしてやってあげる、本人の意思を無視した世話 | 自立心の欠如、無力感の増大 |
| 突き放し | 「もう知らない」「自分でなんとかしろ」と放置 | 見捨てられ不安、孤立感の深刻化 |
気分によってこれらを使い分けるなど、一貫性のない対応はお子さんの不安をより大きくしてしまいます。
世間体を気にして状況を隠そうとすると、お子さんは「自分は恥ずべき存在なんだ」と感じ取ってしまいます。親が問題を隠し続けることで、適切な支援を受けるチャンスを逃すことにも繋がります。「家族の恥」という捉え方を手放すことが、本人の尊厳を守る第一歩です。
「働かないなら食費を止める」といった脅しや、ネットを突然切るなどの強硬手段は、深刻な不信感を生みます。短期的には動くかもしれませんが、根本的な解決にはなりません。かえって自暴自棄な行動や、家庭内での修復不可能な断絶を招くリスクが高いため、慎重な対話が必要です。
| NG行動のカテゴリ | なぜ良くないのか | 子どもの心理的影響 |
| 強制的な行動変容 | 本人の意思や準備を無視している | 恐怖、不信感、自己決定力の喪失 |
| 否定的な言動 | すでに傷ついている自尊心をさらに傷つける | 罪悪感、自己否定感の増幅 |
| 極端な対応 | 一貫性がなく安心感を与えられない | 混乱、親への不信感 |
| 世間体優先 | 子どもの存在を否定するメッセージになる | 自己肯定感の低下、孤立の深刻化 |
| 経済的・環境的圧力 | 安全基地を奪い信頼関係を破壊する | 不安の増大、関係性の断絶 |
お子さんが自分自身の力を取り戻すまで、親御さんが「安全な場所」であり続けることが何よりの薬です。今日から意識したい接し方のヒントを見ていきましょう。
ここで言う「待つ」とは、何もしない放置ではありません。本人のタイミングを尊重しながら、「困った時はいつでも助けるよ」という準備をしておく状態を指します。 食事の用意だけ伝えて無理強いはしない、といった適度な距離感が、お子さんに「ここは安全だ」という安心感を与えます。
特別な説得は必要ありません。まずは「おはよう」「ご飯だよ」といった、淡々とした挨拶から始めましょう。
| 効果的な声かけ | 避けるべき声かけ |
| 「今日は天気がいいね」 | 「いつまで家にいるつもり?」 |
| 「○○が食べたいものある?」 | 「このままでどうするの?」 |
| 「テレビで面白い番組やってたよ」 | 「同級生はみんな働いているよ」 |
| 「困ったことがあったら言ってね」 | 「親の気持ちも考えて」 |
会話の糸口が見つからないときは、ゲームやアニメなど、本人が今好きなものに興味を持つことから始めてみてください。
もしお子さんが話し始めたら、アドバイスはぐっとこらえて、まずは最後まで聞きましょう。「そうなんだね」「それはつらかったね」と、感情をそのまま受け止めるだけで十分です。親が先回りで答えを出してしまうと、本人が自分の気持ちを整理する機会を奪ってしまいます。
「自分から部屋を出てきた」「洗濯物を出した」といった、些細な変化を大切にしてください。大げさに褒めるとプレッシャーになることもあるため、「気づいたよ」「助かったよ」と軽く伝えるくらいがベストです。その積み重ねが、自信の回復に繋がります。
将来が不安になるのは当然ですが、その焦りをお子さんにぶつけると、本人をさらに追い詰めてしまいます。 不安を抑えるには、親御さん自身が「今日一日」に集中し、散歩や趣味など自分の時間を楽しむことが大切です。信頼できる相談先を見つけ、心の重荷を下ろす場所を確保してください。
厳しすぎるルールは衝突の元ですが、ゆるやかなリズムは安心感につながります。
特定のお子さんに意識が集中すると、きょうだいが疎外感を感じることもあります。「今は心の休息が必要な時期なんだ」と状況を伝えつつ、他の家族と過ごす時間も意識的に作り、全体のバランスを保つようにしましょう。
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引きこもりからの回復は一足飛びにはいきません。段階を踏んで、徐々に社会との接点を取り戻していくプロセスが必要です。
お子さんの今の状態を確認し、適切な距離感を見極めましょう。
| ステージ | 子どもの状態 | 親の適切な対応 |
| 第1段階:安心できる居場所の確保 | 家の中で過ごし、外部との接触を避ける | 無理に外出を促さず、家庭内での安全感を保証する。規則正しい生活リズムを緩やかに促す |
| 第2段階:家族との関係修復 | 家族と同じ空間で過ごせるようになる | 一緒に食事をする、テレビを見るなど、自然な形での交流を増やす。会話は軽い内容から始める |
| 第3段階:小さな活動の開始 | 趣味や興味のあることに取り組み始める | 子どもの関心事を尊重し、必要な環境や道具を整える。成果よりもプロセスを認める声かけを |
| 第4段階:外部との接点づくり | 近所への外出や支援機関への訪問ができる | 無理のないペースでの外出を見守る。失敗しても責めず、チャレンジしたこと自体を評価する |
| 第5段階:社会参加への準備 | アルバイトや進学・就職に向けた活動を始める | 情報提供や相談相手として寄り添う。過度な期待をかけず、子ども自身のペースを尊重する |
順調に見えても、急に部屋にこもる「揺り戻し」はよく起こります。これは悪化ではなく、次に進むための「心の休息」です。理由を問い詰めず、「今は休む時期なんだね」とゆったり構えましょう。
いきなり職場を目指すのではなく、フリースペースやサポートステーションなど、心のリハビリができる場を活用しましょう。通信制高校やボランティアなど、全日制以外のルートを視野に入れることで、心理的な負担が軽くなります。
引きこもりから抜け出す瞬間は、ドラマのような劇的な変化よりも、日常の小さな「転機」がきっかけになることが多いものです。元当事者たちの声から、心が動いたリアルな瞬間を見ていきましょう。
多くの人が挙げるのは、親が「正論で責める」のをやめ、ありのままを認めてくれたときです。「母が『生きていてくれればそれでいい』と言ってくれたとき、肩の荷が下りて外に出てみようと思えた」という声は少なくありません。 親が焦りを手放し、穏やかに接することで、本人の自責の念が和らぎ、エネルギーが蓄えられていきます。
いきなり就職を目指すのではなく、ハードルの低い目標から始めたことが自信に繋がっています。「まずは家族と一緒に夕食を食べる」「次は夜にコンビニへ行く」といった小さなステップです。 「できたこと」を認めてもらえる経験が積み重なると、自己肯定感が回復し、「次はこれをやってみよう」という意欲が自然と湧いてきます。
家族以外の「否定しない大人」や「同じ悩みを持つ仲間」との出会いが大きな転機になります。 「支援センターで同じ境遇の人と話し、『自分だけじゃない』と思えて救われた」「親以外の第三者には、素直に本音を話せた」という体験談は多いです。家族とは違う距離感の人が入ることで、凝り固まった視点がほぐれていきます。
好きなことが社会とつながる扉になることもあります。オンラインゲームでの交流、イラスト投稿、動画編集の独学など、きっかけはさまざまです。 「趣味を否定せず応援してもらえたことで、もっと深く学びたいと思い、そこから就労支援につながった」という事例もあり、本人の「好き」を尊重することが回復の近道になる場合があります。
| 回復のきっかけ | 具体的な内容 | 親ができる支援 |
| 親の態度の変化 | 責めずに見守る姿勢、無条件の受容 | 焦らず穏やかに接する、否定的な言葉を避ける |
| 小さな成功体験 | 家族との食事、短時間の外出など | 達成を認め、次を急がない |
| 第三者との関わり | 支援者、同じ経験を持つ仲間との対話 | 外部支援の情報提供、本人の意思を尊重 |
| 興味関心の発見 | 趣味、オンライン活動、学習など | 関心を示したものを否定せず応援する |
回復の道筋は人それぞれですが、共通しているのは「自分のペースを尊重してもらえた」という安心感です。親が信じて待つ姿勢こそが、お子さんの背中をそっと押す一番の力になります。
引きこもりの悩みは、家庭内だけで抱え込むと親自身の心が折れてしまいます。専門知識を持つ第三者を頼ることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、客観的な視点が入ることで、解決への糸口が見つかりやすくなります。
自治体の窓口は無料で利用でき、地域の福祉サービスと連携しやすいのがメリットです。
| 相談窓口 | 対象 | 主な支援内容 |
| ひきこもり地域支援センター | 本人・家族 | 電話・面接相談、訪問支援、家族教室の開催 |
| 教育支援センター(適応指導教室) | 不登校の児童生徒 | 学習支援、集団活動、学校復帰への橋渡し |
| 保健所・精神保健福祉センター | 本人・家族 | 精神保健相談、医療機関の紹介 |
| 市区町村の福祉課・子育て支援課 | 家族全般 | 福祉サービスの案内、関係機関への橋渡し |
これらの公的機関は、プライバシーに配慮しながら相談に応じてくれます。まずは電話での問い合わせから始めることができるため、心理的なハードルも低く利用しやすいでしょう。
民間団体は、柔軟でスピーディーな支援が特徴です。特に「家族会(親の会)」は、同じ悩みを持つ親同士が本音で語り合える貴重な場所になります。「一人ではない」と実感できるだけで、精神的な負担は大きく軽くなります。
背景に発達障害や精神疾患が隠れている場合、適切な診断が回復を早めます。本人が受診を拒む場合は、まずは親御さんだけで専門医に相談へ行くことも検討しましょう。
対面が難しい場合は、SNSやメールによる相談窓口が便利です。匿名で相談できるため心理的なハードルも低く、深夜や早朝の「心の逃げ場」としても活用できます。
相談先は一つに絞る必要はありません。複数の機関を併用しながら、無理のないサポート体制を整えていきましょう。
お子さんを支える親御さんが、心身ともに健康でいることは決して「わがまま」ではありません。親が疲れ果ててしまうと、家庭の空気はさらに重くなり、結果としてお子さんの回復を遅らせてしまうからです。
自分のケアを後回しにすると、気づかないうちに以下のような負のループに陥ってしまいます。
| 状態 | 影響 |
| 睡眠不足・疲労の蓄積 | イライラが増え、子どもへの言動が攻撃的になる |
| 社会的孤立 | 視野が狭くなり、問題を客観視できなくなる |
| 自責感・罪悪感の増大 | うつ状態に陥り、適切な判断ができなくなる |
| 趣味や楽しみの放棄 | 気分転換ができず、精神的余裕がなくなる |
自分の生活リズムを守る: お子さんのリズムに合わせすぎず、親御さんは決まった時間に起きて食事をしましょう。自分の体調を第一に考えることが、長期戦を乗り切るコツです。
「自分だけの時間」をあえて作る: 散歩や読書、趣味など、お子さんのことを考えない時間を意識的に作ってください。短時間でも「一人の人間」に戻る時間が、心の回復に繋がります。
外の世界とのつながりを断たない: 友人とのランチや趣味の集まりなど、家庭以外の居場所を大切にしてください。外の空気に触れることで、問題を客観的に見られるようになります。
相談先を「自分用」に持つ: カウンセリングや親の会は、お子さんのためだけでなく、親御さんの「心の整理」のために活用しましょう。
「子どもが苦しんでいるのに、自分が楽しんでいいのか」と悩む必要はありません。親御さんが笑顔で安定している姿こそが、お子さんに「外の世界は怖くない」「自分もいつかあんなふうに笑いたい」と思わせる最高のメッセージになります。自分を大切にすることは、お子さんの未来を守るための「大切な準備」です。
引きこもっているお子さんだけに意識を向けすぎると、他のきょうだいや配偶者が孤独を感じ、家族関係が歪んでしまうことがあります。 時には家族全員でおいしいものを食べたり、何気ない話をしたりする時間を作ってください。一人で抱え込まず、家族が「チーム」として支え合える環境を維持することが、再生への近道です。
わが子の引きこもりに直面すると、どうしても自分を責めたり、一人で抱え込んだりしてしまいがちです。しかし、焦って無理に外へ連れ出そうとすることは、かえって状況を悪化させてしまいます。
回復には時間が必要です。まずは、日々の何気ない挨拶や見守りを通じて、お子さんが「ここは安心できる場所だ」と思える環境を整えることから始めましょう。
何より大切なのは、親御さん自身が心にゆとりを持つことです。地域の支援センターや専門家、同じ悩みを持つ親同士のつながりを積極的に活用してください。一人で悩まず、外部の力を借りることで、冷静にお子さんと向き合う力が湧いてくるはずです。
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